ある時、ある場所で

もこ

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3回目〜5年前〜(悠)

15

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「ただいま戻りました。」
駐車場の物置小屋の入り口から、未来への扉を手紋で開ける。10時半。俺は未来に戻った。ホテルをチェックアウトして駅前のファミレスで朝食を取った後、ダメ元で佐藤良子の所在を確認しに行ったら、ちょうど旅行から帰ったと思われる佐藤夫妻が車から降りるところだった。メガネを通して顔をバッチリとらえた。まちがいない。杉田良子、いや、佐藤良子だ。通行人を装い立ち止まらずにそのまま戻ってきた。

「お帰り。」
パソコンの前に座っていた洸一さんが、ぼそっと呟いた。テーブルに向かい、スマホや財布、身分証を置く。
「杉田良子は結婚していました。」
「ああ、昨日のメモでこちらも確認していた。」

メガネを外そうとしていた手を止めて洸一さんを見る。
「記録…あったんですか?」
「ああ。杉田良子では5年前から空白だったが、佐藤良子では4年前から記録があった。同一人物だ。ご苦労だったな。」
メガネを外して、スイッチをオフにした。…気まずい。任務中に寝てしまった。しかも寄り道をした所でだ。メガネを通して洸一さんは全部見ていたはず。

「いえ…あの、すみませんでした。」
「何が?」
洸一さんがこちらを見る。表情は変わらず…読めない。怒ってない?
「勝手に母校に寄り道して….寝てしまって…。」
洸一さんが、小さくため息をついて、またパソコンに向き直った。
「まあ、しょうがない。…奥村真人…だったな。会いに行ったのか?」

「はあ…まあ…記憶をハッキリさせたくて…」
ここは正直に言っておこう。洸一さんがまた振り返って俺を見た。
「ハッキリしたのか?お前、東京で自分のアパートに入ったろ?あのボタンは…何だ?」
「……」
思わず自分のスーツのポケットを掴む。過去から…持ってきてしまった。

「まあいい。今度は寄り道はなしだ。いろいろとリスクが高くなる。」
洸一さんがジッと見ていた表情を緩めてまたパソコンに向き直った。俺もホッとして尋ねることができた。
「はい。今回は…何かありましたか?」

「いや、大丈夫だ。学校の駐車場で話をしていた三村聡子にも、他にも特には問題なかった。」
パソコンの画面に、三村先生が映し出される。そうだ「三村」だった。
「そうですか。」
「後ろのソファに座れ。あと、だいたい15分だ。」

「はい。」
洸一さんがキーボードを叩きながら言うのを聞いて、素直に従うことにした。
後ろの壁に沿って置いてあるソファに座る。あと15分か…まだ11時前だ。明日も休み。何をするかな。一人で過ごす時間が長いことにウンザリする。ここから出れればいいのに…。そうしたら、一目散に会いに…いくのに…。

目の裏に浮かんでくるあの瞳を思い浮かべながら、15分の短い眠りに落ちていった。




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