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僕の気持ちはどこにある? そして君は今、どこにいるの?
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「おはよう!」
「あ、嶺さんおはようございます。」
ラーメン屋での相談から10日間。僕は毎日いつもより、2本前の電車を使って通勤を始めた。同じ電車には必ず嶺さんが乗っていて、こんなふうに出会う。
「同じ電車に乗ってるのに、どうして渡良瀬の方が早いんだ?」
「僕は、いつも階段近くに止まる車両を狙って乗ってますから。」
嶺さんが乗り込んでくるのはターミナル駅で、プラットホームで待っている様子を電車の中から見かけていた。たぶん嶺さんは空いている後方の車両に乗るのだろう。
「混んでね?」
「まあ、慣れるとどうってことないです。2本後の電車の方がもっと混んでましたし。」
あれから、嶺さんの昔話を聞くことはなかったけれど、僕は色々と思い出していた。
あの夏の日はミンミンゼミがうるさかった。ばあちゃんが指定席の木陰のベンチに座ってる。時々小さな花を摘んでばあちゃんに持って行くんだ。そこで見てくれているのを確認するために。
1人で遊ぶのに飽きた頃、お兄さんがやってくる。夏なのにジーンズ。でも必ず白っぽいTシャツを着ていた。そして僕は嬉しくなるんだ。
顔は思い出せない。何となく黒い髪だったような気がする。そして、僕のことを『しょこちゃん』と呼ぶ声だけが蘇ってくる。
「明後日から、出張なんだ。」
「どこへですか?」
嶺さんの癖のある茶色の髪を見る。綺麗な栗色……染めているのだろうか? 色々な部でたまに出張があるのは知っていた。何せ、金の管理をしているのはうちの部だ。だいたいは近く。営業部が多いような気がする。
「台湾。」
「台湾ですか。遠いですね?」
海外への出張は、僕の覚えている限りでは4月に1度だけ。あれは誰の出張で、何処だったか。
「英語がある程度通じるっていうから心配はしてないけどな? 2泊で商談まとめろ、ってめっちゃ大変だぞ?」
「台湾は何語でしたっけ?」
僕も営業部になったら、海外へも行くのだろうか。それはちょっと問題だ。英語は聞くことはできても、会話ができる自信がない。
「『台湾語』って独自に進化していったらしいが、基本中国語らしい。俺も調べた。何せ初めての相手だからな。」
「大変そうですね。」
7月になって僕は半袖のワイシャツに変えたけれど、嶺さんは長袖のままだ。暑くないのだろうか?
「ま、楽しんでくるさ。美味いものいっぱい食べて。土産買ってくるよ。お、コンビニ寄ろうぜ。」
僕のことを気遣ってくれているのかは分からないけど、いつもこうやってコンビニに寄ってから会社へ行く。僕も2回に一度は昼食を買う。最後の研修日では同期と食事に出かけたし、あとは社食で食べることもある。
社食では、高確率で同期が同じテーブルにやってくる。でも前ほど構えないでいる自分がいた。それが例え齋藤さんさんであっても。
齋藤さんとは全く進展がない。齋藤さんがアプローチしてくる気配もない。研修日の昼食会が開かれた和風レストランでは、テーブルが別だった。だからといって僕の気持ちも変化せず。
まあ、そういうことなんだろう。1つだけ良かったこととは金井や渡辺もあれから何も言ってこないことだ。
そんなことを考えながら、今日の昼食は弁当にしようと嶺さんの後に続いて店に入った。
「あ、嶺さんおはようございます。」
ラーメン屋での相談から10日間。僕は毎日いつもより、2本前の電車を使って通勤を始めた。同じ電車には必ず嶺さんが乗っていて、こんなふうに出会う。
「同じ電車に乗ってるのに、どうして渡良瀬の方が早いんだ?」
「僕は、いつも階段近くに止まる車両を狙って乗ってますから。」
嶺さんが乗り込んでくるのはターミナル駅で、プラットホームで待っている様子を電車の中から見かけていた。たぶん嶺さんは空いている後方の車両に乗るのだろう。
「混んでね?」
「まあ、慣れるとどうってことないです。2本後の電車の方がもっと混んでましたし。」
あれから、嶺さんの昔話を聞くことはなかったけれど、僕は色々と思い出していた。
あの夏の日はミンミンゼミがうるさかった。ばあちゃんが指定席の木陰のベンチに座ってる。時々小さな花を摘んでばあちゃんに持って行くんだ。そこで見てくれているのを確認するために。
1人で遊ぶのに飽きた頃、お兄さんがやってくる。夏なのにジーンズ。でも必ず白っぽいTシャツを着ていた。そして僕は嬉しくなるんだ。
顔は思い出せない。何となく黒い髪だったような気がする。そして、僕のことを『しょこちゃん』と呼ぶ声だけが蘇ってくる。
「明後日から、出張なんだ。」
「どこへですか?」
嶺さんの癖のある茶色の髪を見る。綺麗な栗色……染めているのだろうか? 色々な部でたまに出張があるのは知っていた。何せ、金の管理をしているのはうちの部だ。だいたいは近く。営業部が多いような気がする。
「台湾。」
「台湾ですか。遠いですね?」
海外への出張は、僕の覚えている限りでは4月に1度だけ。あれは誰の出張で、何処だったか。
「英語がある程度通じるっていうから心配はしてないけどな? 2泊で商談まとめろ、ってめっちゃ大変だぞ?」
「台湾は何語でしたっけ?」
僕も営業部になったら、海外へも行くのだろうか。それはちょっと問題だ。英語は聞くことはできても、会話ができる自信がない。
「『台湾語』って独自に進化していったらしいが、基本中国語らしい。俺も調べた。何せ初めての相手だからな。」
「大変そうですね。」
7月になって僕は半袖のワイシャツに変えたけれど、嶺さんは長袖のままだ。暑くないのだろうか?
「ま、楽しんでくるさ。美味いものいっぱい食べて。土産買ってくるよ。お、コンビニ寄ろうぜ。」
僕のことを気遣ってくれているのかは分からないけど、いつもこうやってコンビニに寄ってから会社へ行く。僕も2回に一度は昼食を買う。最後の研修日では同期と食事に出かけたし、あとは社食で食べることもある。
社食では、高確率で同期が同じテーブルにやってくる。でも前ほど構えないでいる自分がいた。それが例え齋藤さんさんであっても。
齋藤さんとは全く進展がない。齋藤さんがアプローチしてくる気配もない。研修日の昼食会が開かれた和風レストランでは、テーブルが別だった。だからといって僕の気持ちも変化せず。
まあ、そういうことなんだろう。1つだけ良かったこととは金井や渡辺もあれから何も言ってこないことだ。
そんなことを考えながら、今日の昼食は弁当にしようと嶺さんの後に続いて店に入った。
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