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「ミノ・カフェ」
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田所さんが俺を抱きしめたまま顔を上げた。
『コウイチ!』
声だけでコウイチだと分かっていたが、首を出来る限り回して確認した。
コウイチは肩で息をしながら、イヤホンを外すところだった。
「こ、コウイチ…。」
イヤホンとスマホを持っていた紙袋に入れてソファに置くと、田所さんの腕を掴み、俺から引き離してくれた。そのまま、俺の前に守るように立つ。
「あなたには関係ないでしょう?」
腕を摩りながら呟く田所さんの言葉は丁寧だが、怒っているのは明らかだった。
「そうかもしれないが、奏が嫌がっているのも事実だ。俺に助けを求めた。」
コウイチは毅然としていた。
「助けを?」
訝しげに問い返す田所さんは、体を横にずらして俺に話しかけてきたが、コウイチも身体をずらして田所さんの視線から守ってくれた。俺は俯き、少しだけ震える身体を抑えようと努力していた。
「ああ。…好きな気持ちはわかる。しかし、強引に抱きしめるのはどうなんだ?それで相手を想っていると言えるのか?」
「強引じゃない。」
「奏は『無理だ』と言ってただろう。」
「…」
コウイチが畳み掛ける言葉に、田所さんは何も言えないようだった。
「今日は見逃してやる。でも、同じようなことがあれば、さっきの会話をお前の会社に流すぞ。…今も録音している。職権を濫用したり、ストーカー紛いのことをしていたり。奏が告発すれば、職を追われるだろうな。」
コウイチが饒舌だ。皮肉な口調。…初めて聞いた。
「ば、ばかな。」
田所さんは、言葉を失ったようだった。
「生憎、事を大きくしたくない。奏のことは諦めろ。他を探せ。」
コウイチの威圧的な言葉で、勝負が決まったようなものだった。
「小野寺さん…。」
田所さんはこちらを見て一言呟いた。暫くこちらを見ていたが、意を決したように身を翻してその場を離れていった。ようやく俺も田所さんの去る姿をまともに見る気になった。田所さんには悪いと思うが、俺はどう転んでも好きにはなれない。たとえ、コウイチに気持ちを伝えないまま…片思いのまま、人生が終わろうとも…。
「…大丈夫か。」
コウイチが俺を見ている。俺はコウイチを見る事ができずに、そのままソファに座った。嵐が去ってみれば、大したことはなかったんじゃないかと思えてくる。わざわざコウイチを頼らなくとも、俺一人でもどうにかできたかもしれない。俺の隣にある紙袋を見るにつけ、俺の勝手な行動がコウイチに迷惑だったと思えて他ならない。
「…どうした?」
コウイチが紙袋を抱えて、俺の隣に腰掛けた。
『コウイチ!』
声だけでコウイチだと分かっていたが、首を出来る限り回して確認した。
コウイチは肩で息をしながら、イヤホンを外すところだった。
「こ、コウイチ…。」
イヤホンとスマホを持っていた紙袋に入れてソファに置くと、田所さんの腕を掴み、俺から引き離してくれた。そのまま、俺の前に守るように立つ。
「あなたには関係ないでしょう?」
腕を摩りながら呟く田所さんの言葉は丁寧だが、怒っているのは明らかだった。
「そうかもしれないが、奏が嫌がっているのも事実だ。俺に助けを求めた。」
コウイチは毅然としていた。
「助けを?」
訝しげに問い返す田所さんは、体を横にずらして俺に話しかけてきたが、コウイチも身体をずらして田所さんの視線から守ってくれた。俺は俯き、少しだけ震える身体を抑えようと努力していた。
「ああ。…好きな気持ちはわかる。しかし、強引に抱きしめるのはどうなんだ?それで相手を想っていると言えるのか?」
「強引じゃない。」
「奏は『無理だ』と言ってただろう。」
「…」
コウイチが畳み掛ける言葉に、田所さんは何も言えないようだった。
「今日は見逃してやる。でも、同じようなことがあれば、さっきの会話をお前の会社に流すぞ。…今も録音している。職権を濫用したり、ストーカー紛いのことをしていたり。奏が告発すれば、職を追われるだろうな。」
コウイチが饒舌だ。皮肉な口調。…初めて聞いた。
「ば、ばかな。」
田所さんは、言葉を失ったようだった。
「生憎、事を大きくしたくない。奏のことは諦めろ。他を探せ。」
コウイチの威圧的な言葉で、勝負が決まったようなものだった。
「小野寺さん…。」
田所さんはこちらを見て一言呟いた。暫くこちらを見ていたが、意を決したように身を翻してその場を離れていった。ようやく俺も田所さんの去る姿をまともに見る気になった。田所さんには悪いと思うが、俺はどう転んでも好きにはなれない。たとえ、コウイチに気持ちを伝えないまま…片思いのまま、人生が終わろうとも…。
「…大丈夫か。」
コウイチが俺を見ている。俺はコウイチを見る事ができずに、そのままソファに座った。嵐が去ってみれば、大したことはなかったんじゃないかと思えてくる。わざわざコウイチを頼らなくとも、俺一人でもどうにかできたかもしれない。俺の隣にある紙袋を見るにつけ、俺の勝手な行動がコウイチに迷惑だったと思えて他ならない。
「…どうした?」
コウイチが紙袋を抱えて、俺の隣に腰掛けた。
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