無添加ラブ

もこ

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初恋の人

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「お待ちどうさま。ホラ、そっちに寄って。」
裕一郎が洗濯物を全部持っていき、布団を持ち上げて僕の隣に滑り込んできた。裕一郎が差し出してきた左腕を枕にする。カーテンの隙間から覗く空は、下の方が少しだけピンクに染まってきていた。……夜明けが近い。

「このベッド狭いな。今度、セミダブルかダブルベッドを買おうぜ。」
当たり前だ。このベッドは一人で暮らす決心をして、それまでに貯めてたバイトのお金で買ったシングルサイズ。よく2人であんなに動いて壊れなかったと思う。今までは誰もこの部屋に入れなかったから、必要がなかった。

「左手かして。」
身体が怠い……。こんなに夢中になって長時間セッ・スに耽ったのは初めてだ。裕一郎に促されるまま、左手を上げると、アザのある右手でギュッと握られた。

「俺、去年仕事で過去に飛んだんだ。」
「えっ? 過去?」
裕一郎のアザを見つめていた僕は信じられない言葉に、顔を上げた。裕一郎はこちらを見ながら真面目な顔をしていた。

「そ。俺は今、国の秘密の仕事に就いてる。時空を動かす長年の実験を経て、ようやく人を送り込む決心をしたんだ。去年の4月から活動を始めた。」
俺が第一号になった。と、裕一郎が笑顔を見せた。

「何回目かのタイムスリップで、もう1人がトラブルに遭った。あの時は、その元凶となった奴の素性を確かめるために、俺が19年前に飛ばされたんだ。ソイツを追いかけていた途中で会ったのが陽介。一人ぼっちでブランコを揺らしている陽介を見て、声をかけずにはいられなかった。」
そう言って、僕の額にキスをした。

「名前を聞いて驚いたさ。女の子みたいな大きな目をして見てくるし。……泣き出すし。」
それを聞いて、恥ずかしくなってきた。確かにあの時、号泣した覚えがある。僕は、到底信じられないような話をいつの間にか信じている事に気づいた。

「陽介の子どもの頃だって気づいたら、もしかして……前に陽介が言ってたオジサンって、俺なんじゃね? って思ったんだ。それから連絡を取りたくてウズウズしてた。」
実は僕と再会した日も、本屋に行って店長と話をしたらしい。そして、今出ていったばかりだと聞いて、モール中を探し回ったんだとか。

「なぁ、俺たち運命的な出会い方したと思わないか?」
「運命的?」
僕は裕一郎から目が離せなかった。裕一郎は天井を見つめたままで言葉を続けた。

「そ。運命なんてそんな迷信的な事信じちゃいなかったけど、そう思わずにはいられない。」
そう言って僕の目にキスをしてきた。

「俺はセッ・スを覚えてから、男も女も抱いたけど、アキラって名乗ってた陽介との体験が忘れられなかった。陽介に似たアキラを、ずっと俺だけのものにしたいって思ってた。」
頬に、鼻に、唇にキスを落としながら裕一郎が話を続ける。裕一郎は卑怯だ。僕に口を挟む隙を与えない。経験豊富だっては思っていたけど……ちょっとだけ悔しい。




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