暗闇を超えてきた君が僕を離してくれない

もこ

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覚悟

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 結局、僕はセイちゃんの部屋には行かなかった。僕の様子を見たセイちゃんが、1人でゆっくりと休めと言ってくれた。

「ほら、少し食べないと。朝なんだから。」

 冷蔵庫にあった野菜を少しずつ微塵切りにして入れた味噌雑炊。セイちゃんが僕の部屋の台所を自由に使って作ってくれた。生姜の香りが食欲を唆る。セイちゃんは料理が上手そうだった。

「美味しい!」

 生姜と味噌、そしてネギの相性抜群だ。丼に分けられた雑炊を冷ましながらどんどん食べることができた。さっき気持ち悪いと感じていたのが嘘のように。

「だろ? 生姜と味噌の組み合わせって好きなんだよな。」

 僕より大きいラーメン丼に取り分けた雑炊をレンゲで掬って口に持っていきながら、セイちゃんが笑顔を見せた。エアコンの風でちょっぴり寒いぐらいの部屋の中で食べる雑炊は格別な味だった。

「セイちゃん、料理上手いね?」

 僕だって自炊はするけど、こんなに美味しい雑炊は作ったことがない。

「まあな。教えてもらったから。」

 セイちゃんは、少しだけ寂しそうな表情をしながら呟いた。それからだ。僕の手伝いはいらない、具合が悪かったのだからゆっくりと休めと言われたのは。

「本当にいいの?」

 僕自身はやりたいような、ちょっとだけホッとしているようなそんな気分だった。僕の表情を読んだのかセイちゃんが、笑顔になってこちらを見た。

「当たり前だろ? その代わり、夕飯を俺の部屋で食べよう。夕方6時に準備しておく。どう?」

 その笑顔につられるように頷く自分がいた。それなら午前中はゆっくりして、午後は買い物に行こう。セイちゃんのところに差し入れを持って行くのもいい。そんなことを考えながら、次第にワクワクしている自分がいた。





「セイちゃん、今スーパーにいるんだ。夕方何か差し入れしようと思うんだけど、何がいい? やっぱりワイン?」

 買い出しに来て、セイちゃんのところに行くのに何を持って行くか迷ってしまった。引っ越しにはやっぱりワインを持って行くべき? そんな経験がなかった僕は途方に暮れて、今朝教えてもらったばかりのスマホの番号で電話を入れていた。

「ははははっ! なんでワインなんだ。酒はいらない。涉が飲みたいのなら別だけど。ワイン好きなの?」

「い、いや僕はあまりお酒は飲まないんだ。」

「じゃあ、乾麺コーナーで蕎麦を買ってきて。それだけでいい。頼むの忘れた。」

 頼むのを忘れたって何だろう? でも蕎麦は大好きだ。特に十割そば。スーパーには売ってないかもしれないけど、美味しそうなものを見つけて……。

 今夜は蕎麦パーティーかな? 僕が作ってもいい。そんな気分で気分が浮き足立ちながら、買い物に戻った。




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