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第一章『性なる力に目覚めた勇者!?』
第19話 ヒミカ、王様を魅了する
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ヒミカは妖艶に笑う。
くねくねと誘うように身体を揺らして王様に歩み寄る。
玉座の正面。手を伸ばせば互いに触れられる距離まで近づいた。
娼婦として、ミルキィフラワーでソファに座る男性をもてなす姿を思いだしながら。
「ほおっ、ほおっ! こりゃ迫力が段違いじゃあ。ばいんばいんのぼぼぼんっ!」
王様はふがふがと鼻息荒くしながら立ち上がった。
今にも折れそうな細い足をぷるぷるさせながら前屈み。
枯れ果てた老人のくせに、股間はもっこりと膨らんでいる。
一大陸の王なのに。配下の騎士が見ているのに、恥も外聞もなく。
ヒミカは踊りを再開する。
官能的に腰を揺らすと、豊かな胸も踊り出す。
王様の視線が胸に集中すると、くるりと後ろを向いて今度は白い背中と丸いお尻を見せつける。
わざとらしいくらいに突き出して。息がかかりそうなほどに。
(ほらほら。もっと近くで見たいでしょ?)
これはチャンスなのだ。
勇者の力で、能力が跳ね上がった私の【魅惑の舞】。
妖艶な踊りで注意を引くのは、油断した瞬間を狙うため。
(今だ!)
振り返ってウインク。
【誘惑の濡れ瞳】!
ヒミカの瞳から魔力が矢となって王様の目を貫いた。
「ほへ? ……ほうぅへ?」
ぽかんと口を開けたまま放心する王様。魂が抜けてしまったかのように間抜けな顔だ。
魅了は成功した。
ちゃんと効いているのか確認するため、王様の耳元で命令してみる。
「私の太ももに触れなさい」
言われるがまま、王様は骨ばった手をわきわきとさせ、ヒミカの太ももに触れた。
カサカサに乾燥しているのに、ねっとりと指を沈ませていくのがいやらしい。
(大丈夫、効いている)
指先がお尻まで伸びた瞬間を逃さなかった。
「はあっ!」
手首を掴みあげ、身体ごと玉座に押し倒す。
周囲の騎士達も何事かとざわめいた。
「いくら王様でも、踊り子への過激なタッチはNGですよ?」
王様は驚いたかのように目を見開くも、放心した状態でただ口をパクパクするだけだ。
(勝った)
確信した笑みを浮かべながら、高らかに宣告する。
「私が勇者ってことは間違いだと皆に宣言しなさい。そして今すぐ私と妹をトーラスの街に送迎すること。ついでに、慰謝料として一年分の食料も届けてね」
王様がふらふらと糸で操られたように立ち上がる。
何が何やら分からない騎士達はただ王を見守るばかりだった。
「はぁ。がっかりじゃ」
驚愕。
そして絶句。
声が、前ではなく背後から聞こえてきた。
「ほっほぇっほえっ、げふっ。五〇年ぶりの【影弄】は腰に響くのぉ」
振り返った先に、アウザー・セントエルディアが立っていた。〇
「ど、どうなってるの?」
もう一度玉座に向き直ると、今の今まで掴み上げていた腕と身体が蜃気楼のように溶けて消える。
「このっ!」
バチン! と再度瞳から魔力の矢を放つ。
しかし、まるで効果がない。
「覚醒によりヒミカ君の魔力は跳ね上がっている筈なのじゃが……。ふむ、無意識に栓をしておるみたいじゃの」
「なんのこと……?」
「驚くことでない。ただの経験の差じゃよ。ワシとて、勇者と肩を並べて魔王と闘った拳聖なのじゃからのぉ。勇者については詳しいぞい」
「何言ってるの? 魔王って一〇〇年前の話でしょ?」
「そうじゃ。あの頃はワシも二〇歳になったばかりでの。同い年の勇者とよく馬鹿をやったもんじゃ。今では全員死んでワシしか居ないがの。はぁ、青春時代」
「勇者と同い年って……じゃあ今は一二〇歳ってこと!?」
「長生きしても、歴史に名を残すのはいつも勇者一人だけよのぉ。ワシも所詮、モブに過ぎないってことかぇ」
(……ふざけてる)
見た目も、態度も、年齢も。
だらりと、嫌な汗が胸の下に溜まる。悪態を吐く口が異様に乾く。動悸も激しい。
けれど。
(私、とんでもない相手を敵に回してしまった──!)
くねくねと誘うように身体を揺らして王様に歩み寄る。
玉座の正面。手を伸ばせば互いに触れられる距離まで近づいた。
娼婦として、ミルキィフラワーでソファに座る男性をもてなす姿を思いだしながら。
「ほおっ、ほおっ! こりゃ迫力が段違いじゃあ。ばいんばいんのぼぼぼんっ!」
王様はふがふがと鼻息荒くしながら立ち上がった。
今にも折れそうな細い足をぷるぷるさせながら前屈み。
枯れ果てた老人のくせに、股間はもっこりと膨らんでいる。
一大陸の王なのに。配下の騎士が見ているのに、恥も外聞もなく。
ヒミカは踊りを再開する。
官能的に腰を揺らすと、豊かな胸も踊り出す。
王様の視線が胸に集中すると、くるりと後ろを向いて今度は白い背中と丸いお尻を見せつける。
わざとらしいくらいに突き出して。息がかかりそうなほどに。
(ほらほら。もっと近くで見たいでしょ?)
これはチャンスなのだ。
勇者の力で、能力が跳ね上がった私の【魅惑の舞】。
妖艶な踊りで注意を引くのは、油断した瞬間を狙うため。
(今だ!)
振り返ってウインク。
【誘惑の濡れ瞳】!
ヒミカの瞳から魔力が矢となって王様の目を貫いた。
「ほへ? ……ほうぅへ?」
ぽかんと口を開けたまま放心する王様。魂が抜けてしまったかのように間抜けな顔だ。
魅了は成功した。
ちゃんと効いているのか確認するため、王様の耳元で命令してみる。
「私の太ももに触れなさい」
言われるがまま、王様は骨ばった手をわきわきとさせ、ヒミカの太ももに触れた。
カサカサに乾燥しているのに、ねっとりと指を沈ませていくのがいやらしい。
(大丈夫、効いている)
指先がお尻まで伸びた瞬間を逃さなかった。
「はあっ!」
手首を掴みあげ、身体ごと玉座に押し倒す。
周囲の騎士達も何事かとざわめいた。
「いくら王様でも、踊り子への過激なタッチはNGですよ?」
王様は驚いたかのように目を見開くも、放心した状態でただ口をパクパクするだけだ。
(勝った)
確信した笑みを浮かべながら、高らかに宣告する。
「私が勇者ってことは間違いだと皆に宣言しなさい。そして今すぐ私と妹をトーラスの街に送迎すること。ついでに、慰謝料として一年分の食料も届けてね」
王様がふらふらと糸で操られたように立ち上がる。
何が何やら分からない騎士達はただ王を見守るばかりだった。
「はぁ。がっかりじゃ」
驚愕。
そして絶句。
声が、前ではなく背後から聞こえてきた。
「ほっほぇっほえっ、げふっ。五〇年ぶりの【影弄】は腰に響くのぉ」
振り返った先に、アウザー・セントエルディアが立っていた。〇
「ど、どうなってるの?」
もう一度玉座に向き直ると、今の今まで掴み上げていた腕と身体が蜃気楼のように溶けて消える。
「このっ!」
バチン! と再度瞳から魔力の矢を放つ。
しかし、まるで効果がない。
「覚醒によりヒミカ君の魔力は跳ね上がっている筈なのじゃが……。ふむ、無意識に栓をしておるみたいじゃの」
「なんのこと……?」
「驚くことでない。ただの経験の差じゃよ。ワシとて、勇者と肩を並べて魔王と闘った拳聖なのじゃからのぉ。勇者については詳しいぞい」
「何言ってるの? 魔王って一〇〇年前の話でしょ?」
「そうじゃ。あの頃はワシも二〇歳になったばかりでの。同い年の勇者とよく馬鹿をやったもんじゃ。今では全員死んでワシしか居ないがの。はぁ、青春時代」
「勇者と同い年って……じゃあ今は一二〇歳ってこと!?」
「長生きしても、歴史に名を残すのはいつも勇者一人だけよのぉ。ワシも所詮、モブに過ぎないってことかぇ」
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見た目も、態度も、年齢も。
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