95 / 110
想いが溢れた
2
しおりを挟む
「…いつから…?」
コウイチが、俺の顔を両手で包んで持ち上げた。俺はまだ涙が止まらなかったがコウイチの目を見てハッキリと告げた。
「……もう…ずっと前から…。」
コウイチは何も言わずに顔を傾けると、そっと俺にキスを落とした。初めてコウイチからされたキスはとても長く、何日か前にこう君からされたものと同じものだった。
「…ずっと、待ってた…。…諦められなかった…愛してた…。」
コウイチは、そう言うと俺のメガネを外して唇を重ね、舌で俺の唇を舐めた。静かに舌が入ってくる。その甘い動きに俺は何も考えられなくなった。コウイチの舌を追いかける。全身が痺れてコウイチの舌のことしか考えられなくなった。ここが過去であるということ、公園であるということ…どうでも良かった…。
「カサッ」
小さな音に反応して、俺たちは口づけを離した。コウイチは俺の顔を隠すように胸に抱いて辺りを見回した。
「帰ろう…」
コウイチは俺の右手を左手で握り、メガネをポケットに入れると、もう既に飲み干していたコーヒーの缶を拾った。公園の入り口近くにある自販機の缶入れに2人で缶を捨てに行く。
『『!』』
缶専用のゴミ箱の蓋の上に、茶封筒が置いてあった。俺が…巌城さんから受け取ってくるはずだった封筒…!
「…奏?……忘れてきたのか?」
コウイチの声がいつもの調子に戻っていた。
「…う、うん……へへへ。」
俺は、笑ってごまかすしかなかった。
「くそっ。親父の奴…!」
真っ赤な顔をしたコウイチが、封筒を乱暴に掴むとそのままズンズン歩きはじめた。
「えっ?また行くの…?」
俺はこのまま2人で巌城さんに会いに行くのはとても恥ずかしかった。
「行くはずないだろう。…帰る。」
まだ赤い顔のままで、少し歩みを遅くしたコウイチが、こちらをチラリと見た。
そのまま大通りまで出て、俺たちはバスを待たずにタクシーを捕まえた。コウイチは俺の右手を離そうとはしなかった。
いつものバス停前でタクシーを止め、俺たちは金を払って降り立った。まだ7時前にもかかわらず、人通りが全くなかった。タクシーを見送ると、コウイチは俺の顎に手を添えて上を向かせ、また口づけてきた。
「こ、コウイチっ!は、恥ずかしい…。」
俺はこんなところでキスをした事なんかないぞっ!誰かに見られたらと思うと、とても恥ずかしかった。
「恥ずかしくない…。まだ足りない…。」
耳元で囁かれたコウイチの声に全身がゾクゾクと痺れた。コウイチにしがみつき、顔を胸に埋めるしか方法が無かった。息を大きく吸い込む。コウイチの匂いがする…。安心する…コウイチの香り…。
「行こう。」
コウイチが呟き、俺にメガネを返してきた。俺はメガネをハンカチで拭いて綺麗にし、スイッチが入っている事を確認すると、また手をコウイチの左手に手を滑り込ませて道を渡った。コウイチもギュッと握り返してくれた。
コウイチが、俺の顔を両手で包んで持ち上げた。俺はまだ涙が止まらなかったがコウイチの目を見てハッキリと告げた。
「……もう…ずっと前から…。」
コウイチは何も言わずに顔を傾けると、そっと俺にキスを落とした。初めてコウイチからされたキスはとても長く、何日か前にこう君からされたものと同じものだった。
「…ずっと、待ってた…。…諦められなかった…愛してた…。」
コウイチは、そう言うと俺のメガネを外して唇を重ね、舌で俺の唇を舐めた。静かに舌が入ってくる。その甘い動きに俺は何も考えられなくなった。コウイチの舌を追いかける。全身が痺れてコウイチの舌のことしか考えられなくなった。ここが過去であるということ、公園であるということ…どうでも良かった…。
「カサッ」
小さな音に反応して、俺たちは口づけを離した。コウイチは俺の顔を隠すように胸に抱いて辺りを見回した。
「帰ろう…」
コウイチは俺の右手を左手で握り、メガネをポケットに入れると、もう既に飲み干していたコーヒーの缶を拾った。公園の入り口近くにある自販機の缶入れに2人で缶を捨てに行く。
『『!』』
缶専用のゴミ箱の蓋の上に、茶封筒が置いてあった。俺が…巌城さんから受け取ってくるはずだった封筒…!
「…奏?……忘れてきたのか?」
コウイチの声がいつもの調子に戻っていた。
「…う、うん……へへへ。」
俺は、笑ってごまかすしかなかった。
「くそっ。親父の奴…!」
真っ赤な顔をしたコウイチが、封筒を乱暴に掴むとそのままズンズン歩きはじめた。
「えっ?また行くの…?」
俺はこのまま2人で巌城さんに会いに行くのはとても恥ずかしかった。
「行くはずないだろう。…帰る。」
まだ赤い顔のままで、少し歩みを遅くしたコウイチが、こちらをチラリと見た。
そのまま大通りまで出て、俺たちはバスを待たずにタクシーを捕まえた。コウイチは俺の右手を離そうとはしなかった。
いつものバス停前でタクシーを止め、俺たちは金を払って降り立った。まだ7時前にもかかわらず、人通りが全くなかった。タクシーを見送ると、コウイチは俺の顎に手を添えて上を向かせ、また口づけてきた。
「こ、コウイチっ!は、恥ずかしい…。」
俺はこんなところでキスをした事なんかないぞっ!誰かに見られたらと思うと、とても恥ずかしかった。
「恥ずかしくない…。まだ足りない…。」
耳元で囁かれたコウイチの声に全身がゾクゾクと痺れた。コウイチにしがみつき、顔を胸に埋めるしか方法が無かった。息を大きく吸い込む。コウイチの匂いがする…。安心する…コウイチの香り…。
「行こう。」
コウイチが呟き、俺にメガネを返してきた。俺はメガネをハンカチで拭いて綺麗にし、スイッチが入っている事を確認すると、また手をコウイチの左手に手を滑り込ませて道を渡った。コウイチもギュッと握り返してくれた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる