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2:他人の幸せ、自分の幸せ
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『駿也、彼女できた?』
ベッドの中でメールを打っては消し、打っては消しを繰り返して3回目、ようやく短いメールを送信することができた。駿也は当然、彼女がいるだろう。高校の時にも俺が覚えている限りで一回は後輩に告られていた。……気分が沈み込みそうになり頭を振った。
「はあっ、さあ行くか。」
4月に入り、俺は2年になった。明日が授業登録の締め切り日だ。もう、今年の授業の見通しはついた。去年の授業の単位は全部きたから、前期は少しだけコマが少なくなった。火曜日は午前中だけ。昼食を食べずに帰って、いろんな店を開発するのもいいかもしれない。
新学期が始まってこの2週間、学校で田崎さんを全然見かけていない。学食や図書館、カフェなんかでも結構目を光らせていたけど、遠目でも全然見かけない。3年生になって田崎さんは授業が少なくなったのかもしれない。文学部でも、卒論を見据えて授業を組み立てるとかなんとか噂を聞いたし。
「今日の授業、サボろうかなあ。」
あれから美久ちゃんたちは、うまくいったらしい。学校での2人の雰囲気がガラリと変わった。最初に学校で隆介に会ったときには、マジな顔で睨まれたような気がしてビビった。
『俺はキューピッドだっつうの。』
何年も美久ちゃんの相談相手になり、それにあの時、美久ちゃんの唇は奪わなかった。でも、あれで隆介が目覚めたらしい……。学食では必ず美久ちゃんの隣に座るようになった。
『ま、まだ俺たちの前では手は繋がないけどな。』
2年になって初めての英語の授業で、美久ちゃんの隣に座ったときに小声で謝られた。あの後のことは聞いてないけど、美久ちゃんの幸せそうな笑顔を見れば、何があったかのかは一目瞭然だ。
「はあーっ、いいな。」
周りの幸せはいいもんだ。けれど、何となく憂鬱な気分だった。学校に行く気になれない。けれど、家にも居たくない。
「行くか……。」
俺は諦めて、支度をしようと布団から出た。
「望っ! おはようっ。」
電車を降りて歩き出した途端に、後ろから腕が巻き付き首を絞められる。これは雅人だ。
「ま、雅人っ! 腕っ! 腕っ!」
力を込めて腕を引き離すと、雅人が今度は肩に手を回して歩き出した。
「俺、傷心なの。慰めて?」
雅人が話し出すと、一緒に来てたらしい伸一と良太が後ろから言葉を続けた。
「彼女に振られたらしいよ。」
「一年持たなかったな。」
「どうして?」
自然と口をついて出た言葉に、伸一が反応する。
「それは……満足がいかなかったんだろ。」
「いろいろとな。」
良太も伸一の言葉に続いた。
「失礼な奴らだな。そんなことじゃないって。栞が大学を辞めることになったんだ。」
話を聞くと、家庭の事情で彼女が大学を辞めて実家がある北海道に戻ることになったのだとか。北海道か……遠いな。っていうか、栞っていったんだ、雅人の彼女の名前。
「遠距離にはならなかったの?」
「どうやって会いに行くんだよっ! それに別れてって言ってたのは栞だし……。」
ここから何百キロも離れた彼女の元に行こうにも、それなりの時間やお金がかかる。好きだと思っていても、大変なのかもしれない。……でも、本当に好きなら、メールだけで過ごしていても、何年か後には一緒になれるかもしれないわけで……。
「じゃ、慰めてやるよ。ほら……。」
雅人の頭に手を伸ばし、おざなりに少しだけ撫でた。何年もメールだけで過ごす……しかも返事がないのにメールだけ打ってただ待っているだけの俺が言えたことじゃない。俺は異常なんだろうか……。そんなことを考えてながらもう一度、雅人の頭を撫でた。
ベッドの中でメールを打っては消し、打っては消しを繰り返して3回目、ようやく短いメールを送信することができた。駿也は当然、彼女がいるだろう。高校の時にも俺が覚えている限りで一回は後輩に告られていた。……気分が沈み込みそうになり頭を振った。
「はあっ、さあ行くか。」
4月に入り、俺は2年になった。明日が授業登録の締め切り日だ。もう、今年の授業の見通しはついた。去年の授業の単位は全部きたから、前期は少しだけコマが少なくなった。火曜日は午前中だけ。昼食を食べずに帰って、いろんな店を開発するのもいいかもしれない。
新学期が始まってこの2週間、学校で田崎さんを全然見かけていない。学食や図書館、カフェなんかでも結構目を光らせていたけど、遠目でも全然見かけない。3年生になって田崎さんは授業が少なくなったのかもしれない。文学部でも、卒論を見据えて授業を組み立てるとかなんとか噂を聞いたし。
「今日の授業、サボろうかなあ。」
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『俺はキューピッドだっつうの。』
何年も美久ちゃんの相談相手になり、それにあの時、美久ちゃんの唇は奪わなかった。でも、あれで隆介が目覚めたらしい……。学食では必ず美久ちゃんの隣に座るようになった。
『ま、まだ俺たちの前では手は繋がないけどな。』
2年になって初めての英語の授業で、美久ちゃんの隣に座ったときに小声で謝られた。あの後のことは聞いてないけど、美久ちゃんの幸せそうな笑顔を見れば、何があったかのかは一目瞭然だ。
「はあーっ、いいな。」
周りの幸せはいいもんだ。けれど、何となく憂鬱な気分だった。学校に行く気になれない。けれど、家にも居たくない。
「行くか……。」
俺は諦めて、支度をしようと布団から出た。
「望っ! おはようっ。」
電車を降りて歩き出した途端に、後ろから腕が巻き付き首を絞められる。これは雅人だ。
「ま、雅人っ! 腕っ! 腕っ!」
力を込めて腕を引き離すと、雅人が今度は肩に手を回して歩き出した。
「俺、傷心なの。慰めて?」
雅人が話し出すと、一緒に来てたらしい伸一と良太が後ろから言葉を続けた。
「彼女に振られたらしいよ。」
「一年持たなかったな。」
「どうして?」
自然と口をついて出た言葉に、伸一が反応する。
「それは……満足がいかなかったんだろ。」
「いろいろとな。」
良太も伸一の言葉に続いた。
「失礼な奴らだな。そんなことじゃないって。栞が大学を辞めることになったんだ。」
話を聞くと、家庭の事情で彼女が大学を辞めて実家がある北海道に戻ることになったのだとか。北海道か……遠いな。っていうか、栞っていったんだ、雅人の彼女の名前。
「遠距離にはならなかったの?」
「どうやって会いに行くんだよっ! それに別れてって言ってたのは栞だし……。」
ここから何百キロも離れた彼女の元に行こうにも、それなりの時間やお金がかかる。好きだと思っていても、大変なのかもしれない。……でも、本当に好きなら、メールだけで過ごしていても、何年か後には一緒になれるかもしれないわけで……。
「じゃ、慰めてやるよ。ほら……。」
雅人の頭に手を伸ばし、おざなりに少しだけ撫でた。何年もメールだけで過ごす……しかも返事がないのにメールだけ打ってただ待っているだけの俺が言えたことじゃない。俺は異常なんだろうか……。そんなことを考えてながらもう一度、雅人の頭を撫でた。
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