俺は時を超える。この状況を変えるために…いや、3年前の君に会うために……。~追憶〜

もこ

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俺は時を超える

3

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「「いらっしゃいませ。」」
9時にバイトを終えて、帰りに駅前のコンビニへ寄る。いつものように、お茶を買ってレジに持って行った。最近は毎日のようにバイト帰りに寄っていた。2回に一度くらいの確率で、望がバイトしているところを見ることができた。

「駿也さん、バイト終わりですか?」
お茶のバーコードを読み取らせながら、望が話しかけてきた。水色の縦縞……。少しだけ大きめなのがまたいいな。似合ってる。半袖の袖から見える腕は俺よりも白かった。望は日に焼けないのか?

「ああ、終わり。」
「いいなあ。俺も今日は9時で終わりなんだけど、交代のバイトさんが来ないんですよ。」

「大変だな。」
「ええ。あっ、来た!」
望の視線で後ろを振り返ると、望と同じ制服に身を包んだ男がこちらにやってくるところだった。

「望、これで終わりだろ?向かいのカフェで一緒にコーヒーでも飲まないか?」
一瞬目を見開いてこちらを見た望が、笑顔になった。
「是非!この前オープンしたとこでしょ?一度行ってみたかったんですよね。ちょっと待っててください!」
「ああ。外で待ってる。」

エアコンの効いた店から外に出ると、7月の湿った空気が体を包んだ。今日は梅雨の合間の晴れ間が広がっていたが、昨日までの雨の余韻で雨の日よりも湿気を感じる。喉が渇いていた俺は、コンビニの前のガードレールにもたれかかり、ペットボトルのお茶を一本飲み干した。

「お待たせしました!行きましょう。」
ペットボトルをコンビニのリサイクルボックスに入れたところで望が現れた。望と2人で横断歩道を渡る。3週間ほど前にオープンしたカフェは、チェーン店で大学の校内にあるのと同じものだった。

「何にしようかなぁ。……チョコレートティーで!」
「……甘くないか?」
前に飲んだ時の記憶が蘇る。全部飲み干したが、この甘さは半端ない。1年に1回飲めば充分だ。

「はははっ!渋い顔っ!バイトの後とか甘いもの欲しくなりません?」
「いや……ここのは甘すぎて。」
結局俺はいつものアイスコーヒーにした。

2人で空いている席に座り、ストローに口をつける。店内は混んでいるというほどではないが、結構な人で賑わっていた。おしゃべりに夢中なグループもいるが、1人で本を読んでいる学生らしき人や、パソコンを広げて何やら熱心にやっているビジネスマンなど、それぞれが飲み物と一緒にその場の雰囲気を楽しんでいるようだった。

「さっき、望って言ったでしょ?」
「?」
望の顔を見る。言ったか…?頭の中ではいつでも望と言っているが……、そういえば初めの頃に自己紹介しただけで、名前を呼ぶことなどなかったかもしれない。

「何だか初めて言われてびっくりしたんですけど、なんかいいですね。親しくなったようで。」
これからも望でお願いします、と屈託のない笑顔を向けられた。そういえば……。

「俺の名前な、佐々木じゃなくて田崎。」
「えっ!田崎っ!?……何で今更……?」
「名前の話題が出たから。」
望は驚きの表情から、すぐに笑顔になった。

「そんな、今までに訂正するチャンスはたくさんあったじゃないですかー!びっくり!!ずっと佐々木だと思い込んでた。」
「ま、どっちでもいい。」
望が呼ぶ「駿也さん」もなかなかいい。いや、望が俺にこうして意識を向けてくれるだけで充分だ。名前など、どうでも。

他愛のない話をしながら、望と2人きりの幸せな時間が過ぎていった。




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