もこ

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「大丈夫なのか。」
「大丈夫かって聞かれても、知らないよ。父さんは心当たりないの?」

 久しぶりに聞く親父の声。この人も歳をとったな……そんな気がする。起きてからのんびりとブランチをとり、シャワーを浴びてから電話を繋いでもらっていた。11月の今の時期は肌寒い。愼が空調を調整してくれるけど、もう一枚何か着た方がいいかも。

「心当たりがないこともないが……。調べている最中だ。管理AIから最近のことについて報告を聞いた。」

「愼。」
「ん?」
「愼だって。名前。」

 人工知能であることには変わりない。けれども俺には大切なパートナーだ。「管理AI」だなんて、そこいら辺のものと一緒にするな。そんな気持ちが強くなっていた。

「そうか。『愼』と話をしていて、考えていることがある。お前は引き続き愼と協力しながら生活していろ。」

 この命令口調がいただけない。とにかく何でも「こうしろ、ああしろ」。今回も全部決まってから、俺は知らされるんだ。

「……分かった。」

 でもこの人に反論する勇気がない。父親とは思えない。……赤の他人。そしてこの人がいなければ俺は生きていく自信すらないんだ。

 適当に相槌を打って電話を終わらせる。スマホをテーブルに置いてホッとしている自分がいた。

「愼、親父と話していることって何?」

 目の前のパソコンへ呼びかける。愼は水色のハイネックのシャツを着ていた。その上にはパーカーか? 黒の何だか模様のあるパーカーを引っ掛けているように見える。愼に水色は似合わない。その愼が瞬きを繰り返してから口を開いた。

『優樹様。私の体は男性でしょうか。それとも女性でしょうか。』

 愼の言葉とともに、愼の顔をつけた2つの体が浮かび上がる。左に男性で右に女性。いきなり真っ裸の2人が表れて慌てた。腕を少しだけ開いてゆっくりと回っている。

「バカっ! 男に決まってんだろ! 早く消せよっ!」
『申し訳ありません。けれども優樹様、そういうことでございます。』
「へっ?」

 画面は元通りになって水色ハイネックの愼に戻ったけど、左側に映った愼の姿が頭から離れなかった。ちゃんと男の象徴までついてた……。

『極秘に動き始めるかもしれないということです。』
「えっ? 何を?」

 ……顔が熱い。絶対に赤くなってる。愼には知られたくないのに。

『最先端の技術を持つ会社と提携すべく、検討を始めております。私がAIとしてではなく、アンドロイドとして生まれ変わるかもしれないということです。』

「えっ? アンドロイド?」

 それから愼と暫く話をしたが、それ以上のことは分からなかった。どこの会社と手を結ぶのかすら教えてもらえない。本当に極秘らしい。俺は問い詰めるのを諦めて、どんな危険が迫っているのかに話を変え、これからのことについて話を続けた。
 

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