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本屋の休憩
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最後にこういちさんと肌を重ねてから3年以上が過ぎた。こういちさんとの体だけの関係は、あの時でもう終わりにした。そして今、僕は28歳の冬を迎えていた。あれから誰とも夜を共にしていない。もうすぐ29歳。相変わらず本屋の店員。1年前から外回りを1人で請け負うことになって最近忙しい。社長に収まった池谷さんは人使いが荒いし……。
『あ、太田社長だった。』
しおりんと社長は上手くやってる。今しおりんは、2人目の赤ちゃんを妊娠中。もうすぐ2歳になる詩羽ちゃんは本当に可愛い。将来は僕のお嫁さんにしてもいいぐらい。
「はぁ……これで最後っと。」
僕はショッピングモール「FOUR」の三階に荷物を運んでいた。年に何度かある納品ミス。どうして「OHTA」の品を駅前の本店に運んでくるかな。僕は台車に最後のダンボールを積んでエレベーターで3階に上がった。
「小寺さん、ご苦労様です。ありがとうございます。」
「後ろに並べておきましたから。後はよろしくお願いします。」
最近、新しく交代した店長の労いの言葉に少しだけ疲れが取れたような気がする。店長に、こちらに一緒に届いていた納品書を手渡した。
生田くんは大学卒業の頃に、ここのバイトを辞めたらしい。もう彼も社会人だ。ここで彼に会うのにビビっていた僕が懐かしい。
「はぁ、生田くん元気でやってるかな。」
バックヤードに向かう店長の後ろ姿を追いながら、もう会うことはないであろう彼の面影を、少しだけ思い浮かべた。
「さてと、昼休憩でもとるか。」
外回りのいい所は、自由に時間が取れること。今日はここで一休み。2階にあるカフェで、評判がいいクロワッサンでも食べよう。
「今日は木曜だし……混んでないといいな。」
時間ももう1時半。昼を食べるにしても遅い時間だ。お腹はペコペコ。早く何かお腹に入れたい。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
僕が頷くと、すぐに入り口近くの2人席に案内された。「ミノ・カフェ」。本格的なコーヒーと豊富な種類のクロワッサンで有名な店。ここでお昼を食べるのは3度目。今日は何にしようか。一つじゃ足りない。
「たまごサンドとベーコンサラダ。後ブレンドで。」
茶色の長いカフェエプロンを揺らして歩く店員さんに頼むと、周りを見渡した。
平日ということもあって、お客さんはオバサンがほとんどだ。大きなクリスマスカラーの包みが入った買い物袋で席を1つ占領しながら、話に夢中になっている。
「誰かの奥さんたち、なんだろうな。」
残念ながら結婚は、僕には縁のない話。詩羽ちゃんが大人になる頃には、僕の性嗜好も変わっているかもしれないけど、僕はたぶん、一生1人だ。
『もう、枯れかけてるしな。』
3年前から、僕は「J」にも行かなくなった。もう、夜の街に繰り出すためのスーツも全部処分した。僕は1人、一生1人でいる。それでいい。誰ともセッ・スしなくても……生きている事には変わりない。
オジサンを追いかける気持ちも、いつの間にか無くなっていた。もう、オジサンは、50ぐらいになっているだろう。奥さんがいて、子どももいて、家族のためにどこかで重要な仕事をやっているに違いない。
「ブレンドコーヒーをお持ちいたしました。」
店員が運んできたコーヒーに、さっそく手をつけた。
「陽介。」
その時、忘れかけていた人の声がどこからか聞こえた。
『あ、太田社長だった。』
しおりんと社長は上手くやってる。今しおりんは、2人目の赤ちゃんを妊娠中。もうすぐ2歳になる詩羽ちゃんは本当に可愛い。将来は僕のお嫁さんにしてもいいぐらい。
「はぁ……これで最後っと。」
僕はショッピングモール「FOUR」の三階に荷物を運んでいた。年に何度かある納品ミス。どうして「OHTA」の品を駅前の本店に運んでくるかな。僕は台車に最後のダンボールを積んでエレベーターで3階に上がった。
「小寺さん、ご苦労様です。ありがとうございます。」
「後ろに並べておきましたから。後はよろしくお願いします。」
最近、新しく交代した店長の労いの言葉に少しだけ疲れが取れたような気がする。店長に、こちらに一緒に届いていた納品書を手渡した。
生田くんは大学卒業の頃に、ここのバイトを辞めたらしい。もう彼も社会人だ。ここで彼に会うのにビビっていた僕が懐かしい。
「はぁ、生田くん元気でやってるかな。」
バックヤードに向かう店長の後ろ姿を追いながら、もう会うことはないであろう彼の面影を、少しだけ思い浮かべた。
「さてと、昼休憩でもとるか。」
外回りのいい所は、自由に時間が取れること。今日はここで一休み。2階にあるカフェで、評判がいいクロワッサンでも食べよう。
「今日は木曜だし……混んでないといいな。」
時間ももう1時半。昼を食べるにしても遅い時間だ。お腹はペコペコ。早く何かお腹に入れたい。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
僕が頷くと、すぐに入り口近くの2人席に案内された。「ミノ・カフェ」。本格的なコーヒーと豊富な種類のクロワッサンで有名な店。ここでお昼を食べるのは3度目。今日は何にしようか。一つじゃ足りない。
「たまごサンドとベーコンサラダ。後ブレンドで。」
茶色の長いカフェエプロンを揺らして歩く店員さんに頼むと、周りを見渡した。
平日ということもあって、お客さんはオバサンがほとんどだ。大きなクリスマスカラーの包みが入った買い物袋で席を1つ占領しながら、話に夢中になっている。
「誰かの奥さんたち、なんだろうな。」
残念ながら結婚は、僕には縁のない話。詩羽ちゃんが大人になる頃には、僕の性嗜好も変わっているかもしれないけど、僕はたぶん、一生1人だ。
『もう、枯れかけてるしな。』
3年前から、僕は「J」にも行かなくなった。もう、夜の街に繰り出すためのスーツも全部処分した。僕は1人、一生1人でいる。それでいい。誰ともセッ・スしなくても……生きている事には変わりない。
オジサンを追いかける気持ちも、いつの間にか無くなっていた。もう、オジサンは、50ぐらいになっているだろう。奥さんがいて、子どももいて、家族のためにどこかで重要な仕事をやっているに違いない。
「ブレンドコーヒーをお持ちいたしました。」
店員が運んできたコーヒーに、さっそく手をつけた。
「陽介。」
その時、忘れかけていた人の声がどこからか聞こえた。
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