アイツはいつの間にか俺たちの中にいた。誰一人として気づいていない。俺以外は…。え?嘘だろ?変なのはオレっ?〜未来への追憶〜

もこ

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シンデレラか白雪姫か

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「ちょっとだけ寄り道して行かない?」
駿也に誘われて、モール前のバス停で降りた。駿也が怪我をしたのは半分ぐらいが俺のせい。俺は駿也が学校に来る月水金はバスで通学して、駿也の荷物持ちをすることにした。

母親も了承済み。親として謝罪の電話を入れたいと言われたけど、そのことを駿也にメールしたら、止められた。必要ないって。
『望のせいじゃないから。本当に大丈夫。気にしないで。』

それなら、と荷物持ちの話を出したら手放して喜んでもらえた。
『何それ?』
『ほんと?』
『チョー嬉しい。』
『一緒に登下校できる!』
『明日から?』

続けてピロリン鳴らされて若干引きながら、返事をした。
『うん。明日から。荷物持つからね。』
返ってきた返事が可愛いワンコが「よろしくお願いします」と言ってるスタンプ。…駿也に似合わなすぎて笑えた。

そして今。結局荷物は持たず、器用に松葉杖を使いながら歩く駿也の隣で歩いているだけ。松葉杖は、極力左足に体重を乗せないようにするためで、折れたわけじゃないんだから本当は必要ないって言ってた。

「な、治るのにどのくらい時間がかかるの?」
モールの裏手の入り口から中に入りながら、駿也に話しかけた。駿也はたまに左足を地面につけたりしながら、器用に松葉杖を操っている。

「ん?このギブスもどきは、2週間はするように言われたな。痛みはそのあたりで徐々に無くなってくるから、それと同時に少しずつ動かすようにって言われてる。」
駿也は、普通と変わらないスピードで歩きながら、笑顔でこちらを見た。
「だからさ、2週間はよろしくな?」


モールの1階にあるコーヒーのチェーン店に入った。全国展開している店だ。俺は入るの初めて。コーヒー、苦くないのあるかな?
「何にする?」
カウンターでメニューを見せられて戸惑う。種類が沢山ある!美味しそうなものが沢山っ!

「これっ!」
俺は、生クリームとチョコレートがコーティングされた飲み物を選んだ。メニューに「チョコレート」ってついてるし、甘いだろ!?
「店内でお召し上がりですか?」
化粧バッチリの女の店員さんが、いい笑顔で聞いてくる。

「はい。後、アイスコーヒーを1つ。」
駿也がポケットから財布を出そうとするのを慌てて止めた。
「俺に奢らせて。」
一瞬びっくりした顔の駿也が、笑顔になった。
「ああ、よろしく。今度は俺が持つよ。」

「1280円です。」
お金を払って、すぐに出てきた飲み物を持ち、入り口近くの席に座った。奥のソファ席に駿也を座らせる。隣の椅子を引いて鞄を下ろすと、俺も椅子に座り込んだ。

「んー、美味いなっ!」
一口飲んでその味に感動する。今回は手を出さなかったけど、抹茶やほうじ茶のメニューもあったぞ!?ここってコーヒーの店じゃないのか?…また来よう。

「望は、本当に旨そうな表情するよな。」
コーヒーを一口飲んで、駿也が微笑んでいた。途端に恥ずかしくなる。駿也は妙に落ち着いている。何だか、たまに親戚の叔父さんに見られてるような気がする時があるんだ。

「うるさいよっ!初めてなんだからしょうがないだろっ?」
駿也に吠えていたその横から、声が聞こえた。

「あれっ!?駿也?」
入り口からこちらを覗いていたのは、駿也よりガタイのいい大人の人だった。




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