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「ほら、2時間飲み放題なんだから飲めよっ!」
俺は一杯目のカシスオレンジから頭の中が揺れていた。ビールは一口飲んで、ギブアップ。あれは飲まなくていい。苦いだけでどこが美味しいんだ? ビールが無理だと分かると、美久ちゃんが自分と同じカシスオレンジを頼んでくれた。
「もったいない。じゃあそれ俺がもらうよ。」
俺のビールを引き受けてくれたのは……良太? それとも伊吹だっけ……。
「望、次何飲む?」
目の前の伸一にメニューを手渡される。俺、飲まなくていいや……。目の前のこのケーキを食べたい。コーヒーがいい。美久ちゃんたちが店に頼んでいたみたいで、俺たちのテーブルには、店では出してないだろうと思われるケーキが出てきていた。
「カシスオレンジとカルピス酎ハイが2つだろ? 次は甘くないのをいってみるか?」
無言で首を横に振ると、伸一が勝手に俺の飲み物を決め始めた。まだ2杯目のカルピス酎ハイが半分近く残っている。そんなに飲めないったら……。
「ほら、唐揚げだぞ! ここの唐揚げも絶品だぞ!」
右前から雅人が唐揚げを乗せた皿を差し出してきた。唐揚げと聞いて、少しだけ意識がはっきりしてきた。うん、美味そう。皿を受け取って箸を取り上げる。まだ熱々の唐揚げは衣がサクサクでとても美味しかった。
喉が渇いているような気がして、残りの酎ハイを飲み干す。……美味しい。酎ハイと唐揚げって結構合うな。
「望、酔ってる?」
右側から声が聞こえて顔を向けると、浩紀が心配そうな顔でこちらを見ていた。
「う……ん。酔ってるのかな? よく……解らない。」
「酔ってるな。おい、伸一、これ以上飲ませたら、望潰れるぞ。」
「いいんじゃね? 俺んち泊めるわ。」
伸一が気軽な様子で答えると、俺のためにソルティードッグを頼んだ。
『ケーキ……。』
ケーキが食べたい。さっき一口食べただけ。枝豆だ、サーモンのマリネだ、揚げ出し豆腐だと食べてばかりいたけど、ケーキは別。これだけは完食して帰りたい。だって、せっかくみんなが用意してくれたケーキだし。……もったいない。
小さなフォークを手に取って、上に乗ってるイチゴを口に運んだ。
『美味しい……。』
程よい酸味が口の中で広がる。ちょっとだけついてた生クリームも絶品だ。俺は大きくケーキをすくい取って口の中に入れた。
『うまい。これ、どこのケーキだ? 今度買いに行こう。』
美久ちゃんにどこのケーキか聞こうと口を開いた時、それは突然やってきた。
『うっ……。』
慌てて席を立つ。
「望くん、どうしたの?」
美久ちゃんの問いには答えず、口を押さえて隆介の後ろを通り、トイレに向かった。
「おい、望、大丈夫か?」
雅人の声がしたけど、答える余裕はない。どこかフラつきながらも店の入り口付近、さっき沙織ちゃんとバッタリ会った方角を目指した。
俺は一杯目のカシスオレンジから頭の中が揺れていた。ビールは一口飲んで、ギブアップ。あれは飲まなくていい。苦いだけでどこが美味しいんだ? ビールが無理だと分かると、美久ちゃんが自分と同じカシスオレンジを頼んでくれた。
「もったいない。じゃあそれ俺がもらうよ。」
俺のビールを引き受けてくれたのは……良太? それとも伊吹だっけ……。
「望、次何飲む?」
目の前の伸一にメニューを手渡される。俺、飲まなくていいや……。目の前のこのケーキを食べたい。コーヒーがいい。美久ちゃんたちが店に頼んでいたみたいで、俺たちのテーブルには、店では出してないだろうと思われるケーキが出てきていた。
「カシスオレンジとカルピス酎ハイが2つだろ? 次は甘くないのをいってみるか?」
無言で首を横に振ると、伸一が勝手に俺の飲み物を決め始めた。まだ2杯目のカルピス酎ハイが半分近く残っている。そんなに飲めないったら……。
「ほら、唐揚げだぞ! ここの唐揚げも絶品だぞ!」
右前から雅人が唐揚げを乗せた皿を差し出してきた。唐揚げと聞いて、少しだけ意識がはっきりしてきた。うん、美味そう。皿を受け取って箸を取り上げる。まだ熱々の唐揚げは衣がサクサクでとても美味しかった。
喉が渇いているような気がして、残りの酎ハイを飲み干す。……美味しい。酎ハイと唐揚げって結構合うな。
「望、酔ってる?」
右側から声が聞こえて顔を向けると、浩紀が心配そうな顔でこちらを見ていた。
「う……ん。酔ってるのかな? よく……解らない。」
「酔ってるな。おい、伸一、これ以上飲ませたら、望潰れるぞ。」
「いいんじゃね? 俺んち泊めるわ。」
伸一が気軽な様子で答えると、俺のためにソルティードッグを頼んだ。
『ケーキ……。』
ケーキが食べたい。さっき一口食べただけ。枝豆だ、サーモンのマリネだ、揚げ出し豆腐だと食べてばかりいたけど、ケーキは別。これだけは完食して帰りたい。だって、せっかくみんなが用意してくれたケーキだし。……もったいない。
小さなフォークを手に取って、上に乗ってるイチゴを口に運んだ。
『美味しい……。』
程よい酸味が口の中で広がる。ちょっとだけついてた生クリームも絶品だ。俺は大きくケーキをすくい取って口の中に入れた。
『うまい。これ、どこのケーキだ? 今度買いに行こう。』
美久ちゃんにどこのケーキか聞こうと口を開いた時、それは突然やってきた。
『うっ……。』
慌てて席を立つ。
「望くん、どうしたの?」
美久ちゃんの問いには答えず、口を押さえて隆介の後ろを通り、トイレに向かった。
「おい、望、大丈夫か?」
雅人の声がしたけど、答える余裕はない。どこかフラつきながらも店の入り口付近、さっき沙織ちゃんとバッタリ会った方角を目指した。
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