暗闇を超えてきた君が僕を離してくれない

もこ

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僕は君が好き、君も僕が好き?

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「あ、ああ、おめでと。告白され、た?」

 躊躇いがちな僕の言葉を聞いて、顔を赤くしながら頷く齋藤さんがいた。金井は……? もしかして振られたのか?

「最近ね、帰りの電車で変なオジサンに話しかけられることが多くて……。時間を変えてもいつの間にか近くにいるのよ? 怖いでしょう?」

 帰りの電車で必ず。……ストーカー?

「2週間ぐらい前に、思い切って『迷惑です!』って言ってみたの。」

「それで?」

 僕は内心齋藤さんの大胆な行動に驚いていた。何かされたらどうするんだ?

「その時にね、近くにいた彼が……。」

 ごちゃごちゃ言い出した「オジサン」を一発で黙らせたらしい。

「えっ? 警官だったってこと?」

「違うの。でもとても体格がよくて。次の駅で、オジサンを降ろして交番まで連れて行ってくれたの。」

「その人に告白されたわけ?」

「そうなの……昨日。」

 首元まで真っ赤になった齋藤さんは、いつものピンク色がなくても大丈夫そうだった。内側から何かが光って、齋藤さんの顔を輝かさせていた。

「おめでとう! オーケーしたんでしょ?」

 頷く齋藤さんの笑顔で僕も嬉しくなる。「今度会ってくれる?」という言葉にも何も考えずに同意した。

 齋藤さんが幸せになるのだったら、金井じゃなくてもそれでいい。気まずい思いもしたけど、こうやって一緒に喜ぶことができるのは、本当に友だちになった証拠だ。

 明日の会社帰りにどこかで待ち合わせしようという計画にのり、いつの間にかワクワクしながらおしゃべりに夢中になっていた。





「何だ? 今日は何かいいことあったのか?」
 
 会社帰りにビールを抱えてまっすぐ僕の家にきたセイちゃんが、顔を会わせた途端に口を開いた。

「ビールありがと。ちょっとね。後で話すよ。入って。」

 今日は焼屋の「呑幸」に勤務時間中に注文した食べ物を取り、速攻で家に帰ってきた。途中セイちゃんにビールを買ってきて、とメールをして。

 セイちゃんと飲むのは初めてだ。でも何かお祝いをしたい、そんな気分だった。

「乾杯!」

 キン! と2つのグラスが陽気な音を立てた。お互いのグラスに冷えたビールを注いで合わせる。買ってきた焼き鳥や串カツはレンジでホカホカに温めた。

「美味しいっ!」

 買ってきたばかりの冷えたビールが美味しい。ゴクゴクとグラスの半分以上が喉を通っていった。

「涉、結構飲めるんだな。」

「飲めるようになったのは最近!」

 そう、ビールの美味しさが分かるようになったのはつい最近だ。嶺さんと伊東さんと3人で飲んでから。

 でも今日は考えない。セイちゃんと飲むのを楽しむんだ。

「そうか。じゃあどんどん飲め。」

 500mlの缶があっという間に空になった。もう一本開けながら、セイちゃんが僕のグラスに注いできた。

「ありがとう。セイちゃんも飲めるでしょ?」

「ある程度はな。」

「どのくらい?」

 日本酒を飲んでも、焼酎を飲んでも潰れたことがないというセイちゃんの言葉に驚いた。でもたくさんの話を聞いてもらって、美味しいものをたくさん食べて、楽しい1日が終わろうとしていた。




 
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