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19年前
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「お兄ちゃん。お兄ちゃん!起きて!」
いきなり目が覚めた。目の前に泥だらけのこう君の顔があった。
「おわっ。ご、ごめん。寝てた?俺?っつうか今何時?」
慌てて起き上がると掛けてあった毛布が落ちた。巌城さんが掛けてくれたのだろうか?めちゃくちゃ恥ずかしい。たしか、本を読んでいたはず。魔法学校が舞台の有名な児童書。小さい頃に3巻までは読んだ本。たしか映画にもなってた。懐かしくなって、手に取ったのに。
本は枕元にきちんと置いてあった。気を取り直してこう君を見ると、酷い汚れようだ。雨が降ってきたらしい。窓の外を見ると薄暗く、雨が音を立てて降っているのが見えた。
「お兄ちゃん、なかなか起きないんだもん。」
隣で泥だらけのこう君が、ぷくっと頬を膨らます。
「ごめんな。」
頭に手を乗せて謝ると、結構濡れている。よく見ると、畳のあちこちにも濡れた跡があった。
「ほら、洸、風呂に入ってきなさい。洗ってきたから。」
雑巾を片手に巌城さんが入ってきた。
「ね、お兄ちゃん、一緒に入ろうよ。」
…?なに?
「一緒に?それは…」
他人の家でぐっすり寝てしまったことでいたたまれない気持ちなのに、その上に風呂?
「いいね。今日は泊まっていってください。あちらはもう少しかかりそうですし…」
「いや、時間は問題ありませんが、これ以上ご迷惑をかけるわけには…。どこか近くにホテルを探して、明日出直します。」
巌城さんの好意を全力で退けようと声に力を込めた。
「いや、リスクを考えるとあまり出歩かない方が良いのでは?」
正論に言葉が詰まる。この時代の人たちと関わり合わないのが1番いいのだ。けれども…。巌城さんの家とこれ以上濃厚に関わるのが良いことか判断できなかった。
「はあ…。」
何とも間抜けな返答に巌城さんが笑顔で言った。
「ぜひ泊まってください。洸も喜びますし、私も大歓迎ですよ。」
結局、巌城さんの好意を断りきれなかった俺は、こう君と一緒にお風呂に入り、夕飯を食べてお泊まりする事になった。寝巻き用のスエットは全て巌城さんのものを借り、新しい下着までもらってしまった。青と白、そして黒の縞模様のトランクス!
懐かしい。親父がこんなの穿いてたっけ。巌城さんとはさほど身長は変わらないつもりだったが、全ての服が若干大きくて少しへこんだ。
いきなり目が覚めた。目の前に泥だらけのこう君の顔があった。
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慌てて起き上がると掛けてあった毛布が落ちた。巌城さんが掛けてくれたのだろうか?めちゃくちゃ恥ずかしい。たしか、本を読んでいたはず。魔法学校が舞台の有名な児童書。小さい頃に3巻までは読んだ本。たしか映画にもなってた。懐かしくなって、手に取ったのに。
本は枕元にきちんと置いてあった。気を取り直してこう君を見ると、酷い汚れようだ。雨が降ってきたらしい。窓の外を見ると薄暗く、雨が音を立てて降っているのが見えた。
「お兄ちゃん、なかなか起きないんだもん。」
隣で泥だらけのこう君が、ぷくっと頬を膨らます。
「ごめんな。」
頭に手を乗せて謝ると、結構濡れている。よく見ると、畳のあちこちにも濡れた跡があった。
「ほら、洸、風呂に入ってきなさい。洗ってきたから。」
雑巾を片手に巌城さんが入ってきた。
「ね、お兄ちゃん、一緒に入ろうよ。」
…?なに?
「一緒に?それは…」
他人の家でぐっすり寝てしまったことでいたたまれない気持ちなのに、その上に風呂?
「いいね。今日は泊まっていってください。あちらはもう少しかかりそうですし…」
「いや、時間は問題ありませんが、これ以上ご迷惑をかけるわけには…。どこか近くにホテルを探して、明日出直します。」
巌城さんの好意を全力で退けようと声に力を込めた。
「いや、リスクを考えるとあまり出歩かない方が良いのでは?」
正論に言葉が詰まる。この時代の人たちと関わり合わないのが1番いいのだ。けれども…。巌城さんの家とこれ以上濃厚に関わるのが良いことか判断できなかった。
「はあ…。」
何とも間抜けな返答に巌城さんが笑顔で言った。
「ぜひ泊まってください。洸も喜びますし、私も大歓迎ですよ。」
結局、巌城さんの好意を断りきれなかった俺は、こう君と一緒にお風呂に入り、夕飯を食べてお泊まりする事になった。寝巻き用のスエットは全て巌城さんのものを借り、新しい下着までもらってしまった。青と白、そして黒の縞模様のトランクス!
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