未来も過去も

もこ

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俺たちの明日は

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チュッと耳元にキスが落とされる…。
「おはよう。」
「…ンンン…」
くすぐったさに目が覚めると、洸一の濃厚なキスが待っていた。…思わず吸いつく。…毎朝の挨拶。
「欲しくなった?」
これも毎朝…。洸一大好き。心を込めてギュッとしがみつく。

「…期待に応えたいとこだが、今日は配達行くぞ。」
「えっ?」
俺はびっくりして布団の中で顔を上げた。
「……明日だよ?」
洸一がニヤッと笑った。
「今日行っとけば、明日と明後日と連休になるだろ。俺も基本土日が休み。だから…デート。」

デート…デートって…。俺は顔が熱くなった。でも、俺はここから出られない…。まだ2月だ。
「映画を観に行ったり買い物したり…。映画、行けなかったろ?」
…思い出した。こう君と…行くはずだった…映画。
「行くっ!」
俺に異存はなかった。

「でも、大丈夫かな?」
決められた日にちを勝手に変更していいのか?俺はそれが心配だった。
「大丈夫。昨日のうちに準備しといた。親父からも何も言ってこないから、了承したということだ。心配ない。」
俺は洸一の言葉に安心して、支度をするために起き上がった。



2人で昨夜の残りのおにぎりを食べ、メガネをかけて身支度も済んだ。投函する手紙を持ち「過去の部屋」で新田さんが来ない事を指摘すると、
「今日はすぐ終了できるから監視はいらない。奏は俺が守るし…。」
ちゅっとキスをしながら洸一が言った。顔が熱くなる…。けど、だんだん洸一の甘さに慣れてきている俺がいる。…大丈夫か、オレ…。

今日は、俺も普段着。巌城家におじゃまするわけでもないし…。洸一は前と同じ革ジャンを羽織った。…かっこいい…俺も欲しい。買い物でモールの専門店街を見てみよう…。明日の予定を頭に入れて、洸一の左手に手を滑り込ませながら壁に手紋を合わせた。


いつもの場所に降り立つ。今日は、暖かな日差しが俺たちを包んだ。もうすぐ春だ。道を渡り、いつものバス停を…素通りした。
「あれ?バスは?乗らないの?」
洸一の顔を見ながら尋ねると、洸一が短い言葉で応じた。
「乗らない。」
洸一の返事は前と変わらず短いけど、どこか温かみが出たような気がする。初めて会った頃と全然印象が違った。

俺たちはそのまま100メートルほど歩き、郵便ポストの前で立ち止まった。
「ここだ。」
「でも、隣町って…。」
洸一が俺の顎を持ち上げ、俺の目を見ながら話しはじめた。

「未来は一つじゃない。全部実現しなくともいいんだ。そんなに過去に囚われる必要はない。俺たちの明日は俺たちで決める。そうしないと、自分を見失うことになる。」

そう言ってキスをしてきた洸一の唇を受け止めながら、そうだなと納得した。
巌城さんに手紙は届く。ちょっぴり消印が違くなるだけ…。

それから俺たちは手紙を投函して15分もかからなかった任務を遂行すると、残りの時間をどう過ごすか話しながら未来へ戻った。




ー完ー

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