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1:茶髪の君と学食
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『この唐揚げ、うまそうじゃね?』
学食で撮った唐揚げの写真とともに、駿也にメールを送る。今度も一瞬で既読がついた。しばらくスマホの画面を見つめる。
「どうして唐揚げの写真撮ったの?」
隣の美久ちゃんに聞かれてハッとする。慌てて返信のないスマホを閉じた。
「ほら、俺さ唐揚げ好きじゃん? 研究してみようかと思って。」
俺の答えに伸一と隆介が笑い声を上げた。
「ははははっ! 望、作れんの?」
「煩いなっ! 俺だってやろうと思えばできるさ。」
本当はこれっぽっちも自信ない。これまでの学校の調理実習は全て他人任せだった。唯一、中学校で一度包丁を持った事はあるけど、きゅうりを切った途端に左手の指先を切って、あっという間に戦線離脱した。それ以来、包丁は持ったことがない。学校の包丁は結構切れる。ま、家では使った事ないけど……。
「いただきます。」
箸を取って唐揚げを口に放り込む。高校の時に駿也が作ってきた唐揚げには足元にも及ばないが、学食の唐揚げも結構美味い。大きな唐揚げ5個にキャベツの千切りまでついて250円は安いと思う。今日はその他に、白飯と味噌汁、ほうれん草のお浸しをつけた。学食は財布に優しい。
「お前、美味そうに食べるな。」
隆介が斜め前から声をかけてくる。今日は久しぶりに隆介も一緒に昼食を取ることになった。これまでに2回あるけど、6月になってからは初めて。美久ちゃんはいつ告るんだ? こっちから話題を振ったことがないから聞きづらいけど……もしかして心変わりしたとか?
「だって、本当にうまいんだったら! 隆介も……。」
1つ食べるか? と言いかけて言葉が途切れた。今、学食の入り口から入ってきた茶髪の男……。アイツだ。駿也に似た奴。白の開襟シャツを無造作に着ているが、似合うのが悔しい。ふわふわのスカートをはいた黒髪ストレートの女の子と一緒に席を探し始めた。
「何? くれんの?」
隆介の言葉で視線を戻す。やっぱり、あの時の子は茶髪の君に告ってたんだ。そして付き合い始めた……。そうか……何だか、何か……つまらない。
「おい、望?」
「い、いや……ああ。やるよ。1つ食べてみて。」
「おおっ! ラッキー!」
手を伸ばしてきた隆介が取りやすいように、皿を傾けながら、また2人を見る。2人とも弁当箱を広げて、買ったペットボトルのお茶を置いたところだった。
『弁当だったら、別に学食じゃなくともいいじゃん。』
俺だったら、絶対に外で食べる。この大学も緑は意外と多く、ちょっとした欅も植えてある。俺だったら……欅のあの小さな葉が揺れる下で……駿也と……。
何故だか、何度か駿也と過ごした高校の校舎の非常階段を思い出した。手すり越しに大欅を見ながら俺の握ったおにぎりと、駿也が作ってきた唐揚げを食べたっけ……。
急に美味しいと思っていた唐揚げがどうでも良くなった。友だちと楽しく過ごしているはずなのに、何だか見知らぬ人の中で一人ぼっちになったような、そんな寂しさを感じた。
学食で撮った唐揚げの写真とともに、駿也にメールを送る。今度も一瞬で既読がついた。しばらくスマホの画面を見つめる。
「どうして唐揚げの写真撮ったの?」
隣の美久ちゃんに聞かれてハッとする。慌てて返信のないスマホを閉じた。
「ほら、俺さ唐揚げ好きじゃん? 研究してみようかと思って。」
俺の答えに伸一と隆介が笑い声を上げた。
「ははははっ! 望、作れんの?」
「煩いなっ! 俺だってやろうと思えばできるさ。」
本当はこれっぽっちも自信ない。これまでの学校の調理実習は全て他人任せだった。唯一、中学校で一度包丁を持った事はあるけど、きゅうりを切った途端に左手の指先を切って、あっという間に戦線離脱した。それ以来、包丁は持ったことがない。学校の包丁は結構切れる。ま、家では使った事ないけど……。
「いただきます。」
箸を取って唐揚げを口に放り込む。高校の時に駿也が作ってきた唐揚げには足元にも及ばないが、学食の唐揚げも結構美味い。大きな唐揚げ5個にキャベツの千切りまでついて250円は安いと思う。今日はその他に、白飯と味噌汁、ほうれん草のお浸しをつけた。学食は財布に優しい。
「お前、美味そうに食べるな。」
隆介が斜め前から声をかけてくる。今日は久しぶりに隆介も一緒に昼食を取ることになった。これまでに2回あるけど、6月になってからは初めて。美久ちゃんはいつ告るんだ? こっちから話題を振ったことがないから聞きづらいけど……もしかして心変わりしたとか?
「だって、本当にうまいんだったら! 隆介も……。」
1つ食べるか? と言いかけて言葉が途切れた。今、学食の入り口から入ってきた茶髪の男……。アイツだ。駿也に似た奴。白の開襟シャツを無造作に着ているが、似合うのが悔しい。ふわふわのスカートをはいた黒髪ストレートの女の子と一緒に席を探し始めた。
「何? くれんの?」
隆介の言葉で視線を戻す。やっぱり、あの時の子は茶髪の君に告ってたんだ。そして付き合い始めた……。そうか……何だか、何か……つまらない。
「おい、望?」
「い、いや……ああ。やるよ。1つ食べてみて。」
「おおっ! ラッキー!」
手を伸ばしてきた隆介が取りやすいように、皿を傾けながら、また2人を見る。2人とも弁当箱を広げて、買ったペットボトルのお茶を置いたところだった。
『弁当だったら、別に学食じゃなくともいいじゃん。』
俺だったら、絶対に外で食べる。この大学も緑は意外と多く、ちょっとした欅も植えてある。俺だったら……欅のあの小さな葉が揺れる下で……駿也と……。
何故だか、何度か駿也と過ごした高校の校舎の非常階段を思い出した。手すり越しに大欅を見ながら俺の握ったおにぎりと、駿也が作ってきた唐揚げを食べたっけ……。
急に美味しいと思っていた唐揚げがどうでも良くなった。友だちと楽しく過ごしているはずなのに、何だか見知らぬ人の中で一人ぼっちになったような、そんな寂しさを感じた。
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