未来も過去も

もこ

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杉崎という男

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部屋に帰ってきた。シャワーが浴びたい。誰もいないことをいいことに、玄関から一枚ずつ洋服を脱ぎ捨て、タオルと下着だけ持って、浴室へ向かった。脱衣所でパンツを脱ごうとしてふと手を止める。俺には少し大きいトランクス。昨日のことが夢ではなかった証拠。こう君の笑顔を思い出し、にっこり笑ってトランクスを脱いだ。

目を瞑りながら頭を洗ってると、昨夜のことを思い出す。こう君に頭を洗ってもらったこと。洗ってあげたというこう君のドヤ顔。…夢にも出てきたっけ。

泡が大きくか固まり、鼻の頭から口元をかすめて下に落ちた。

『!!』

…あれは夢?「過去の部屋」で起きたこと。金縛りにあったっけ。動けなかった。誰かの手が頬に触れて…。口元にかすめるような…。キスみたいな…。…あそこにいたのは…コウイチだけ…。

心臓がバクバクいってきた。ヤバイ。何考えてんだ。そんな訳ない。しっかりしろ、俺。

明日からはまた仕事だ。しばらくはコウイチにも会わないはず。今回の職場へのお土産は何にしようかな。今日のうちに買っておかないと。俺は、頭を切り替えるべく手早く頭と体を洗い流し、風呂場から出た。

部屋に戻って脱ぎ散らした服を集めていると、テレビ台の横に置いてたスマートフォンが点灯しているのが見えた。電話だ。慌てて確認すると、杉崎課長から。あれ?今日は休みだよな?訝しみながら、電話に出た。

「小野寺君、お帰り。」
のんびりした課長の声に少しホッとする。
「課長、何かありましたか?」
「ああ。たいしたことでは無いんだけどねー。今日の夕飯、ちょーっと、一緒に食べない?」
「はあ?」
なにか失敗したかな?メガネ渡したのがまずかった?それともお泊まり?電話で問いたいのはやまやまだったが、とりあえずは課長は勤務中なわけで。夜でもいいかと、6時に一階の和風レストランで落ち合うことにした。
 
通話を終えると、メールが2件届いていた事に気づいた。どちらも生田からだ。

『12時、ラーメン屋に集合!』
10時に一件。
『おーい、何かあったか?』
12時半に2件め。もう2時過ぎてる。心配かけたかも。
『今帰った。また明日な。』
とりあえず返信を打って、ごめんなさいのワンコのスタンプを押す。6時まで4時間近く自由だ。残り少ない今日の休みをどう過ごすか考えることにした。

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