吸血鬼に転生した俺は、人間の村を目指す

ナポ

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「……ん?」

 微かな光に意識が浮上する。いつの間にか自室のベッドへと寝かされていた様で、カーテンから朝日が差し込んでいる。
 目を擦りあげれば、反射で欠伸がこぼれた。
 ルクスの奴好き勝手しやがって。
 俺は餌じゃない。

 同族で血を分け合うことはごく当たり前に行なわれるが、俺は吸うのも吸われるのも大嫌いだ。一生関わり会いたいとは思わない。
 そうだ、昨夜の子供たちは無事だろうか。
 のっそりと起き上がり洗面台へと向かう。さらりと長い銀髪に銀色の瞳の少年が写る。人形の様に整った顔。ふざけて愛嬌たっぷりに微笑んでみる。
「ぐっ、我ながら可愛い!」
 決してナルシストの気はないはずなんだが、この顔は強すぎる。
 この顔に免じて少しくらい血を吸うのを躊躇ってくれればいいのに、吸血鬼には当たり前の顔なのか、今まで躊躇った奴を見たことがない。人間の世界ではどうだろうか?
 ぶつぶつと呟きながら、食料庫から食べ物を調達し朝食を作る。弁当箱にサンドイッチを詰め込み地下へと向かった。

 人間を餌としか認識していない吸血鬼の警備はザルと言っても良い程に意味がないと思う。
 近くに兵士がいればいい方じゃないか?
 昨夜は学園に通う時間のはずなのに……何故ルクスはやって来たのか。まぁどうでもいい。

 それよりも人間を解放して、そのまま村まで案内してもらおう。

「おはよう……朝ごはん持ってきたけど、食べられそう?」
「き、昨日の吸血鬼か?」
「そうだよ」
「……貴方は血が必要ないの?」
「必要ないと言うか、必要としたくないというか……まぁ、血を飲まなくてもご飯を食べればいいし」
 一口ほうばりながら、手に持ったサンドイッチを掲げて見せる。
 女の子二人が安心したように視線を見合わせたので、どうぞと食事を差し出せば、おずおずと受け取り食べ始める。

「なら、どうしてお前たちは人間をさらう!!無駄に殺す必要は無いだろう!」
「そうだね……僕もそう思うよ」
 そんな事は俺に言われてもどうすることも出来ない。所詮は欠陥品。力も他の吸血鬼と比べたら弱いのだ。
「なら!」
「──でも俺みたいなのは異端なんだ……分かるだろう?」
 馬鹿みたいに同意を求め、首を傾げてみせる。
 突っかかってきた少年は顔をぷいっと背け、「分からない」と呟く。
「……まぁ、仕方ないよ。生き物は生態系が違う、それは自然の摂理だ」
「なんだって?」
 何を言っているんだと視線で訴える子供たちに、噛み砕いて説明する。
「生きる環境が違うから、食事のとり方も、食べられるものも違う。人間はうさぎや鶏、様々な動物も食べるし、野菜だって食べる。パンだって米だって食べる。けれど、吸血鬼は血が食事だ。それは生き物としてそう作られているからだ。
 君たちだって、今日から吸血鬼だ、血を吸って生きろと言われても出来ないだろ?
 それと同じだ」
「そう、だな……」
 各自納得したように頷くのを確認し、一人ずつ頭を撫でた。

「よし!ご飯も食べ終わったし、君たちの家に帰ろう!」
「は?!」
「帰れるの?」
「ほ、ほんと?」
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