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僕の気持ちはどこにある? そして君は今、どこにいるの?
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「嶺さん……。」
僕はリビングのソファに鞄を放り出し、冷蔵庫から取り出したお茶のペットボトルを手に座り込んだ。まだ夜の7時前。あれから、社内は騒然とし続けた。
僕は、やりかけの仕事はやっと仕上げたけれど、伊東さんは何も手につかない様子だった。
たまに携帯を取り出しては耳に当て、そしてしばらくするとため息とともにまたパソコンを操作することを繰り返していた。
鈴木さんだけは、僕たちの分まで仕事を頑張ってくれていた。
「こんな時はね、いつもやってる仕事をこなすのが一番なの。そのファイルちょうだい? 私がやるわ。」
そう言いながらも、たまに席を立って廊下に出て行くことがあった。営業部に仲のいい人がいるらしい。たまに様子を見に行っているようだった。
「ほら、3人とも今日は定時退勤だ。残業なし。残った仕事は全て来週でいい。」
5時過ぎに戻ってきた柿崎部長がそう告げた時は正直ホッとした。その時までに分かった情報といえば、海上保安庁の巡視船が現場に向かったとか、海に墜落したのだろうとか、そんなことだけだった。
夕飯をとる気にもならず、どこにも寄らないでまっすぐにマンションに帰ってきた。お腹も空かない。何か鉛のようなものを飲み込んだかのように胃の辺りが重かった。
『嶺さんは大丈夫だよ……な?』
テレビをつけようかと思ってテーブルからリモコンを取るが、思い直してそのまま置いた。夕方のニュースも終わるころだろう。それに新しい情報はスマホで検索すればすぐに分かる。
ペットボトルの蓋を開けて、一口喉に流し込む。ちょうどその時、遠くで僕を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
「……しょう!」
それは甲高く、女の人の声に似ていた。お茶をテーブルに置き、何気なく窓に近づく。でもそこには今朝出していった洗濯物が、風でユラユラ揺れているだけだった。
『洗濯物を取り込むか。』
窓を開けてベランダに出る。まだ梅雨明けしていない空が、生ぬるく湿気の多い風を運んできていた。空は雲に覆われて、星も見えない。建物のキラキラした窓の明かりや遠くに見えるカラフルなネオンがどこか宇宙の星々を連想させた。
全ての洗濯物を両手に抱え、寝室へと持っていく。クローゼットの中にある籠に一纏めに突っ込んだ。気が向いた時に畳んで仕舞い込めばいい。今夜は到底そんな気分になれなかった。
コツン
寝室を出ようと扉に近づいた時、窓に何か当たったような小さな音がして振り向いた。何となく、あの人影が見えるのではないかと思いながら窓に近づいて行ったけれども、そこに映るのは、僕のくたびれたような顔だけだった。
『何だ、この顔。』
口角を上げて笑顔を作ってみる。でもそこには、泣きべそをかいた自分の顔が映っているようにしか見えなかった。
僕はリビングのソファに鞄を放り出し、冷蔵庫から取り出したお茶のペットボトルを手に座り込んだ。まだ夜の7時前。あれから、社内は騒然とし続けた。
僕は、やりかけの仕事はやっと仕上げたけれど、伊東さんは何も手につかない様子だった。
たまに携帯を取り出しては耳に当て、そしてしばらくするとため息とともにまたパソコンを操作することを繰り返していた。
鈴木さんだけは、僕たちの分まで仕事を頑張ってくれていた。
「こんな時はね、いつもやってる仕事をこなすのが一番なの。そのファイルちょうだい? 私がやるわ。」
そう言いながらも、たまに席を立って廊下に出て行くことがあった。営業部に仲のいい人がいるらしい。たまに様子を見に行っているようだった。
「ほら、3人とも今日は定時退勤だ。残業なし。残った仕事は全て来週でいい。」
5時過ぎに戻ってきた柿崎部長がそう告げた時は正直ホッとした。その時までに分かった情報といえば、海上保安庁の巡視船が現場に向かったとか、海に墜落したのだろうとか、そんなことだけだった。
夕飯をとる気にもならず、どこにも寄らないでまっすぐにマンションに帰ってきた。お腹も空かない。何か鉛のようなものを飲み込んだかのように胃の辺りが重かった。
『嶺さんは大丈夫だよ……な?』
テレビをつけようかと思ってテーブルからリモコンを取るが、思い直してそのまま置いた。夕方のニュースも終わるころだろう。それに新しい情報はスマホで検索すればすぐに分かる。
ペットボトルの蓋を開けて、一口喉に流し込む。ちょうどその時、遠くで僕を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
「……しょう!」
それは甲高く、女の人の声に似ていた。お茶をテーブルに置き、何気なく窓に近づく。でもそこには今朝出していった洗濯物が、風でユラユラ揺れているだけだった。
『洗濯物を取り込むか。』
窓を開けてベランダに出る。まだ梅雨明けしていない空が、生ぬるく湿気の多い風を運んできていた。空は雲に覆われて、星も見えない。建物のキラキラした窓の明かりや遠くに見えるカラフルなネオンがどこか宇宙の星々を連想させた。
全ての洗濯物を両手に抱え、寝室へと持っていく。クローゼットの中にある籠に一纏めに突っ込んだ。気が向いた時に畳んで仕舞い込めばいい。今夜は到底そんな気分になれなかった。
コツン
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口角を上げて笑顔を作ってみる。でもそこには、泣きべそをかいた自分の顔が映っているようにしか見えなかった。
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旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
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