俺が送ったメールは瞬時に既読になる。けど、アイツからの返事は一切ないんだ。……俺はいつまで待っていればいい? 〜明日のその先〜

もこ

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4:3年と4か月前ではなく

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「いや、む、無理だから……。」
片方の腕で顔を隠そうとしたけど、それも駿也に取られてしまった。

「あの時……こうやって望を抱きしめた。」
メガネと帽子を外されて頭を抱え込まれる。駿也の、大好きな駿也の香りが鼻腔いっぱいに広がっていった。

「本当はキスしたかったんだ。でもこうやって……頭にキスをした。望はやっぱりお日さまの香りだった。」
頭の上で駿也の唇が当たったのが分かる。あの時も……何となく感じていた仕草。俺も、俺ももっと駿也を感じたい。

「駿也……もういいよ。帰ろ? 思い出したし。あの時の駿也の気持ちも解ったし……。」
対面で背を向けて座る奏さんたちに気づかれないように、俺は少しだけ駿也にしがみついた。これ以上はできない。もっともっと俺の気持ちをわかってもらいたいのに。それが少しだけ歯痒い。

『問題なし。次行けるぞ。』
突然耳元に洸一さんの声が響いて俺は飛び上がった。駿也もびっくりした顔をしている。前を見ると、笑顔の奏さんがこちらを向いて席を立とうとしていた。

「ははっ! ごめんごめん。悪趣味だって思ったんだけどさ。何となく後ろを振り向きづらくて。洸一に通信してもらった。」
俺たちの会話……もしかして聞かれた? 顔が赤くなるのを感じながら、耳に入っているイヤホンを外す。それを見た奏さんが言葉を続けた。

「大丈夫だ。会話は聞いてない。それは必要だよ。さ、行こ。」
もう、過去に行きたいとは思わない。充分知った。駿也の気持ちを、そして俺の気持ちも……。

「奏さん、3年と4か月前はキャンセルできませんか?」
俺の言葉に奏さんも駿也も驚いた顔をした。
「望くん……いいのか? 駿也も?」

「ええ。望がそう言うなら。」
駿也は即座に同意してくれた。
「じゃあ、今日はこれで終わり? 洸一?」

奏さんが後ろを振り返って、洸一さんを見る。洸一さんが、
「ちょっと待ってろ。」
と言ってパソコンに向き直り、物凄い速さでキーボードを叩き出した。

「……これから……俺のマンションに行かないか?」
洸一さんの側に歩いて行った奏さんを見送りながら、駿也が小声で話しかけてきた。
「もっと話をしたい。」
「うん。」
俺も同意見だった。どこか、誰にも聞かれないところでちゃんと話をしたい。

「大丈夫だ。所長に承認を取った。これで終了、帰っていいぞ。」
洸一さんがこちらを振り返って立ち上がった。奏さんも一緒に歩いてくる。
「「お世話になりました。」」
駿也と俺も立ち上がり、借りていた帽子やメガネ、イヤホンを外した。

「すぐに帰るのか?」
「いえ、もう少しだけ話をしたいので、俺のマンションに。」
洸一さんの言葉に、駿也が答えた。奏さんがそれを聞いて、洸一さんの顔を見た。

「駿也のマンションって、幸也たちが住んでたところだろ? 洸一『D』の部屋使っちゃまずいかな? 位置情報のデータ残ってるだろ?」
奏さんの言葉に、洸一さんがスマホを取り出し、どこかに電話をし始めた。

「大丈夫だ。今日最後の『D』、経験して帰れ。」
多分、俺にとっては最後の経験になるであろう空間移動を使って、駿也のマンションに帰ることになった。






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