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俺は時を超える
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「おい、決まった。お前行けるよ。」
自分の部屋で電話をとった俺は、幸也の言葉に息をのんだ。会社からだという幸也が、決まってすぐに電話をよこした。この話題が出てから1ヶ月。大学は夏休みに入り、8月になっていた。
「いつ?」
もう1ヶ月はないはず。最初の頃は8月になったら留守にすると言ってたのだから。
「それも今日決まった。8月30日。そこから1ヶ月の予定だ。」
9月なら高校も2学期が始まってる……!高校生の望はどんなだろう?たちまち想像が膨らんだ。
7月は相変わらず望は友だちに囲まれ、学食で遭遇することが多かった。よく隣のテーブル越しに話をした。夜のコンビニのバイトへも、行けば会える日が多くなり、前のようにカフェでお茶をしてから帰るということも増えた。もう10回は数えたかも知れない。たわいもない会話の中で、望が将来はシナリオライターを目指していること、兄妹は2人で、3つ歳の離れた妹がいることなどが分かった。
『いいなあ。お兄さんですか。俺も男の兄弟欲しかったんだよなあ。』
俺が男3人兄弟だと話した時には、本当に羨ましそうな声を上げた。望に告白して俺のものにしたい。もちろんその気持ちも薄れてはないが、頻繁に話をするようになって、幸せを噛み締めている俺もいる。今すぐに現状を変えようとは思えなかった。
『彼女とはうまくいってるのか?』
何度も切り出そうとしたが、もしかして過去へ飛ぶかもしれないという思いが、俺を黙らせた。この均衡を破ってすぐに1ヶ月も姿を晦ましたくない。
「じゃあ、俺も準備をしないと、だな。」
幸也の電話に返事をする。
「お前は心の準備だろ。高校だぞ?大丈夫か?」
高校の勉強は何ともない。大学受験で日本の有名どころの赤本はほとんど解いた。
「大丈夫。じゃ。」
電話を切ろうとすると、幸也に呼び止められた。
「近々、職場に呼ばれるからな。覚悟しとけ。」
「ああ。分かった。」
電話を切ってしばらく、部屋を見渡しながら何を準備するか思いを巡らせた。
「理工学部か。息子と同じだよ。幸也君もかい?」
人の良さそうな男の人が、ニコニコしながらソファに座っていた。親父より若干年上に見える。俺は、幸也と一緒に「所長」と呼ばれる人の前に座っていた。
「いえ、私は東京にある大学を卒業したので。」
幸也が若干緊張した声をしていた。滅多に会わないのだそうだ。巌城所長は、場の雰囲気を気にするようでもなく、言葉を続けた。
「駿也君は卒業後は就職決まってる?良かったら、幸也君と同じようにここで勤めてみないか?」
「はい。まだ将来については決めていなかったのですが、ここで勤めることも視野に入れて考えていきたいと思います。」
そういえば俺は3年だったな。大学卒業後についても考え始める頃なのかもしれない。
俺は、秘書が出してきた書類にサインをして、秘密厳守を誓うと、その後親父や雄也とも合流して、しばらく過ごすという部屋を見学に行った。
『ショッピングモールの裏側にこんな仕掛けがあるとはな。』
秘密の場所は、全て予め登録された手紋で開くようになっていた。重要な場所は必ず壁のふりをした入り口になっており、関係者以外の目から隠されている。そして、3階建てのショッピングモールには4階があった。
自分の部屋で電話をとった俺は、幸也の言葉に息をのんだ。会社からだという幸也が、決まってすぐに電話をよこした。この話題が出てから1ヶ月。大学は夏休みに入り、8月になっていた。
「いつ?」
もう1ヶ月はないはず。最初の頃は8月になったら留守にすると言ってたのだから。
「それも今日決まった。8月30日。そこから1ヶ月の予定だ。」
9月なら高校も2学期が始まってる……!高校生の望はどんなだろう?たちまち想像が膨らんだ。
7月は相変わらず望は友だちに囲まれ、学食で遭遇することが多かった。よく隣のテーブル越しに話をした。夜のコンビニのバイトへも、行けば会える日が多くなり、前のようにカフェでお茶をしてから帰るということも増えた。もう10回は数えたかも知れない。たわいもない会話の中で、望が将来はシナリオライターを目指していること、兄妹は2人で、3つ歳の離れた妹がいることなどが分かった。
『いいなあ。お兄さんですか。俺も男の兄弟欲しかったんだよなあ。』
俺が男3人兄弟だと話した時には、本当に羨ましそうな声を上げた。望に告白して俺のものにしたい。もちろんその気持ちも薄れてはないが、頻繁に話をするようになって、幸せを噛み締めている俺もいる。今すぐに現状を変えようとは思えなかった。
『彼女とはうまくいってるのか?』
何度も切り出そうとしたが、もしかして過去へ飛ぶかもしれないという思いが、俺を黙らせた。この均衡を破ってすぐに1ヶ月も姿を晦ましたくない。
「じゃあ、俺も準備をしないと、だな。」
幸也の電話に返事をする。
「お前は心の準備だろ。高校だぞ?大丈夫か?」
高校の勉強は何ともない。大学受験で日本の有名どころの赤本はほとんど解いた。
「大丈夫。じゃ。」
電話を切ろうとすると、幸也に呼び止められた。
「近々、職場に呼ばれるからな。覚悟しとけ。」
「ああ。分かった。」
電話を切ってしばらく、部屋を見渡しながら何を準備するか思いを巡らせた。
「理工学部か。息子と同じだよ。幸也君もかい?」
人の良さそうな男の人が、ニコニコしながらソファに座っていた。親父より若干年上に見える。俺は、幸也と一緒に「所長」と呼ばれる人の前に座っていた。
「いえ、私は東京にある大学を卒業したので。」
幸也が若干緊張した声をしていた。滅多に会わないのだそうだ。巌城所長は、場の雰囲気を気にするようでもなく、言葉を続けた。
「駿也君は卒業後は就職決まってる?良かったら、幸也君と同じようにここで勤めてみないか?」
「はい。まだ将来については決めていなかったのですが、ここで勤めることも視野に入れて考えていきたいと思います。」
そういえば俺は3年だったな。大学卒業後についても考え始める頃なのかもしれない。
俺は、秘書が出してきた書類にサインをして、秘密厳守を誓うと、その後親父や雄也とも合流して、しばらく過ごすという部屋を見学に行った。
『ショッピングモールの裏側にこんな仕掛けがあるとはな。』
秘密の場所は、全て予め登録された手紋で開くようになっていた。重要な場所は必ず壁のふりをした入り口になっており、関係者以外の目から隠されている。そして、3階建てのショッピングモールには4階があった。
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