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ー純ー
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途中買ったチョコレートドリンクを渡して、俺もブレンドコーヒーに口をつける。侑は元気になったようだった。鼻歌でも聞こえそうなほどニコニコしながらホイップクリームを掬って口に入れている。
俺はそれどころではなかった。頭の中を渦巻く色々な思いを整理したい。思い? いや考えだろ。
『侑は女だ。』
うん、それには違いない。股間についているかどうかは確認してないが、胸は出ていた。女物の下着もつけてた。水色で、白いドットが飛んでいる……。
『いやいや違うだろ。それはもう済んだことだ。どうして俺は侑を気にしてるんだ?』
最初は目つきが気に入った。気が強そうで、小柄で、俺の好みそのまんまだった。
『抱いてみたいと思ったのか?』
そうだ。それは認める。バイだとしたら、簡単に落とす自信があった。
『でも、女だったんだぞ?』
そうだ、女だ。今まで女と体の関係を持ったことがない。勃つはずがないだろ? 女の身体なんて興味もなかった。
『侑の身体は?』
…………。侑が倒れた時に介抱したことを思い出す。あの時は、辛そうにしている侑を楽にしてやることしか頭になかった。水色のヒラヒラした下着を見たところで、何とも思わなかった。やはり女だったんだな、と確認しただけで。
『今は?』
今? 侑の下着姿を想像する。熱を出して倒れているんじゃなくて、起きていて、そして侑に覆い被さって、キスをする……。
「美味いか?」
「うん、美味しいっ!」
何となく考えがヤバイところにいくような気がして、声をかける。ストローでズズッと吸い上げる音を聞きながら、侑が羨ましくなった。オマエ、俺の苦労なんて全然気にしてないだろ。
すっかり葉の落ちた大通りを通り抜け、侑のアパート近くの駅前までやってきた。今日は侑を降ろしやすいように、裏道を入っていくか。
「お前、こっちの道は使ってる?」
元カレに襲いかかられた道。偶然俺が気づいてなければ、あの時は完全に事故に遭ってた。
「ううん、あれから全く使ってない。……やっぱりちょっとだけ怖い。」
「それが正解。」
そうだよな。気が強そうな顔をしていても、殺されそうになったんだ。男でも怖くなるに違いない。くそっ、またアイツに会ったら絞めておくか。そんなことを考えているうちに侑のアパート前にたどり着いた。
「ありがとうね。話を聞いてくれて。それにチョコレートドリンクも。」
「大丈夫か。」
「うん、もうすっかり。」
開いたドアから外に出た侑が、覗き込むようにして笑顔を見せる。ラクダ色のスカートが風ではためいていた。何となく引き留めたいような、俺も一緒に降りたいような気分に戸惑いながらも自分で決着をつけた。
「そうか。良かった。じゃあまたな。」
俺はそれどころではなかった。頭の中を渦巻く色々な思いを整理したい。思い? いや考えだろ。
『侑は女だ。』
うん、それには違いない。股間についているかどうかは確認してないが、胸は出ていた。女物の下着もつけてた。水色で、白いドットが飛んでいる……。
『いやいや違うだろ。それはもう済んだことだ。どうして俺は侑を気にしてるんだ?』
最初は目つきが気に入った。気が強そうで、小柄で、俺の好みそのまんまだった。
『抱いてみたいと思ったのか?』
そうだ。それは認める。バイだとしたら、簡単に落とす自信があった。
『でも、女だったんだぞ?』
そうだ、女だ。今まで女と体の関係を持ったことがない。勃つはずがないだろ? 女の身体なんて興味もなかった。
『侑の身体は?』
…………。侑が倒れた時に介抱したことを思い出す。あの時は、辛そうにしている侑を楽にしてやることしか頭になかった。水色のヒラヒラした下着を見たところで、何とも思わなかった。やはり女だったんだな、と確認しただけで。
『今は?』
今? 侑の下着姿を想像する。熱を出して倒れているんじゃなくて、起きていて、そして侑に覆い被さって、キスをする……。
「美味いか?」
「うん、美味しいっ!」
何となく考えがヤバイところにいくような気がして、声をかける。ストローでズズッと吸い上げる音を聞きながら、侑が羨ましくなった。オマエ、俺の苦労なんて全然気にしてないだろ。
すっかり葉の落ちた大通りを通り抜け、侑のアパート近くの駅前までやってきた。今日は侑を降ろしやすいように、裏道を入っていくか。
「お前、こっちの道は使ってる?」
元カレに襲いかかられた道。偶然俺が気づいてなければ、あの時は完全に事故に遭ってた。
「ううん、あれから全く使ってない。……やっぱりちょっとだけ怖い。」
「それが正解。」
そうだよな。気が強そうな顔をしていても、殺されそうになったんだ。男でも怖くなるに違いない。くそっ、またアイツに会ったら絞めておくか。そんなことを考えているうちに侑のアパート前にたどり着いた。
「ありがとうね。話を聞いてくれて。それにチョコレートドリンクも。」
「大丈夫か。」
「うん、もうすっかり。」
開いたドアから外に出た侑が、覗き込むようにして笑顔を見せる。ラクダ色のスカートが風ではためいていた。何となく引き留めたいような、俺も一緒に降りたいような気分に戸惑いながらも自分で決着をつけた。
「そうか。良かった。じゃあまたな。」
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