俺が送ったメールは瞬時に既読になる。けど、アイツからの返事は一切ないんだ。……俺はいつまで待っていればいい? 〜明日のその先〜

もこ

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2:誰もいない

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「でさ、その時に『駿也くん』の話が初めて出たわけ。」
瞳美ちゃんと、初めは近況を話していたらしい。瞳美ちゃんは、今自宅からギリギリ通える距離にある短大に通っているとか……。声が出せるようになったのは、病院に通った成果なんだとか。

「俺の事?」
「うん、『みんな元気?』って聞かれてさ、隆介や美久、友希、望の名前を出したわけさ。そしたら、瞳美ちゃんが、声をひそめて……『駿也くんは?』って聞いてきたの。」
伸一の話を聞いて、箸を持つ手に変な汗が出てきた。緊張する……。

「それで?」
「いや、俺は全然だったから、『誰それ?』って聞いたんだ。そしたら瞳美ちゃん、黙り込んじゃった。」
「……。」
なんて言ったらいいか分からなかった。瞳美ちゃんは覚えているんだ! 全身の血が勢いよく流れているように、身体中がドクドクと波打っているようだった。

「ま、それ以上は話は続かなかったんだけど、後で俺、思い出したんだよね。」
「何を?」
し、駿也の事? ……伸一も思い出したのか?

「高2の時のステージ発表の後、お前倒れたじゃん? あの後で駿也がどうのって言ってなかったか?」
『はあ……。』
そうか……肩の力が抜けていくのが分かった。伸一は駿也を思い出したわけじゃない。俺が駿也の事を聞きまくってた事を思い出しただけだ。

「ああ……聞いてた。」
「やっぱり! で? 誰なのそれ?」
今度は俺が話す番だった。

「あのさ、俺の頭が変になったわけじゃないから……。その辺よろしくな?」
念のために先に言っておく。あの時、俺が必死に駿也の事を聞きまくっていた時、周りの友だちは何だか哀れるような目で見てた。あの表情はもう見たくない。

それから、俺が高2の夏から経験した事をかいつまんで話して聞かせた。

「へぇ……じゃ俺も普通に話していたの?」
「うん、もちろん。駿也が松葉杖ついていた時は、結構突かれてただろ、杖で。」
「何で?」
「何でって……。」

自然と顔が熱くなっていた。そうだ。駿也はあの頃……俺の肩に手を回す奴らに妬いてたように……あの頃は気づかなかった。

『それ、いいな。つき合っちゃう!?』

欅葉祭の日の朝、雅人と一緒になった時に言われた言葉が突然蘇ってきた。ふざけた口調だったのに、目がマジだった……。なのに、なのにあの後、いなくなっちゃったんだ……。

「望、大丈夫か?」
伸一の言葉に我に返る。瞬きした瞬間に、目から涙が一粒落ちた。慌ててテーブルを手で拭う。泣いているなんて……気づかれたくない。

「いや、大丈夫。……でも、俺の思い込みとか、幻とかそういったものじゃないんだ。携帯でも繋がってるし、写真だって持ってる。」
「そうか……今度さ、機会があったら写真見せてよ。俺、思い出すかも。」

伸一が信じてくれたことに感謝した。でも、みんながそうだとは限らない。
「伸一、このこと、誰にも言わないでいてくれる?」
「ああ、いいよ。任せとけ。」
伸一の言葉に安心感が広がった。けれども、駿也にも会えない、田崎さんとも連絡がつかない寂しさは、ますます大きくなったような気がした。




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