アイツはいつの間にか俺たちの中にいた。誰一人として気づいていない。俺以外は…。え?嘘だろ?変なのはオレっ?〜未来への追憶〜

もこ

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欅葉祭まであと少し

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「はーい!ここで最終確認!台本、頭に入ってる?」
「うん。」
「イエス!」
里緒奈ちゃんの言葉に全員が反応した。今日もステージ組のほとんどが、弁当を持ち寄って教室で食べている。外で食べるのは少しだけ肌寒くなっていたし、ここのところ駿也も俺も教室でみんなと一緒に食べる事が多くなっていた。

「じゃあさ、今日の放課後は衣装合わせが終わったら、声に合わせて動きを確認しない?」
「どこで?」
隆介が反応する。放課後の教室は、教室展示組がダンボールを広げているから場所がない。

「んー、美術の馬場先生に美術室を使わせてもらえるように頼んでみる。オーケーだったらそこでいい?誰かCDラジカセ借りてきて。スマホだと音の大きさに限界があるし…。」
里緒奈ちゃんは美術部だ。確か部長だったような…。

「な、里緒奈ちゃんって美術部の部長だよな?」
「…ん?そうかな…。」
駿也は朝、階段でサッサと俺を置いて行ってしまってから、ずっとこんな調子。今は自分の作ってきたチキン南蛮には一切手をつけずに、俺のおにぎりを食べるだけ。それもまだ1個目だ。

「おい、大丈夫?」
「…大丈夫。」
だから、その間は何なんだよっ!だんだんと駿也を揺すぶってやりたくなってきた。

「美術部の活動は?大丈夫なの?」
「水曜日は基本的に活動なしだから大丈夫。文化祭に出す作品が終わってない子が来るかもだけど、来ても2~3人だから。」
友希ちゃんの言葉に里緒奈ちゃんが答える。ここ最近、教室展示の手伝いばかりだったけど、今日はステージ組の手伝いで終わりそうだ。



「うん、いいんじゃない?」
役をもらった子たちの衣装を確認して、里緒奈ちゃんが一言呟いた。「いいんじゃない」じゃないだろ?すげーじゃん。特に白雪姫と王子様の衣装。みんなで少しずつお金を出し合って買っただけのことがある。ツルツルピカピカした布地がスカートとズボンに変身だ!

「いいか?何だか恥ずかしくなってきた…。」
王子様役の隆介が真っ白なズボンを眺め回しながら、呟いていた。

「いいな!明日香ちゃん、凄いな。明日香ちゃんだろ?あれ作ったの。」
「そうよ。隆介くんの制服のズボンから型紙取って1から作ったの。ま、母さんのアドバイスありだけどね?」
隣にいた明日香ちゃんに話しかけると、ウインクしながら答えてくれた。裁縫女子って凄いな。尊敬する。でも、お腹はゴムを入れただけだし、そんなに凝ってはないんだそうだ。ま、俺には分からないけど…。

「駿也も穿いてみろよ。」
隆介が、女子の批難を浴びながらその場でズボンを脱ぐと、駿也に差し出してきた。

「えっ?俺?いいよ。必要ない。」
物思いに耽っていた様子の駿也がハッと顔を上げた。駿也は隆介が何かあって学校を休んだ時は代理で王子様をやる事になっていた。駿也は変だ。おにぎりも結局1個しか食べなかったし…。残ったおかずもその場にいたみんなにあげてたし…。ま、俺のおにぎりの残りは鞄にしまってたけど…そこは通常運転か?

「必要だろ!?一応…。お前、俺よりデカいんだからさ。」
隆介の言葉に駿也が渋々腰を上げた。



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