未来も過去も

もこ

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19年前

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メガネを渡していいのか分からなかったが、自分の判断で責任を取るしかないと思いながら、メガネを外した。フレームの外側にある小さなボタンをオフにする。
「どうぞ。」
「ちょっと時間がかかるかも知れません。大丈夫ですか?」

今日は泊まりになると聞いてきたとは言えず、「大丈夫です。」というしかなかった。
「お父さん!お兄ちゃんに遊んでもらっていい?」
大きく目を見開いて弾む声でこう君が言った。

「ああ。…小野寺さん、大丈夫ですか?」
躊躇いがちに顔を向けられたが、俺は嬉しくなった。
「はい。ぜひ。」

こう君に手を引かれてやってきたのは、近所の公園だった。公園を囲むように植えられている桜の木が所々色づいている。天気が怪しいからか誰も遊んでおらず、端にあるベンチに老人が1人座っているだけだった。滑り台やブランコ、鉄棒などの遊具には目もくれず、こう君は持ってきたサッカーボールを目の前に掲げた。

「サッカーしよう?」

始めは公園の中央に広がる芝生の上でパスをするだけだったが、いつのまにかゴールに見立てたジャングルジムにどちらが上手に当てられるか競っていた。

「はあ、はあっ…。…こう君上手だね!」
お互いにボールを拾いあってるのに息切れがすごい。大丈夫か、俺。息を整えながら、休憩を申し込んだ。

「こう君は、サッカー好き?」
公園の入り口にある自販機でジュースを選びながら、こう君に話しかけた。
「うん。今スポ少に入ってるの。」
「うまいわけだ。…いつから?」
「2年生になってから。今度柔道習う。」
「へぇ。どうして?」
誰もいなくなったベンチに座りながら、隣のこう君を見た。こう君は、オレンジジュースの缶を見つめながら、何が考えているようだった。
「僕、強くなりたいの。」

話を聞くと、最近クラスで揶揄われている女の子がいたらしい。揶揄っていたグループの男の子にやめるように言ったが、突き飛ばされてしまったのだとか。その後担任が介入し揶揄いは止んだそうだが、よほど悔しかったと見える。
「僕の方が背が高いのに…。」
そう悔しがるこう君が、とても眩しく見えた。

俺が2年生だったときはどんなだっただろう。クラスの中心から外れて、静かに本を読んでいた自分を思い出す。表舞台に上がるのを嫌って、小学生の頃はいつも誰かの後ろに隠れていた…。

会話が途切れ、静かに缶ジュースを飲んでいると、公園の入り口から声が聞こえた。

「おーい!お昼にしよう!」
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