俺が送ったメールは瞬時に既読になる。けど、アイツからの返事は一切ないんだ。……俺はいつまで待っていればいい? 〜明日のその先〜

もこ

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1:茶髪の君と学食

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「ああー、もうすぐ夏休みだな。早く休みになればいいのに。この雨なんとかならん?」

7月に入って、連日雨が続いた。大学は2学期制だから、夏休み前にテストなんかない。出席さえしていれば、単位は楽に貰えると聞いたことがある。最近は大学生活にも慣れて、結構だらけて休みを取る友だちも多かった。

俺はまだ欠席なし。偶然電車で一緒になった良太と一緒に学校に向かっていた。良太は新発売だという折り畳み傘を持っていた。

「その傘、面白いな。」
細い柄が頼りないが、半透明な黒い色に、大きなくにゃくにゃした模様がいくつも飛んでいる。電車の中で、良太が握りしめているのを見た時には、黒い瓢箪に見えた。

「だろ? 畳むのも楽ちん。ちょっと入れて。」
無理矢理、俺の傘に入ってきた良太に傘を傾ける。
「ほら。」
良太の言葉とともにカシャカシャっと音がしたかと思うと、自動で傘が折り畳まった。元の瓢箪に逆戻り。

「すげっ! 畳むのも自動なんだ。」
思わず感動してると、俺の傘の柄を奪い良太が歩き出した。慌てて歩調を合わせる。

「そ、よく雨粒を振ってから畳めば水も漏れ出さない。結構な値段だけど、高すぎるって事はないぜ?」

『おいっ! またその便利な傘はささないのか?』
何で一つの傘に入って歩いてるわけ? 言おうか言うまいか迷っているうちに良太の方から話を振られた。

「なあ、夏休み、2人でどっか行かない?」
「どっかって?」
「できれば……泊まりでさ。ちょっと遠くに旅行すんの。」
「旅行かあ。」

別に行きたくないわけじゃないけど……何となく……何だか、おかしくないか? 話しながら肩に伸ばされた良太の腕が何故か熱く感じる。肩を掴む手がギュッと強くなった。
「イヤ?」

顔を覗かれて言葉を失う。何でそんなにマジな顔してるの? フッと2年前の欅葉祭での最後に見た駿也の顔を思い出した。
「い、いや、嫌とかじゃなくて……。」
どうしよ。言葉に詰まる……。良太の柄を持つ手に一緒になってぶら下がる瓢箪傘を見つめる。

「お、俺バイトしてんじゃん? 夏休みは週6で昼間のシフトに入れてもらったんだよね。だから、泊まりはキツイかなって……。」
本当は3日行って1日休むサイクル。バイトに入るのは11時からだから、泊まりが不可能なわけではないけど……。ちょっと2人だけというのが……気が進まない。

「じゃ、花火大会の日は? 昼間だったら夜は暇だろ? 一緒に行かない?」
「あ? ああ。いいよ。」
思わず返事をしていた。

俺たちが住んでいる町では近隣の3市町が合同で、花火大会を盛大に挙げる。会場の川辺まではちょっぴり遠いけど、屋台もたくさん出て、毎年たくさんの人で賑わっていた。俺も毎年友だちと約束して出かけていた。去年はもちろん、良太も一緒だったよな?

「他にみんな誘うだろ?」
「イヤ、今年は望と2人で行きたい。」
ギュッと肩に回された手に力が篭った。横目で良太の顔を見ると、前を向いてどこか睨んでいるような、真剣な顔をしていた。

「……良いけど。」
俺の言葉に、肩に回された手が緩んだ。
「やったっ!! 楽しみ。」
良太が満面の笑みでこちらを見てきた。



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