暗闇を超えてきた君が僕を離してくれない

もこ

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僕の気持ちはどこにある? そして君は今、どこにいるの?

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 新たな動きがあったのは水曜日だった。飛行機の残骸と思われるものが多数、大陸の方に漂着したらしい。そしてその情報を最初に見つけたのは、伊東さんだった。

「乗客……遺体……絶望。」

 伊東さんの呻くような呟きに反応して、僕や鈴木さんもネットのニュースを漁る。柿崎部長はしばらくすると、何も言わずに部屋を出ていった。

『複数名の遺体発見!』

 その見出しの下にあるのは、飛行機の残骸と思われる一部と、乗客のものだと思われる所持品など多数発見されたということだった。

 そして、遺体も。遺体が同じように漂着したのかどうかこれだけでは、全くわからない。

 他のニュースでは、『生存者は絶望か?』との見出しが踊っていた。日本と台湾両国の関係者が、現地に確認にいくことになっているという。

『嶺さんは大丈夫。絶対に大丈夫。』

 この何日間か自分に言い聞かせていた言葉が、心の中で虚しく空回りしているような気がした。

 その日、退勤まで柿崎部長が戻ってくることはなかった。そして、何とかその日の業務を終えた僕たちは、退勤時間を少し過ぎて、一緒に帰ることにした。

「どうなるのかしら。」

 駅に向かう途中、真っ先に口を開いたのは鈴木さんだった。

「どうなるとは?」

「嶺くんの乗った飛行機が、神隠しにあったわけではない。事故に遭ったのは間違いがないわ。」

 伊東さんの氷のような鋭い言葉が僕の胸を突き刺す。伊東さんの気持ちが痛いほどわかる。まだ可能性に縋っていたいんだ。

「……2人は嶺くんと仲が良かったから。もちろん私も奇跡が起こることを願っているわ。それは間違いない。でもね、会社としても考えていかなくちゃ。若手のエースがもしかしたらいなくなってしまうかもしれないのよ?」

「そんなこと、僕たちの考えることじゃ……!」

 思わず僕も口を出さずにはいられなかった。今は嶺さんの無事を信じて、何かするのが第一なんじゃないのか? でも何かしたくても、何をしたら良いのか思いつくわけではなかった。

「そうよね。そう、会社の上層部が考えること。それで今日は柿崎部長も戻ってこなかったんだと思うわ。あなたたち、最近の柿崎部長を見ていて何とも思わないの?」

「柿崎部長?」

 鈴木さんが何を言いたいのかわからずに聞き返したけど、伊東さんは、鈴木さんの向こう側で少し息を飲んだ様子が伝わってきた。

「そう、奥さんを4年前に同じように航空機事故で亡くしてるのよ。もちろん今回のように日本ではなくて、外国を回っている時だったけど。お友達と一緒に旅行に行っていたのですって。あの時、『金ばかり使いやがって。』そう言って笑っていたのに。」

 だから今回のことも相当部長には堪えてるはずよ。そして会社全体で考えた時、自分たちにも途中異動などの影響があるかもしれない。そう話す鈴木さんに、返す言葉は見つからなかった。


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