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4:明日のその先
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「今泉……気づかなかった。いや、思い当たる節はあったか?」
「そ。駿也が鈍いだけ。望君のことは浩《こう》から聞いてる。」
その言葉で、浩己がますます顔を赤くした。
「今日は買い物?」
浩己と今泉さんはお揃いの、ブランドショップの紙袋を持っていた。駿也の言葉に頷く今泉さんが袋を上げる。
「ああ、デート。お揃いの服を買ってた。駿也たちは?」
今泉さんは、恥ずかしがる風情もなく言って退けた。隣の浩己は益々顔を見せないように俯いている。
「バイト。」
「へぇ! ここで? 知らなかった。でもいいな? 帰りに2人で手を繋いでさ……。浩、俺たちも。」
今泉さんが浩己の手を取って握ろうとした。
「い、いや、いいからっ。」
真っ赤な顔の浩己が、手を振り払って身を翻して歩き出す。今泉さんはニヤッと笑った。
「浩は極端に恥ずかしがるんだ。でも……そこがまたいいだろ?」
じゃ、っと言いたいことだけ言った今泉さんが、浩己の後を追って走り出した。
「浩己と……今泉さんが……。」
「今泉の周りには男しかいなかった。……なるほど、そういうわけ。」
俺の呟きが合図になったかのように、2人で同時に歩き出す。しばらく無言で歩き始めた。今泉さんは結構駿也と一緒にいることが多かった。体育館で2人に会ったこともあったし、学食でも結構頻繁に2人に会ってた……。自転車のそばまで来た時に、俺は急に思い出した。
「そういえば、駿也、前に今泉さんから誰か紹介してもらってなかった?」
「紹介するって言われて断ったことがあっただけだ。」
そうだったっけ……。あやふやな記憶のままで、少しだけモヤモヤしたものを感じていた。
「俺はあの時はもう望しか頭になかった。煩わしいだけだった。」
俺から手を離した駿也に背中を引き寄せられた。駿也の温もりと香りに包まれて、ホッとしている自分がいる。駐輪場には照明がなく薄暗い。周りには人影がなく、俺は駿也の胸に顔を埋めた。
「望?」
駿也の声が身体の内側から聞こえる。
「明日のその先は誰にも分からないだろ? でも俺は明日も、その先もずっと望と過ごしていたい。」
駿也の声を聞いているうちに、俺の身体の中心が熱を帯びてくるのが分かった。心臓の音が煩い。でも、耳に聞こえる駿也の心臓の音は俺よりもドクドクいっていた。
「できれば誰にもじゃまされないところでずっと。……不可能だということは分かってる。でも、今のこの気持ちは本物だから。明日やその先はこれから証明していくほかに術がない。」
分かってる。……分かってるから、できればもっと駿也を感じたい。俺は、駿也の背中に回した腕に力を込めた。
「望。」
「駿也。」
2人同時に呼びかけて、顔を見合わせる。駿也がフッと笑った。
「何?」
俺は何て言おうか、言葉に詰まった。何て言ったらいい?
「じゃ、俺から。今日は俺のマンションに帰ろう?」
俺の気持ちを見透かされたような気がして、顔が熱くなるのが分かった。恥ずかしさを誤魔化すように、背伸びをする。
チュッ
俺からのキスで、駿也が目を見開くのが分かった。
「し、駿也がそう言うなら……。」
顔が上げられない。ちらっと上目遣いで駿也を見ると、顔を真っ赤にした駿也と目が合った。そのまま腕を掴まれる。
「ウ、んんんっ!」
駿也に下唇をペロリと舐められたかと思うと激しく吸いつかれた。息が出来ない……。駿也の舌が俺の口内を掻き回す。苦しいから……駿也っ!
「んはっ、はっ、はっ……駿也っ!」
「帰るぞ。」
抗議を込めて駿也を見上げるが、たちまち視界が奪われた。俺の頭を抱き寄せて、ちゅっとリップ音を響かせた駿也が、俺の身体を離して自転車のロックを解除する。俺も隣に行って自分の自転車のロックを外した。
「行こう。早く。急いで。」
駿也の言葉にクスッと笑みが漏れる。今夜は……眠れないかも。
少しだけ期待している自分に呆れながらも、俺は駿也の後に続いて自転車に跨った。
ー 完 ー
「そ。駿也が鈍いだけ。望君のことは浩《こう》から聞いてる。」
その言葉で、浩己がますます顔を赤くした。
「今日は買い物?」
浩己と今泉さんはお揃いの、ブランドショップの紙袋を持っていた。駿也の言葉に頷く今泉さんが袋を上げる。
「ああ、デート。お揃いの服を買ってた。駿也たちは?」
今泉さんは、恥ずかしがる風情もなく言って退けた。隣の浩己は益々顔を見せないように俯いている。
「バイト。」
「へぇ! ここで? 知らなかった。でもいいな? 帰りに2人で手を繋いでさ……。浩、俺たちも。」
今泉さんが浩己の手を取って握ろうとした。
「い、いや、いいからっ。」
真っ赤な顔の浩己が、手を振り払って身を翻して歩き出す。今泉さんはニヤッと笑った。
「浩は極端に恥ずかしがるんだ。でも……そこがまたいいだろ?」
じゃ、っと言いたいことだけ言った今泉さんが、浩己の後を追って走り出した。
「浩己と……今泉さんが……。」
「今泉の周りには男しかいなかった。……なるほど、そういうわけ。」
俺の呟きが合図になったかのように、2人で同時に歩き出す。しばらく無言で歩き始めた。今泉さんは結構駿也と一緒にいることが多かった。体育館で2人に会ったこともあったし、学食でも結構頻繁に2人に会ってた……。自転車のそばまで来た時に、俺は急に思い出した。
「そういえば、駿也、前に今泉さんから誰か紹介してもらってなかった?」
「紹介するって言われて断ったことがあっただけだ。」
そうだったっけ……。あやふやな記憶のままで、少しだけモヤモヤしたものを感じていた。
「俺はあの時はもう望しか頭になかった。煩わしいだけだった。」
俺から手を離した駿也に背中を引き寄せられた。駿也の温もりと香りに包まれて、ホッとしている自分がいる。駐輪場には照明がなく薄暗い。周りには人影がなく、俺は駿也の胸に顔を埋めた。
「望?」
駿也の声が身体の内側から聞こえる。
「明日のその先は誰にも分からないだろ? でも俺は明日も、その先もずっと望と過ごしていたい。」
駿也の声を聞いているうちに、俺の身体の中心が熱を帯びてくるのが分かった。心臓の音が煩い。でも、耳に聞こえる駿也の心臓の音は俺よりもドクドクいっていた。
「できれば誰にもじゃまされないところでずっと。……不可能だということは分かってる。でも、今のこの気持ちは本物だから。明日やその先はこれから証明していくほかに術がない。」
分かってる。……分かってるから、できればもっと駿也を感じたい。俺は、駿也の背中に回した腕に力を込めた。
「望。」
「駿也。」
2人同時に呼びかけて、顔を見合わせる。駿也がフッと笑った。
「何?」
俺は何て言おうか、言葉に詰まった。何て言ったらいい?
「じゃ、俺から。今日は俺のマンションに帰ろう?」
俺の気持ちを見透かされたような気がして、顔が熱くなるのが分かった。恥ずかしさを誤魔化すように、背伸びをする。
チュッ
俺からのキスで、駿也が目を見開くのが分かった。
「し、駿也がそう言うなら……。」
顔が上げられない。ちらっと上目遣いで駿也を見ると、顔を真っ赤にした駿也と目が合った。そのまま腕を掴まれる。
「ウ、んんんっ!」
駿也に下唇をペロリと舐められたかと思うと激しく吸いつかれた。息が出来ない……。駿也の舌が俺の口内を掻き回す。苦しいから……駿也っ!
「んはっ、はっ、はっ……駿也っ!」
「帰るぞ。」
抗議を込めて駿也を見上げるが、たちまち視界が奪われた。俺の頭を抱き寄せて、ちゅっとリップ音を響かせた駿也が、俺の身体を離して自転車のロックを解除する。俺も隣に行って自分の自転車のロックを外した。
「行こう。早く。急いで。」
駿也の言葉にクスッと笑みが漏れる。今夜は……眠れないかも。
少しだけ期待している自分に呆れながらも、俺は駿也の後に続いて自転車に跨った。
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