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第三章『魅了H。駆出し淫魔は大悪魔に誘惑され、黒い天使は嫉妬する』
第四十五話「新たな来訪者」
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卑猥で淫妖な夜が明けてから、一週間が経った。
「倉林さんは、今日も休みなのかな」
午前九時。
職員の人達が色々慌ただしそうにしてるけど、そこに倉林さんの姿はない。
ついでに、木山の姿もなかった。
あの夜から、倉林さんはずっと職場を休んでいた。
理由はわからない。
もし、彼女が僕とセックスした事を、警察に訴えたりでもしてたら……。
そんな不安に駆られる時もあったけど、実のところあまり心配はしていなかった。
僕とのセックスで、あれだけ気持ちよさそうに喘いでいたのだ。
気絶する程の強烈な快感が、彼女の身体と脳に深く刻み込まれている。
ミカエリはともかく、倉林さんはもう、セックス無しには生きられない。
そんな確信があった。
「それより、なんか今日はバタバタしているな」
何かあったんだろうか。
「え、倉林さん……?」
その時、ドアから倉林さんが現れた。
僕はその姿にぎょっとする。
彼女の顔は、あちこちが火傷したように腫れ、鬱血したような青いアザができていた。
包帯で隠してはいるけど、痛ましい姿に目が離せない。
いつも天真爛漫としていた瞳に明るさはなく、まるで糸で操られた人形のような動きで席に着いた。
何事か、と思った矢先、氷室先輩がぎこちない表情で前に立った。
「えーと、突然ですが、皆さんに二点共有です。木山君ですが、昨日付けで、私たちのグループから離任することになりました」
「えっ」
木山が? 一体どういうこと?
突然の事態に、僕は驚きを隠せない。
僕は固唾を飲みながら、氷室先輩の次の言葉を待つ。
「えー……一点目は以上です」
「えええっ」
これで終わり? 何で? 何も分かってないよ。
まるで何かを隠しているかのようにあっさりとした説明。
不審感を抱く僕を置き去りにして、先輩の報告は続く。
「二点目ですが、木山くんの代わりに、新しメンバーが加わります。それでは、芥紫織さん、どうぞ」
他の職員が一斉にドアの方へ向く。
僕もつられるように振り向きながら、ふと頭に引っ掛かる。
あれ、どこかで聞いたような名前……?
そして、黒髪ロングで長身の女の子が氷室先輩と入れ替わりで前に立つ。
「初めまして。芥紫織です。……隣町の図書館から配属になりました。どうぞ、よろしく」
堂々した佇まい。
背が高い。モデルのような体型。
年は、二十代半ばといった感じだろうか。
キリっとした鋭い瞳は威圧感を感じるが、怖いというよりも、どこかミステリアスな印象だ。
「……あれ、僕のことを見てる?」
何やら熱っぽい視線を感じて、僕はつい視線を逸らしてしまう。
胸を見ていることがバレちゃったか。
いや、でもメロンのように大きな存在がスーツを押し上げているから、つい……。
「……クスっ」
「……?」
笑っ、た?
いや、笑われたのか。
「……というわけで、皆さん。これから芥さんのことよろしくね。彼女はまだここの図書館については全然知らないから……日高!」
「え、僕?」
「日高、ここの先輩として、彼女に色々と教えてあげて。席は、アンタの右隣が空いてるわよね」
「あ、はい」
流されるように頷いてしまった。
「よろしく、日高宋真さん」
「よ、よろしく。……って、僕の事知ってるの?」
「ええ。……ずっと見てたから」
「え?」
「二人とも、一旦いいかしら? このまま朝会を始めようと思うのだけど」
「あ、はい」
こうして、なんとも慌ただしく、奇妙な一日が始まった。
木山の離任。
痛々しい姿の倉林さん。
そして、新たな参画者。
芥紫織さんの事もそうだけど、まずは倉林さんの事が気になる。
僕は、氷室先輩に何があったのかを聞いてみることにした。
「倉林さんは、今日も休みなのかな」
午前九時。
職員の人達が色々慌ただしそうにしてるけど、そこに倉林さんの姿はない。
ついでに、木山の姿もなかった。
あの夜から、倉林さんはずっと職場を休んでいた。
理由はわからない。
もし、彼女が僕とセックスした事を、警察に訴えたりでもしてたら……。
そんな不安に駆られる時もあったけど、実のところあまり心配はしていなかった。
僕とのセックスで、あれだけ気持ちよさそうに喘いでいたのだ。
気絶する程の強烈な快感が、彼女の身体と脳に深く刻み込まれている。
ミカエリはともかく、倉林さんはもう、セックス無しには生きられない。
そんな確信があった。
「それより、なんか今日はバタバタしているな」
何かあったんだろうか。
「え、倉林さん……?」
その時、ドアから倉林さんが現れた。
僕はその姿にぎょっとする。
彼女の顔は、あちこちが火傷したように腫れ、鬱血したような青いアザができていた。
包帯で隠してはいるけど、痛ましい姿に目が離せない。
いつも天真爛漫としていた瞳に明るさはなく、まるで糸で操られた人形のような動きで席に着いた。
何事か、と思った矢先、氷室先輩がぎこちない表情で前に立った。
「えーと、突然ですが、皆さんに二点共有です。木山君ですが、昨日付けで、私たちのグループから離任することになりました」
「えっ」
木山が? 一体どういうこと?
突然の事態に、僕は驚きを隠せない。
僕は固唾を飲みながら、氷室先輩の次の言葉を待つ。
「えー……一点目は以上です」
「えええっ」
これで終わり? 何で? 何も分かってないよ。
まるで何かを隠しているかのようにあっさりとした説明。
不審感を抱く僕を置き去りにして、先輩の報告は続く。
「二点目ですが、木山くんの代わりに、新しメンバーが加わります。それでは、芥紫織さん、どうぞ」
他の職員が一斉にドアの方へ向く。
僕もつられるように振り向きながら、ふと頭に引っ掛かる。
あれ、どこかで聞いたような名前……?
そして、黒髪ロングで長身の女の子が氷室先輩と入れ替わりで前に立つ。
「初めまして。芥紫織です。……隣町の図書館から配属になりました。どうぞ、よろしく」
堂々した佇まい。
背が高い。モデルのような体型。
年は、二十代半ばといった感じだろうか。
キリっとした鋭い瞳は威圧感を感じるが、怖いというよりも、どこかミステリアスな印象だ。
「……あれ、僕のことを見てる?」
何やら熱っぽい視線を感じて、僕はつい視線を逸らしてしまう。
胸を見ていることがバレちゃったか。
いや、でもメロンのように大きな存在がスーツを押し上げているから、つい……。
「……クスっ」
「……?」
笑っ、た?
いや、笑われたのか。
「……というわけで、皆さん。これから芥さんのことよろしくね。彼女はまだここの図書館については全然知らないから……日高!」
「え、僕?」
「日高、ここの先輩として、彼女に色々と教えてあげて。席は、アンタの右隣が空いてるわよね」
「あ、はい」
流されるように頷いてしまった。
「よろしく、日高宋真さん」
「よ、よろしく。……って、僕の事知ってるの?」
「ええ。……ずっと見てたから」
「え?」
「二人とも、一旦いいかしら? このまま朝会を始めようと思うのだけど」
「あ、はい」
こうして、なんとも慌ただしく、奇妙な一日が始まった。
木山の離任。
痛々しい姿の倉林さん。
そして、新たな参画者。
芥紫織さんの事もそうだけど、まずは倉林さんの事が気になる。
僕は、氷室先輩に何があったのかを聞いてみることにした。
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