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僕の趣味は女の子、君の趣味も女の子
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「僕は、IT関係の雑誌をたまに買うかなあ。」
「そう。」
漫画や小説以外に何を買うかの話になり、僕が話しながら隣を見ると、齋藤さんが物言いたげにこちらを見ていた。まただ……。何となく、何となくなんだけど気まずい。でもこの感覚にはおぼえがある。
大学の時、初めて告白された日。あの時も友だち数人で帰る途中にその子と2人きりになった。そして、無言の時間が数分できて。耐えきれなくなった僕が笑いを誘おうと冗談を捻り出して。でもスルーされて……告白された。
『うわっ、渡辺の言ってたことってこれ?』
いや待て。僕の自意識過剰という場合もあり得る。渡辺が変なことを言っていたとしても、当たっているとは限らないし。そもそも的外れだっていう場合もあるわけだし、齋藤さんには実は彼氏がいるという場合も。
「あ、いや、興味ないかな?」
場を持たせるために何も考えずに言葉が出てきた。作り笑いをしながら隣を見ると、齋藤さんの顔に驚いたような表情が浮かんでいた。
「あ、あ、ごめんなさいっ。ちょっと考え事しちゃって。」
「何?」
この流れは不自然じゃないと思う。でも、彼女の答えを聞いた僕は、激しく後悔した。
「渡良瀬くんかっこいいな、って。彼女……いるのかな、って……。」
『うっ!』
どうしよう? やはり予感が当たった? なんて言えばいい? 彼女はいない、それは確かだ。でも付き合ってと言われたら? 僕に彼氏が務まるのか?
苦い記憶が蘇る。大学で付き合った2人。どちらも告白されて付き合い始めたのに、半年も持たなかった。1人は自然と連絡が取れなくなり、そのうちに校内で会っても目も合わせなくなった。もう1人は……。
『何だか思ってたのと違う。』
そう言って別れを切り出された。「思ってたの」って何だ? とツッコミたいところだったけど、何も言わずに彼女の「別れて」という言葉を受け入れた。
「いない、かな。でも今はそれどころじゃないから。」
「そ、そう……。うん、そうだよね。」
横目で齋藤さんを見ると、俯いていた。どうする? ごめんっていう? でもまだ告白されたってわけじゃあ……。
肩を微かに震わせている彼女を見てどうしたらいいかわからなくなる。困り果てて前を向いた。何も思いつかない。小さな飲み屋が連なる路地には人通りも少なく、気を紛らわせるような物も何もなかった。
『!!』
遠くに嶺さんがいた。隣にいるロングヘアの人は……日山さん? 遠目で誰だか分からない。でも背の高い男の人が嶺さんだということははっきりと分かった。
男が女性の肩に手を乗せる。そのまま、近くにある店に入って行った。
「行こう?」
僕は無意識に齋藤さんの手を取り、大通りまで残り少なくなった道を歩き続けた。
「そう。」
漫画や小説以外に何を買うかの話になり、僕が話しながら隣を見ると、齋藤さんが物言いたげにこちらを見ていた。まただ……。何となく、何となくなんだけど気まずい。でもこの感覚にはおぼえがある。
大学の時、初めて告白された日。あの時も友だち数人で帰る途中にその子と2人きりになった。そして、無言の時間が数分できて。耐えきれなくなった僕が笑いを誘おうと冗談を捻り出して。でもスルーされて……告白された。
『うわっ、渡辺の言ってたことってこれ?』
いや待て。僕の自意識過剰という場合もあり得る。渡辺が変なことを言っていたとしても、当たっているとは限らないし。そもそも的外れだっていう場合もあるわけだし、齋藤さんには実は彼氏がいるという場合も。
「あ、いや、興味ないかな?」
場を持たせるために何も考えずに言葉が出てきた。作り笑いをしながら隣を見ると、齋藤さんの顔に驚いたような表情が浮かんでいた。
「あ、あ、ごめんなさいっ。ちょっと考え事しちゃって。」
「何?」
この流れは不自然じゃないと思う。でも、彼女の答えを聞いた僕は、激しく後悔した。
「渡良瀬くんかっこいいな、って。彼女……いるのかな、って……。」
『うっ!』
どうしよう? やはり予感が当たった? なんて言えばいい? 彼女はいない、それは確かだ。でも付き合ってと言われたら? 僕に彼氏が務まるのか?
苦い記憶が蘇る。大学で付き合った2人。どちらも告白されて付き合い始めたのに、半年も持たなかった。1人は自然と連絡が取れなくなり、そのうちに校内で会っても目も合わせなくなった。もう1人は……。
『何だか思ってたのと違う。』
そう言って別れを切り出された。「思ってたの」って何だ? とツッコミたいところだったけど、何も言わずに彼女の「別れて」という言葉を受け入れた。
「いない、かな。でも今はそれどころじゃないから。」
「そ、そう……。うん、そうだよね。」
横目で齋藤さんを見ると、俯いていた。どうする? ごめんっていう? でもまだ告白されたってわけじゃあ……。
肩を微かに震わせている彼女を見てどうしたらいいかわからなくなる。困り果てて前を向いた。何も思いつかない。小さな飲み屋が連なる路地には人通りも少なく、気を紛らわせるような物も何もなかった。
『!!』
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僕は無意識に齋藤さんの手を取り、大通りまで残り少なくなった道を歩き続けた。
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