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欅葉祭まであと少し
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「お、おい。どこに行くんだよっ!」
「黙って。」
人気の少ない廊下を腕を掴まれたまま、ズンズン移動する。辿り着いたそこは、非常階段に続く扉の前だった。
「よし。大丈夫。」
駿也は一度立ち止まって、何か自分に言い聞かせているようだった。何が大丈夫なのか分からなかったが、俺たちはあっけなく開かれた扉を通って非常階段に出た。ここは…冷たい秋風に色づいてきた欅が見える。俺たちがいつも使っていたのは、南校舎の非常階段だけれど、ここは北校舎の同じ側にある階段だ…。欅が近い。
「!!」
ゆっくりと眺めている暇もなく、体を反転させられて、駿也の腕の中に閉じ込められた。
「し、駿也っ!?」
「しっ、黙って。」
慌てて離れようとするが、ガッチリと背中と頭に回された腕はびくともしなかった。むしろ力が強くなってる。自然と駿也の香りが鼻に入ってくる…。爽やかな香り…。嫌じゃない…嫌ではない。ドキドキする心臓を抑えようと努力しながら、何て言おうか考えていたが、駿也の心臓も、俺以上に鼓動が速かった。
「ナーイスっ!」
「いいよー。」
どこかの部活動のかけ声が聞こえてくる…。
「…し、駿也。離して。」
「…もう少し…。」
駿也が俺の頭に顔をつけている。まるで…まるで、キスしているように…。
「し、しゅんやっ!」
俺の小さな声を聞いて、駿也が腕を緩めた。…顔が熱い…。な、何で?どうして?どうしたんだ?俺?
「嬉しかったんだ。」
俺の額に額をつけて駿也が呟く。
「な、何が?」
し、駿也…メガネをかけてても、近くでみても破壊力ありまくりなんだけど…。女の子…女の子なら一発で恋に落ちるぞ?
「色々と…。」
そう言った駿也は、顔を離すと、また俺の背中に腕を回してきた。
そっと抱き寄せられて…
髪に…キスをされたような…気がした。
「いこ。」
どこか甘い様子の駿也の言葉に戸惑いながら、非常階段の扉を開けた駿也に続いて中に入った。
「望がこれを望んでいたとは知らなかったなー。」
駿也が歩き始めるとすぐに、口調も元に戻り、俺の肩に腕を回してきた。いや、駿也君、俺が望んでいたのではなく…何というか、口から思わず出てたっていうか…。なぜか反論すれば、何か思わぬ展開になるような気がして、何も言えなかった。
「帰りもこうやっていく?モールまでは一緒だし…。」
俺の顔を覗き込む駿也は上機嫌だ。見なくてもわかる…わかるぞ。
「いや、いい…。」
俺はそう呟くのが精一杯だった。顔が熱い。誰か、何とかして。
「到着。」
肩から腕を外した駿也が、先に立って美術室に入った。俺も頭を振って何ごともなかったように中に入る。劇はちょうど、最後のところ…。隆介扮する王子が瞳美演じる白雪姫にキスをして息を吹き返したところ…。
『白雪姫は王子の熱烈な求婚に応じて、いつまでも幸せに暮らしました。』
CDから流れるナレーションに合わせて手を取り合い、顔を見つめてにっこり笑う…。うん、隆介も瞳美ちゃんも上出来だ。
「黙って。」
人気の少ない廊下を腕を掴まれたまま、ズンズン移動する。辿り着いたそこは、非常階段に続く扉の前だった。
「よし。大丈夫。」
駿也は一度立ち止まって、何か自分に言い聞かせているようだった。何が大丈夫なのか分からなかったが、俺たちはあっけなく開かれた扉を通って非常階段に出た。ここは…冷たい秋風に色づいてきた欅が見える。俺たちがいつも使っていたのは、南校舎の非常階段だけれど、ここは北校舎の同じ側にある階段だ…。欅が近い。
「!!」
ゆっくりと眺めている暇もなく、体を反転させられて、駿也の腕の中に閉じ込められた。
「し、駿也っ!?」
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慌てて離れようとするが、ガッチリと背中と頭に回された腕はびくともしなかった。むしろ力が強くなってる。自然と駿也の香りが鼻に入ってくる…。爽やかな香り…。嫌じゃない…嫌ではない。ドキドキする心臓を抑えようと努力しながら、何て言おうか考えていたが、駿也の心臓も、俺以上に鼓動が速かった。
「ナーイスっ!」
「いいよー。」
どこかの部活動のかけ声が聞こえてくる…。
「…し、駿也。離して。」
「…もう少し…。」
駿也が俺の頭に顔をつけている。まるで…まるで、キスしているように…。
「し、しゅんやっ!」
俺の小さな声を聞いて、駿也が腕を緩めた。…顔が熱い…。な、何で?どうして?どうしたんだ?俺?
「嬉しかったんだ。」
俺の額に額をつけて駿也が呟く。
「な、何が?」
し、駿也…メガネをかけてても、近くでみても破壊力ありまくりなんだけど…。女の子…女の子なら一発で恋に落ちるぞ?
「色々と…。」
そう言った駿也は、顔を離すと、また俺の背中に腕を回してきた。
そっと抱き寄せられて…
髪に…キスをされたような…気がした。
「いこ。」
どこか甘い様子の駿也の言葉に戸惑いながら、非常階段の扉を開けた駿也に続いて中に入った。
「望がこれを望んでいたとは知らなかったなー。」
駿也が歩き始めるとすぐに、口調も元に戻り、俺の肩に腕を回してきた。いや、駿也君、俺が望んでいたのではなく…何というか、口から思わず出てたっていうか…。なぜか反論すれば、何か思わぬ展開になるような気がして、何も言えなかった。
「帰りもこうやっていく?モールまでは一緒だし…。」
俺の顔を覗き込む駿也は上機嫌だ。見なくてもわかる…わかるぞ。
「いや、いい…。」
俺はそう呟くのが精一杯だった。顔が熱い。誰か、何とかして。
「到着。」
肩から腕を外した駿也が、先に立って美術室に入った。俺も頭を振って何ごともなかったように中に入る。劇はちょうど、最後のところ…。隆介扮する王子が瞳美演じる白雪姫にキスをして息を吹き返したところ…。
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