ある時、ある場所で

もこ

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3回目〜5年前〜(悠)

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高校の裏門を通り抜ける。こちらは職員用。奥に広い駐車場があり、先生たちが車を止めているのは当時から分かっていた。何となく、駐車場の方に歩く…。ふと、脇から声をかけられた。
「あら?業者の方ですか?」
『ヤバ…養護の……先生だ。』
懐かしい…が、名前が出てこない。何だっけ?何度か保健室には世話になった事がある。40代の先生…バレないよな?

「はい…。いつもお世話になっております。…教材のものですが、新人なもので…迷ってしまって。」
教材屋の名前なんて知らないから、モゾモゾとごまかした。でも、40代子ども2人のおばちゃん先生には分からなかったようだ。人のいい笑顔で、
「ここから校舎正面に回ると玄関が近いですよ。」
と教えてくれて、自分は車に乗り込んで行ってしまった。

『ヤバイな…まだ3時半か…。』
生徒たちはまだ授業中だろう…。6時間目が終わる頃か?7時間目があるのは何曜日だった?そこそこの進学校だったその高校は、週に2日ほど、7時間の授業が行われていた。

『正門で待つって言ってもな…。』
とりあえず休もうと、人が来ないところを目指して第二体育館の裏に入って行った。
『ここなら大丈夫だろ。』
第二体育館に併設されている弓道場と車道を遮る木の間に座り込む。正面から西日が当たって暖かくて心地いい。遅い昼食を取ってきた事で、胃に血液が集中しており、眠るつもりは全然なかったのに、不覚にも眠ってしまった。



「「お疲れ様でした!」」
何人かの男子の声でハッと目が覚めた。夕日がしずもうとしている。あたりの空気がひんやりとしていて、ブルッと身震いした。
『ヤバイ。寝てた…。今何時だ?』
スマホで時間を確認すると、17時20分。「奥村真人」を遠目で一目見ようと来たはずなのに逃したらしい。つか、もう一度任務に戻らないと…。今任務に戻ったら、泊まり決定だな…。

「おい、まこと、最後頼める?俺ちょっと…待たせているからさ。」
「ああ、いいよ。」
『まこと』という言葉にピクリと体が反応した。

「いいな…デート?」
この声…以前聞いた「まこと」の声か…?
「まあな。…お前、瑞希ちゃん振ったってホント?」
「ああ。俺好きな奴いるし…。」
好きな奴…。声だけ聞けば、あの「奥村真人」のような気がする…。どうしても確認したくなり、そおっと壁づたいに移動して弓道場を覗いてみた。

「とか言いながら、お前告ったためし、ねぇじゃん。」
2人の男が白い道着と紺色の袴姿で話をしていた。1人は背が高く体格のいい男。もう1人は…まこと?
「いいんだよ。見ているだけで。」

もう1人の小柄な男が、地面に落ちていた箒を取ろうと身を屈ませた。箒を掴んで体を起こした拍子に目が合った…気がした。
「!」
今日2度目の雷に全身が打たれた。間違いない…「奥村…真人」だ。あの瞳…いつの間にか囚われていた。ずっとまた会いたかった…瞳…。真人が背を向けて、部屋の隅にあるロッカーへ箒を片付ける。

「もったいねえな。お前のこと狙ってる子、結構いるって噂だぜ?」
「噂は噂だろ?それに好きな子以外に告白されても心は動かないし。ほら、遅くなるぞ。待たせてるんだろ?とっとと行け!」
真人がもう1人の男に蹴りを喰らわせていた。

その後すぐに2人の姿が見えなくなったが、俺はしばらくそこから動けなかった。





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