俺が送ったメールは瞬時に既読になる。けど、アイツからの返事は一切ないんだ。……俺はいつまで待っていればいい? 〜明日のその先〜

もこ

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2:伸一と隆介と弁当と

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「はぁー、今日はどこに行こうかな。」
文化祭で良太とのことがあってから、一週間が過ぎた。火曜日までは休みで、水曜日から授業が再開されたが、俺は3日間学校をサボっていた。水曜日は街の図書館で時間を潰し、昨日はカフェを渡り歩いた。極力みんなと出会わないように少しだけ遠くの街まで出かけた。

今日も家にいる母さんに不審がられないように、8時過ぎには家を出てきた。今は近くのショッピングモールの裏手にある、わりと大きな公園の噴水の前に自転車を止めて腰を下ろしていた。11月も半ばになり、朝晩は結構寒い。できれば暖かいところで過ごしたいけど……。

「ゲーセン行くかな。」
目の前の木々の間から少しだけ見えているショッピングモールを眺める。ショッピングモールなら、何時間も時間を潰せるけど、母さんがたまに買い物に来る。それに開店は10時のはず。

「帰りでいいの?」
ふと後ろから声が聞こえた。誰かがこちらに歩いてくるらしい。後ろを振り向いてはいけない。ずっと木から時折落ちる葉っぱを眺めているふりをしていた。

「何? 夕べは足りなかったって? ははっ! うそうそ。じゃ、買って帰る。真人も仕事頑張って待ってて。……チュッ。」
ちょうど真後ろに来たところで、リップ音が聞こえた。……今の会話……。知らず知らず顔が熱くなる。横目で見ると声の主がスマホを胸のポケットに入れながら通りすがりにこちらを見るところだった。

「あ、ごめんね? ラブラブで。」
……結構若い人だった。30ぐらいか? 俺に笑いかけると、スーツ姿のその人は弾むような足取りでモールの方に向かった。栗色の髪が田崎さんに似ている……。けど、田崎さんの髪の方が軽い。ラブラブって……奥さんか……。中学校で真琴っていう同級生がいたな。背の高い溌剌とした女の子だった。……まさか、あの人と結婚したなんて言わないよな?

『俺も将来は誰かと結婚するのか……?』
公園の木は赤く色づき、紅葉の真っ盛りだ。落ち葉も多く、噴水の中にも風で飛ばされた大小様々な形の葉が浮かんでいた。誰かと結婚するなんて、今の俺には考えられない。自分の気持ちも分かっていないのに……。

『駿也……。』
噴水の水に映る真っ青な空に、駿也の面影を写してみる。「目を瞑ってろ。」真剣な眼差し……。髪は黒いんだったら。どうしても茶髪になってしまう駿也の顔を振り払うように、頭を振って立ち上がると、自転車を持ち上げて跨った。

『ちょっとドライブしてこよ。そして、後でモールに来て時間を潰そ。』
公園の中を自転車で漕ぐのは抵抗あるが、今は誰もいない。さっきの人が入って行った落ち葉が積もった遊歩道をゆっくりと漕ぎながら、ショッピングモールの裏手の道を目指した。



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