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3回目〜5年前〜(悠)
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303号室の郵便受けにも入り口の扉にも名前の表示がない。本当にここか?少し不安になりながらも、インターフォンを押した。
『……。』
応答がない。…もう一度。しばらく待つが人の気配がなかった。
『どうする?隣に聞いてみるか?』
隣の部屋へ足を向けようとした途端に、そのドアが開いた。
「こんにちは。」
とっさに笑顔を貼り付ける。出てきたのは、まだ30代前半と思われる若い女性だった。
「あら?杉田さんなら引っ越したわよ?」
「あ、そうなんですね?どちらに越されたかはご存知ですか?」
「ええ。結婚して…。あなたは?」
すかさず身分証を見せる。
「こちらの保険部担当のものなのですが、杉田さんに…還付金があるのに連絡が取れなくなってしまって、困ってたんです。」
「待ってて。何かあった時にって預かってた住所があったはず…。」
家の中に入っていった女性が程なくしてメモを持って出てきた。
『佐藤良子』
住所は…戻った方が近いかもしれない。
「ありがとうございます。このメモは頂いても宜しいでしょうか?」
「ええ。ごめんなさいね。電話番号も聞いておけば良かったわね。」
「いえ、助かります。」
お礼を言ってその場を立ち去る。オイ、今のご時世にそんなにアッサリ個人情報渡していいのか?人の良さそうなその女性に呆れながら…。
大通りに出てしばし考える。とんぼ返りか…面白くないな。記録がなくなったのは、たぶん結婚が原因だ。何かしらの手続きが滞って記録が更新されてないんだろう…。
『でもやっぱり顔は確認した方がいいだろうな。』
スマホの地図アプリに住所を登録して検索を始めた。
『あれ?』
ふと目を上げた瞬間に、マンションの入り口に身を潜める。道の向こうのアパートから『俺』が出てきた。
『あのバッグ…授業だな。』
いつも大学に持っていってたバッグを背負って、携帯で話をしながら歩いている。
『彼女か?』
1年の10月…。もはや誰と付き合っていたのかすら忘れてる。
『しばらく留守だな…。』
頭をよぎったのは宝物箱。急に中を見たい欲求が溢れてきた。
『よし。』
スマホをスーツのポケットにしまい、『俺』が向かった方とは逆方向の横断歩道へ歩き出す。
『ほんのちょっと…見るだけ。』
あの箱に何か、大切なものが入っている。宝物なんだけど…小さい頃のガラクタじゃなくて…何か…。
アパートの鍵は持ち歩かない。いつも置く場所は決めていた。横断歩道を渡ると、アパートの郵便受けに向かい、205号室のダイヤルを回す。暗証番号は「1260」。自分の誕生日の6月12日をもじったもの。昔から変えてない。
案の定、郵便受けの底に鍵が落ちていた。
『……。』
応答がない。…もう一度。しばらく待つが人の気配がなかった。
『どうする?隣に聞いてみるか?』
隣の部屋へ足を向けようとした途端に、そのドアが開いた。
「こんにちは。」
とっさに笑顔を貼り付ける。出てきたのは、まだ30代前半と思われる若い女性だった。
「あら?杉田さんなら引っ越したわよ?」
「あ、そうなんですね?どちらに越されたかはご存知ですか?」
「ええ。結婚して…。あなたは?」
すかさず身分証を見せる。
「こちらの保険部担当のものなのですが、杉田さんに…還付金があるのに連絡が取れなくなってしまって、困ってたんです。」
「待ってて。何かあった時にって預かってた住所があったはず…。」
家の中に入っていった女性が程なくしてメモを持って出てきた。
『佐藤良子』
住所は…戻った方が近いかもしれない。
「ありがとうございます。このメモは頂いても宜しいでしょうか?」
「ええ。ごめんなさいね。電話番号も聞いておけば良かったわね。」
「いえ、助かります。」
お礼を言ってその場を立ち去る。オイ、今のご時世にそんなにアッサリ個人情報渡していいのか?人の良さそうなその女性に呆れながら…。
大通りに出てしばし考える。とんぼ返りか…面白くないな。記録がなくなったのは、たぶん結婚が原因だ。何かしらの手続きが滞って記録が更新されてないんだろう…。
『でもやっぱり顔は確認した方がいいだろうな。』
スマホの地図アプリに住所を登録して検索を始めた。
『あれ?』
ふと目を上げた瞬間に、マンションの入り口に身を潜める。道の向こうのアパートから『俺』が出てきた。
『あのバッグ…授業だな。』
いつも大学に持っていってたバッグを背負って、携帯で話をしながら歩いている。
『彼女か?』
1年の10月…。もはや誰と付き合っていたのかすら忘れてる。
『しばらく留守だな…。』
頭をよぎったのは宝物箱。急に中を見たい欲求が溢れてきた。
『よし。』
スマホをスーツのポケットにしまい、『俺』が向かった方とは逆方向の横断歩道へ歩き出す。
『ほんのちょっと…見るだけ。』
あの箱に何か、大切なものが入っている。宝物なんだけど…小さい頃のガラクタじゃなくて…何か…。
アパートの鍵は持ち歩かない。いつも置く場所は決めていた。横断歩道を渡ると、アパートの郵便受けに向かい、205号室のダイヤルを回す。暗証番号は「1260」。自分の誕生日の6月12日をもじったもの。昔から変えてない。
案の定、郵便受けの底に鍵が落ちていた。
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