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第一章『性なる力に目覚めた勇者!?』
第18話 ヒミカの挑発
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「そこまでしゃ」
しわがれた声。
続いて大きな衝撃音。
獣に成り果てた騎士が静まり返っていることに気付いて、ヒミカはハッとする。
騎士の股間にやせ細った足がめり込んでいた。
急所への痛恨の一撃。
ぴくぴくと身体を震わせたかと思うと、騎士の身体は糸が切れたように崩れて動かなくなってしまった。
倒れた背中から現れたのは、片足を上げたまま静止するアウザー・セントエルディア王の姿。
「すまんのう。ワシの騎士達は修行が足りんようじゃ」
少年のような体躯の王様は心底失望したとばかりにため息を吐くと、手を差し伸べた。
「ありがとう、ございます」
(もしかして、助けてくれたの?)
「さて、続きを。次はワシの目の前で頼む」
淡い希望はすぐさま泡のように消える。
「え、まだですか?」
「修行が足りん若造では話にならん。これではヒミカくんの力がどれ程のものか、正しく見極められんじゃろう。気にすることはない。ワシはそう簡単に魅了されたりせん。胸を借りるつもりでどーんと来なさい、どーんと」
両手をぷるぷるさせながら広げて見せる。ハグを待っているかのように。
(別にあなたの瘦せこけた胸なんか、借りるどころか見たくもないけど)
「わかりました」
素直に従う。
破れた衣服もそのまま、胸も隠すことなく。
騎士達の好奇の視線に晒される羞恥心さえ捨て去って。
曲芸師が芸を披露するように、ヒミカもプロの踊り子として王様を楽しませる見世物になる。
タタン!
軽やかにステップを踏み。右に一回転。
くるりと踵を返し、両手を満開に咲く花のように広げながら左に二回転。
遠心力を利用して床を強く踏み込み、右足を高く振り上げて飛翔し三回転。
周囲の騎士達から歓声が沸く。
下着は先ほどの騎士に破られてしまったため、性器が丸見えになっている羞恥をぐっとこらえる。
わずかな滞空時間にくるくると四度の回転をしてみせた。
着地もスマートに。身体が羽毛になったかのように軽やかに。接地した左足を軸にしてさらに回転。決めポーズ。
拍手の嵐が巻き起こった。
派手な踊りと豊満な肢体。
豊かな胸が大胆に揺れ、湿った性器も剥き出しに。
国民の模範であるべきと抑制された生活を送る騎士達にとって、ヒミカの踊りはこれ以上ない娯楽だった。
(でも、王様はさっきの騎士みたいにおかしくならない。距離が離れているとダメなんだ)
ヒミカの【魅惑の舞】には誘惑効果がある。
その原理は、踊ることによって体内で練られた魔力をオーラ状に飛ばすことだ。
魔力を浴びた対象は精神に干渉されて、魅了状態になってしまう。
本来は、無関心な相手に好意を抱かせたり、怒っている相手を瞬時に宥める程度のスキルだ。
(不本意だけど、勇者となった今なら分かる。私の踊りはこんなものじゃない。私の力の本質は……精神の掌握!)
お腹に描かれた勇者の証が告げる。
魅了とは、心を完全に心酔させ、虜にすること。
即ち、相手を意のままにできるということ。
先ほどの大柄な騎士は初めてだったから上手くいかなかったけど、今度は自信がある。
(私に魅了された王様は、私の思い通りになるということ!)
ヒミカに不敵な笑みが浮かぶ。
勇者と言われた時は心底絶望したが、冷静になればこの通り。
今の私は、並大抵の冒険者よりずっと強い。
王様を魅了して言うことを聞かせ、妹と一緒に城を抜け出す。
それだけじゃない。食料や金銭を永久に支給させることだってできるかもしれない。
(だから早く、私に魅入られなさい。このモウロク爺!)
二度目の悩殺決めポーズ。
(……あれ?)
違和感。
王様は顎髭を弄び、神妙な面持ちのままだ。
壁際の騎士達は拍手をしたり、前のめりになってヒミカの身体を凝視しているのに。
(まさか、効いてない?)
「ふむ、もっと近くで見たいのう。ええかぇ?」
ぐふっと下品な笑みを浮かべ、鼻を伸ばしている。
ほっとする。
心配は多分杞憂だ。
一国の王様だろうと所詮はスケベな男。ヒミカに夢中になっているのは間違いない。
「ええ、いいですよ」
しわがれた声。
続いて大きな衝撃音。
獣に成り果てた騎士が静まり返っていることに気付いて、ヒミカはハッとする。
騎士の股間にやせ細った足がめり込んでいた。
急所への痛恨の一撃。
ぴくぴくと身体を震わせたかと思うと、騎士の身体は糸が切れたように崩れて動かなくなってしまった。
倒れた背中から現れたのは、片足を上げたまま静止するアウザー・セントエルディア王の姿。
「すまんのう。ワシの騎士達は修行が足りんようじゃ」
少年のような体躯の王様は心底失望したとばかりにため息を吐くと、手を差し伸べた。
「ありがとう、ございます」
(もしかして、助けてくれたの?)
「さて、続きを。次はワシの目の前で頼む」
淡い希望はすぐさま泡のように消える。
「え、まだですか?」
「修行が足りん若造では話にならん。これではヒミカくんの力がどれ程のものか、正しく見極められんじゃろう。気にすることはない。ワシはそう簡単に魅了されたりせん。胸を借りるつもりでどーんと来なさい、どーんと」
両手をぷるぷるさせながら広げて見せる。ハグを待っているかのように。
(別にあなたの瘦せこけた胸なんか、借りるどころか見たくもないけど)
「わかりました」
素直に従う。
破れた衣服もそのまま、胸も隠すことなく。
騎士達の好奇の視線に晒される羞恥心さえ捨て去って。
曲芸師が芸を披露するように、ヒミカもプロの踊り子として王様を楽しませる見世物になる。
タタン!
軽やかにステップを踏み。右に一回転。
くるりと踵を返し、両手を満開に咲く花のように広げながら左に二回転。
遠心力を利用して床を強く踏み込み、右足を高く振り上げて飛翔し三回転。
周囲の騎士達から歓声が沸く。
下着は先ほどの騎士に破られてしまったため、性器が丸見えになっている羞恥をぐっとこらえる。
わずかな滞空時間にくるくると四度の回転をしてみせた。
着地もスマートに。身体が羽毛になったかのように軽やかに。接地した左足を軸にしてさらに回転。決めポーズ。
拍手の嵐が巻き起こった。
派手な踊りと豊満な肢体。
豊かな胸が大胆に揺れ、湿った性器も剥き出しに。
国民の模範であるべきと抑制された生活を送る騎士達にとって、ヒミカの踊りはこれ以上ない娯楽だった。
(でも、王様はさっきの騎士みたいにおかしくならない。距離が離れているとダメなんだ)
ヒミカの【魅惑の舞】には誘惑効果がある。
その原理は、踊ることによって体内で練られた魔力をオーラ状に飛ばすことだ。
魔力を浴びた対象は精神に干渉されて、魅了状態になってしまう。
本来は、無関心な相手に好意を抱かせたり、怒っている相手を瞬時に宥める程度のスキルだ。
(不本意だけど、勇者となった今なら分かる。私の踊りはこんなものじゃない。私の力の本質は……精神の掌握!)
お腹に描かれた勇者の証が告げる。
魅了とは、心を完全に心酔させ、虜にすること。
即ち、相手を意のままにできるということ。
先ほどの大柄な騎士は初めてだったから上手くいかなかったけど、今度は自信がある。
(私に魅了された王様は、私の思い通りになるということ!)
ヒミカに不敵な笑みが浮かぶ。
勇者と言われた時は心底絶望したが、冷静になればこの通り。
今の私は、並大抵の冒険者よりずっと強い。
王様を魅了して言うことを聞かせ、妹と一緒に城を抜け出す。
それだけじゃない。食料や金銭を永久に支給させることだってできるかもしれない。
(だから早く、私に魅入られなさい。このモウロク爺!)
二度目の悩殺決めポーズ。
(……あれ?)
違和感。
王様は顎髭を弄び、神妙な面持ちのままだ。
壁際の騎士達は拍手をしたり、前のめりになってヒミカの身体を凝視しているのに。
(まさか、効いてない?)
「ふむ、もっと近くで見たいのう。ええかぇ?」
ぐふっと下品な笑みを浮かべ、鼻を伸ばしている。
ほっとする。
心配は多分杞憂だ。
一国の王様だろうと所詮はスケベな男。ヒミカに夢中になっているのは間違いない。
「ええ、いいですよ」
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