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カランカランと音を立てながら扉を開くと、雑多に並んだ瓶や草、よく分からない置物が目に入った。
なんか凄い雰囲気がある。いい匂いもする。なんの香りだろう。
周りに目を奪われながら歩けば、黒いローブが見えた。下を向いていて容姿はよく分からないが、聞いた話ではお婆さんが営んでいるらしい。恐らくその人だろうと当たりを付け、声をかける。
「すみません……」
黒いローブがピクリと動き、ゆったりとした動作で頭が持ち上がった。
「おや? お客さんかい?」
少し低めの声はそれなりの歳を感じさせ、ローブは顔の半分を隠し、口元だけが見えた。
「いえ、知恵をお借りしたくて来ました」
「ほう? 何かね。 外では出回らない薬でもお探しかい?」
「買取もしていると聞いたので、どんな物が売れるのかと……その、近くで取れる物を何か教えていただければと思いまして」
「そうかい。それなら丁度いい。腰が痛くて取りに行けない薬草を取ってきておくれ。勿論、良い値で買うよ」
「ぜひ!」
怪しい笑が消え、意気揚々と話が進んだことにひとまず安心すれば、ゴソゴソと手元から洋紙が取り出された。
受け取り覗き込むと、場所までの地図が描かれていた。
「この辺りかな……」
地図と周りの風景を照らし合わせ確認する。
洋紙に描かれた草の絵は図鑑で見たことがあるものだった。こんな所で役に立つなんて、無駄じゃなかったな。
読んでいた図鑑の内容を思い出し笑みが浮かぶ。
少年と一緒に手元の絵を見ながら、収穫へと乗り出した。
「……これ」
「そうそう。絵と同じだね」
都度確認してくる姿を微笑ましく思いながら、カバンいっぱいに草を摘んでいく。
腰が悪く取りに行けないと聞いていたのでどんな場所かと思っていたが、以外にも近場にあった。
店の裏側に位置し、木が生い茂り柵で囲まれており、外からの危険は無さそうだった。村から出るということもなく、村の一部となっている森だろうか。
不思議に思いながらも黙々と摘んでく。
「よし、こんなもんかな! 手伝ってくれてありがとう」
「うん……」
お店に戻り、お婆さんへ収穫した草を渡せば、嬉しそうに口元を綻ばせた。
丁寧な手つきで仕分けされていくのを眺めていれば、あっという間に小さく束ねられ、売り物の様な状態となる。
棚を開けしまい込んだお婆さんは、くるりとこちらへ向き直った。
「ふんふん、良し。これぐらいで買い取ろう」
そう言って出されたお金をありがたく受け取る。
ありがとうございます。とお礼をいえば、また頼むぞと言われ、是非と答えて店を後にした。
目的のお金を手に入れ、次は宿を探すぞと意気込み、散策する。
「疲れた」
隣からボソリと呟かれた言葉にハッとし、慌てて休める場所へと移動した。腰を落ち着けたその時、お昼を食べていなかったことに気付き、少年に休んでいるよう言い残し立ち上がった。
香ばしい香りが漂う場所へと向かえば、思った通り串焼きが売られていた。2人分買い、少年の元へと戻ると人が増えていた。話している様子はなく、ただ座っている男。
視界に捉えながらも近ずいて行くと、おもむろに頭をあげ俺の方を向き驚愕した表情を浮かべると懐からナイフを取りだし襲いかかってきた。
真っ直ぐに振りあげられたナイフが空を切る。
何とか避けられたことに安寧するも、何故襲われたのか理解できない。
「何故俺を襲うんですか?」
「お前がうちの娘を攫ったんだろ!」
「……違います」
「見たぞ。お前が子供たちを連れていた……! 攫ったヤツらの仲間なんだろう!」
「……」
男の言いがかりに違うと言いきれなくなり、言い淀む。
俺も一応吸血鬼だ。なら違うなんて言えない。
攫ったのは父の従僕だろう。
「娘を返せっ!!」
「っ!」
周りにいた人達が何事かと遠巻きにこちらを眺めている。これ以上騒がれれば同じように襲いかかってくる人が出てきそうだ。
仕方なくナイフを持つ男の手を掴もうと手を伸ばした。
しかし、掴み切ることがてぎず手の中をすり抜け、ざっくりと胸元に突き刺さる。幸い心臓まで届かず、すぐに傷が塞がった。
奪い取ったナイフを男から遠ざけるように後ろへと隠すように向ける。
「あっ!」
足元に落ちた串焼きに気が付き、落胆する。せっかく稼いだお金で買ったのに。数少ない手元のお金を思い出し、悲しい気持ちになった。
「止めて!」
子供の声が響き、男が声のする方へ振り返る。
俺も釣られて視線を向ける。
「なっ!」
どうして気づかなかったのか。ずっと少年だと思っていた子供はどうやら女の子だった様だ。
なんか凄い雰囲気がある。いい匂いもする。なんの香りだろう。
周りに目を奪われながら歩けば、黒いローブが見えた。下を向いていて容姿はよく分からないが、聞いた話ではお婆さんが営んでいるらしい。恐らくその人だろうと当たりを付け、声をかける。
「すみません……」
黒いローブがピクリと動き、ゆったりとした動作で頭が持ち上がった。
「おや? お客さんかい?」
少し低めの声はそれなりの歳を感じさせ、ローブは顔の半分を隠し、口元だけが見えた。
「いえ、知恵をお借りしたくて来ました」
「ほう? 何かね。 外では出回らない薬でもお探しかい?」
「買取もしていると聞いたので、どんな物が売れるのかと……その、近くで取れる物を何か教えていただければと思いまして」
「そうかい。それなら丁度いい。腰が痛くて取りに行けない薬草を取ってきておくれ。勿論、良い値で買うよ」
「ぜひ!」
怪しい笑が消え、意気揚々と話が進んだことにひとまず安心すれば、ゴソゴソと手元から洋紙が取り出された。
受け取り覗き込むと、場所までの地図が描かれていた。
「この辺りかな……」
地図と周りの風景を照らし合わせ確認する。
洋紙に描かれた草の絵は図鑑で見たことがあるものだった。こんな所で役に立つなんて、無駄じゃなかったな。
読んでいた図鑑の内容を思い出し笑みが浮かぶ。
少年と一緒に手元の絵を見ながら、収穫へと乗り出した。
「……これ」
「そうそう。絵と同じだね」
都度確認してくる姿を微笑ましく思いながら、カバンいっぱいに草を摘んでいく。
腰が悪く取りに行けないと聞いていたのでどんな場所かと思っていたが、以外にも近場にあった。
店の裏側に位置し、木が生い茂り柵で囲まれており、外からの危険は無さそうだった。村から出るということもなく、村の一部となっている森だろうか。
不思議に思いながらも黙々と摘んでく。
「よし、こんなもんかな! 手伝ってくれてありがとう」
「うん……」
お店に戻り、お婆さんへ収穫した草を渡せば、嬉しそうに口元を綻ばせた。
丁寧な手つきで仕分けされていくのを眺めていれば、あっという間に小さく束ねられ、売り物の様な状態となる。
棚を開けしまい込んだお婆さんは、くるりとこちらへ向き直った。
「ふんふん、良し。これぐらいで買い取ろう」
そう言って出されたお金をありがたく受け取る。
ありがとうございます。とお礼をいえば、また頼むぞと言われ、是非と答えて店を後にした。
目的のお金を手に入れ、次は宿を探すぞと意気込み、散策する。
「疲れた」
隣からボソリと呟かれた言葉にハッとし、慌てて休める場所へと移動した。腰を落ち着けたその時、お昼を食べていなかったことに気付き、少年に休んでいるよう言い残し立ち上がった。
香ばしい香りが漂う場所へと向かえば、思った通り串焼きが売られていた。2人分買い、少年の元へと戻ると人が増えていた。話している様子はなく、ただ座っている男。
視界に捉えながらも近ずいて行くと、おもむろに頭をあげ俺の方を向き驚愕した表情を浮かべると懐からナイフを取りだし襲いかかってきた。
真っ直ぐに振りあげられたナイフが空を切る。
何とか避けられたことに安寧するも、何故襲われたのか理解できない。
「何故俺を襲うんですか?」
「お前がうちの娘を攫ったんだろ!」
「……違います」
「見たぞ。お前が子供たちを連れていた……! 攫ったヤツらの仲間なんだろう!」
「……」
男の言いがかりに違うと言いきれなくなり、言い淀む。
俺も一応吸血鬼だ。なら違うなんて言えない。
攫ったのは父の従僕だろう。
「娘を返せっ!!」
「っ!」
周りにいた人達が何事かと遠巻きにこちらを眺めている。これ以上騒がれれば同じように襲いかかってくる人が出てきそうだ。
仕方なくナイフを持つ男の手を掴もうと手を伸ばした。
しかし、掴み切ることがてぎず手の中をすり抜け、ざっくりと胸元に突き刺さる。幸い心臓まで届かず、すぐに傷が塞がった。
奪い取ったナイフを男から遠ざけるように後ろへと隠すように向ける。
「あっ!」
足元に落ちた串焼きに気が付き、落胆する。せっかく稼いだお金で買ったのに。数少ない手元のお金を思い出し、悲しい気持ちになった。
「止めて!」
子供の声が響き、男が声のする方へ振り返る。
俺も釣られて視線を向ける。
「なっ!」
どうして気づかなかったのか。ずっと少年だと思っていた子供はどうやら女の子だった様だ。
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