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僕の趣味は女の子、君の趣味も女の子
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『結局、僕は齋藤さんと付き合うことになるのかな。』
風呂上がりに、Tシャツを着ながら考える。齋藤さんを引きずるようにして歩き、嶺さんらしき人たちが入って行った店を横目で見ると、そこは小さな焼き鳥屋だった。
黒く煤けた木造家屋が古い年代を経てきたことを表している。2階は住居になっているらしい。暖簾は出ているし灯りもついているけど、にぎやかな声は聞こえない。流行っているのか?
その後すぐに大通りに出たところで齋藤さんの手を離した。隣を見ると耳まで真っ赤になった彼女がいた。
『僕から付き合おうって言うべきだった?』
今になって後悔。男なら自分から告っていけばいいのに、と思う。でも今まで告白した事もないし、そもそも僕は齋藤さんを好きなのかどうかもはっきりしない。
『あーー。明日、金井や渡辺に会いたくない……。』
スウェットパンツを履き終えて洗面台の前で頭を抱えた。
本屋に行って雑誌を手に取って眺めている間も、これからどうする? と、そればかり考えて何も頭に入ってこなかった。何かしら買ったらしい齋藤さんが隣に来て初めて我に返ったぐらいだ。
「じゃあ、帰ろうか。」
齋藤さんが不思議そうな顔をしていたけれど、構わずに店を後にした。とにかくこの場を切り抜けて、自分のマンションまで帰りたくてしょうがなかった。
帰りはほとんど何を話したかなんて覚えちゃいない。「うん。」「そうだね。」と相づちは打った。駅で電車が別方向だと分かったときには本当に安心した。
『嶺さんは……日山さんと付き合っているのかな。』
立ち上がって鏡を覗き込む。そこには青白い顔で、濡れてペシャンコの髪の毛をした自分がいた。憮然とした表情でこちらを睨んでいる。
長身でスレンダーな女性が好みの嶺さん。嶺さんだったら、こんなに迷わないのだろう。っていうか、女性との恋愛経験も多そうだ。モテるだろうし。
『長髪か。』
自分の前髪を引っ張りながら考える。日山さんだったにせよ他の誰かだったにせよ、髪の毛が風に流れて綺麗だった。今ごろ……。
「あーー、止めだ止めだ! 今夜は早く寝るんだ!」
変な想像をしそうになって慌てて声を出す。目の前にあった歯ブラシと歯磨き粉をつかんで洗面所を後にした。こんな気分の時には、早くベッドに入って寝てしまうに限る。
洗面所のドアがバタンと音を立てて閉まる。
ショウ……。
ちょうどその時、どこか遠いところで僕のことを呼ぶ声を聞いたような気がした。振り返って耳を澄ます。……暫くしても何も聞こえない。
『気のせいか。』
ニュースを見ながら歯を磨いて、そして本当に今日は早く寝てしまおう。そう心に決めて、テレビのリモコンが置いてあるリビングのソファめがけて歩いて行った。
風呂上がりに、Tシャツを着ながら考える。齋藤さんを引きずるようにして歩き、嶺さんらしき人たちが入って行った店を横目で見ると、そこは小さな焼き鳥屋だった。
黒く煤けた木造家屋が古い年代を経てきたことを表している。2階は住居になっているらしい。暖簾は出ているし灯りもついているけど、にぎやかな声は聞こえない。流行っているのか?
その後すぐに大通りに出たところで齋藤さんの手を離した。隣を見ると耳まで真っ赤になった彼女がいた。
『僕から付き合おうって言うべきだった?』
今になって後悔。男なら自分から告っていけばいいのに、と思う。でも今まで告白した事もないし、そもそも僕は齋藤さんを好きなのかどうかもはっきりしない。
『あーー。明日、金井や渡辺に会いたくない……。』
スウェットパンツを履き終えて洗面台の前で頭を抱えた。
本屋に行って雑誌を手に取って眺めている間も、これからどうする? と、そればかり考えて何も頭に入ってこなかった。何かしら買ったらしい齋藤さんが隣に来て初めて我に返ったぐらいだ。
「じゃあ、帰ろうか。」
齋藤さんが不思議そうな顔をしていたけれど、構わずに店を後にした。とにかくこの場を切り抜けて、自分のマンションまで帰りたくてしょうがなかった。
帰りはほとんど何を話したかなんて覚えちゃいない。「うん。」「そうだね。」と相づちは打った。駅で電車が別方向だと分かったときには本当に安心した。
『嶺さんは……日山さんと付き合っているのかな。』
立ち上がって鏡を覗き込む。そこには青白い顔で、濡れてペシャンコの髪の毛をした自分がいた。憮然とした表情でこちらを睨んでいる。
長身でスレンダーな女性が好みの嶺さん。嶺さんだったら、こんなに迷わないのだろう。っていうか、女性との恋愛経験も多そうだ。モテるだろうし。
『長髪か。』
自分の前髪を引っ張りながら考える。日山さんだったにせよ他の誰かだったにせよ、髪の毛が風に流れて綺麗だった。今ごろ……。
「あーー、止めだ止めだ! 今夜は早く寝るんだ!」
変な想像をしそうになって慌てて声を出す。目の前にあった歯ブラシと歯磨き粉をつかんで洗面所を後にした。こんな気分の時には、早くベッドに入って寝てしまうに限る。
洗面所のドアがバタンと音を立てて閉まる。
ショウ……。
ちょうどその時、どこか遠いところで僕のことを呼ぶ声を聞いたような気がした。振り返って耳を澄ます。……暫くしても何も聞こえない。
『気のせいか。』
ニュースを見ながら歯を磨いて、そして本当に今日は早く寝てしまおう。そう心に決めて、テレビのリモコンが置いてあるリビングのソファめがけて歩いて行った。
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