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第二章『えっ! 踊り子なのに魔物と戦うんですか!?』
第28話 生活と性活
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夕方のギルド。
一角にある談話室にはヒミカとユーマしか残っていない。
クエストを終え、報酬を受け取った冒険者パーティたちが次々と去り、隣の酒場に吸い込まれていく様子を恨めしそうに眺めている。
クエスト失敗の烙印を押された札をぐしゃり、と握りつぶした。
「目の前は真っ暗。ゲームオーバー。私たちの旅は三日目で終了ね」
「勇者様、諦めるのが早いですよ! 一体どうしたんですか?」
「自分の身体に聞いてみなさい!」
ユーマがお腹に手を当てると、ぐぎゅるるっ! と悲鳴のようなお腹が鳴った。
「あ、あはは。やっぱり、二日も食べてないのは辛いですね」
「勇者になれば冒険者なんて簡単って思ってたけど、やっぱ私には無理! 魔物と戦うとか怖すぎる!」
ヒミカとユーマ。二人で始めた魔王討伐の旅。
二人とはいえ、片や王国の直属騎士で、もう片方はこの世に二人といない勇者だ。
けれども、騎士だろうが勇者だろうが、世の中お金がなければ日々食べていくこともままならない。
そこで、セントエルディアから一番近い街・アグリナで旅の傍ら冒険者登録をして、日銭を稼ぐことにしたのだが。
「まさかユーマも私に負けず劣らず役立たずとは思わなかったわ」
「申し訳ないです……。ベアウルフってめちゃくちゃ速くて獰猛で。一歩間違えたら頭に噛みつかれて即死……! ああ、思い出すだけで足が震えます」
昨日受注したベアウルフ討伐のクエストを思い出したユーマが抱えた膝を震わせる。
「騎士になり立てだからって、カカシ相手しか剣を振るったことないってどうなの」
「返す言葉もないです」
とはいえ、騎士も冒険者も、まずは経験者のパーティに所属して戦闘慣れしていくものだ。
即席パーティかつ、ヒミカもユーマも実践経験は皆無。初っ端から詰んでいたのだった。
「アグリナって新鮮な野菜や果物が有名な街よね。余った野菜とか分けてもらえないかしら」
すると、ギルドの外から大きな声が聞こえてくる。
露店を出している店主と、買い物にきた主婦のようだ。
『ちょっと! このレタスの値段はなに!?、トマトも、キュウリも! 今までこんな高くなかったでしょう! しなしなだし、色も悪いじゃない! ぼったくってんの?』
『すまない。サブルブ村からの供給がなぜかここ半月の間途絶えてるんだ。少し古いから鮮度は申し訳ない。在庫もここに並んでるものだけだから、値段も勘弁してくれ』
『ふん。アグリナで古くて高い野菜を買うくらいなら、今日は外食でパーッとステーキでも食べにいくわ』
『外食する余裕はあるのか……。困ったなぁ。売れなくても家畜のエサ用に回さなきゃならんし、このままだと俺も生活が──』
どうやら、野菜を買いにきたはずの主婦が、露店の品揃えが悪く、喧嘩しているようだった。
「ユーマ、その辺に生えてる雑草ならタダよね。私、質素な生活には慣れてるし、自然の恵みを──」
「ダメですって、お腹壊しちゃいますよ!」
「うぅ。動けるうちにまとまったお金が欲しいわね。都合よく盗賊の捕縛依頼なんてないし、やっぱり魔物討伐しかない、か」
「魔物討伐なんですが、勇者様の力でぱーっとなんとかなりませんか」
「ダメ! ダメダメダメ! 何度も言ってるけど魔物と戦うなんて無理! 鳴き声だけでも怖い! 私は後方支援担当として木の影からユーマを見守るわ」
「本当に見守ってるだけじゃないですか! せめて味方のバフとか後方からの魔力攻撃とか……」
「私のはそういうのじゃないの、知ってるでしょ。 それに、勇者を守る騎士になるって言ったのはユーマじゃない」
「うぅ、はい。その通りなんですが」
「しっかりしてよ。ほら……」
恥ずかしそうに言い淀む。
「癒しならしてあげられる、から」
廊下の端に位置した小さなロビーは、しんと静まり返っている。
「ぅあっ!? ゆ、勇者様……何を」
「何をって、さっきからずっとこんな硬くしてて、よくとぼけられるわね」
細い指先で、鎧を脱いだ短パンに触れる。
もっこりとテントを張った股間は押してもビクともしないくらい張りつめている。
「ご、ごめんなさい! 勇者様と出会ってから、こんな風になっちゃって」
「私に出会ってから? どうして?」
我ながらイジワルな質問だ。
(ユーマって、私と違って純真無垢っていうか……からかうと可愛いのよね)
当の本人は腕で顔を隠して赤面しながら、観念したように呟いた。
「…………えと、勇者様と目が合ったり、肩が触れて石鹸の匂いが漂ってきたり、踊ってる時に露出したお腹を見たりすると、なぜか胸が熱くて苦しくなるんです」
「変態」
具体的に言われるとこちらまで恥ずかしくなる。
「うぅ」
めそめそと泣き始めてしまったユーマだが、すりすりと撫で続けられる股間は一層硬さを増していく。
(でも苦しそう。ずっと我慢してるんだよね……)
ヒミカと王様とのセックスをユーマも見ていた。王の命令とはいえ、他の騎士がブツを扱き続ける中、ユーマはひたすら耐え続けていた。
城を脱出して姉のユーリが住む寮に向かい、ずっとヒミカと一緒だった。
一人で心を落ち着けて、自慰する暇など無かったのだろう。
「お、男の子なんだし、仕方ない、よね。ユーマだけが頼り、なんだし」
「え……」
ユーマは、下ろされたズボンと、まろびでた愚息を見て驚愕する。
「嘘。え、なにこれ。こんなに大きいの……?」
少年の体格に似つかわしくない、凶暴な剛直。お腹に張り付きそうなくらい反り返った姿は一角獣の角を思わせた。
亀頭からは先走りが泡を吹き、雄のフェロモンをむんむんと撒き散らしている。
(身体は子供体型なのに、もう赤ちゃん作る準備が出来てるんだ)
視線が吸い寄せられる。太ももの間に差し込んだ手の先がじゅんっ! と疼いた。
コツ、コツ、コツ。
「だ、誰か来るっ!?」
咄嗟に、すぐ近くのトイレの個室へ駆け込んだ。
ユーマを引っ張ったまま。
一角にある談話室にはヒミカとユーマしか残っていない。
クエストを終え、報酬を受け取った冒険者パーティたちが次々と去り、隣の酒場に吸い込まれていく様子を恨めしそうに眺めている。
クエスト失敗の烙印を押された札をぐしゃり、と握りつぶした。
「目の前は真っ暗。ゲームオーバー。私たちの旅は三日目で終了ね」
「勇者様、諦めるのが早いですよ! 一体どうしたんですか?」
「自分の身体に聞いてみなさい!」
ユーマがお腹に手を当てると、ぐぎゅるるっ! と悲鳴のようなお腹が鳴った。
「あ、あはは。やっぱり、二日も食べてないのは辛いですね」
「勇者になれば冒険者なんて簡単って思ってたけど、やっぱ私には無理! 魔物と戦うとか怖すぎる!」
ヒミカとユーマ。二人で始めた魔王討伐の旅。
二人とはいえ、片や王国の直属騎士で、もう片方はこの世に二人といない勇者だ。
けれども、騎士だろうが勇者だろうが、世の中お金がなければ日々食べていくこともままならない。
そこで、セントエルディアから一番近い街・アグリナで旅の傍ら冒険者登録をして、日銭を稼ぐことにしたのだが。
「まさかユーマも私に負けず劣らず役立たずとは思わなかったわ」
「申し訳ないです……。ベアウルフってめちゃくちゃ速くて獰猛で。一歩間違えたら頭に噛みつかれて即死……! ああ、思い出すだけで足が震えます」
昨日受注したベアウルフ討伐のクエストを思い出したユーマが抱えた膝を震わせる。
「騎士になり立てだからって、カカシ相手しか剣を振るったことないってどうなの」
「返す言葉もないです」
とはいえ、騎士も冒険者も、まずは経験者のパーティに所属して戦闘慣れしていくものだ。
即席パーティかつ、ヒミカもユーマも実践経験は皆無。初っ端から詰んでいたのだった。
「アグリナって新鮮な野菜や果物が有名な街よね。余った野菜とか分けてもらえないかしら」
すると、ギルドの外から大きな声が聞こえてくる。
露店を出している店主と、買い物にきた主婦のようだ。
『ちょっと! このレタスの値段はなに!?、トマトも、キュウリも! 今までこんな高くなかったでしょう! しなしなだし、色も悪いじゃない! ぼったくってんの?』
『すまない。サブルブ村からの供給がなぜかここ半月の間途絶えてるんだ。少し古いから鮮度は申し訳ない。在庫もここに並んでるものだけだから、値段も勘弁してくれ』
『ふん。アグリナで古くて高い野菜を買うくらいなら、今日は外食でパーッとステーキでも食べにいくわ』
『外食する余裕はあるのか……。困ったなぁ。売れなくても家畜のエサ用に回さなきゃならんし、このままだと俺も生活が──』
どうやら、野菜を買いにきたはずの主婦が、露店の品揃えが悪く、喧嘩しているようだった。
「ユーマ、その辺に生えてる雑草ならタダよね。私、質素な生活には慣れてるし、自然の恵みを──」
「ダメですって、お腹壊しちゃいますよ!」
「うぅ。動けるうちにまとまったお金が欲しいわね。都合よく盗賊の捕縛依頼なんてないし、やっぱり魔物討伐しかない、か」
「魔物討伐なんですが、勇者様の力でぱーっとなんとかなりませんか」
「ダメ! ダメダメダメ! 何度も言ってるけど魔物と戦うなんて無理! 鳴き声だけでも怖い! 私は後方支援担当として木の影からユーマを見守るわ」
「本当に見守ってるだけじゃないですか! せめて味方のバフとか後方からの魔力攻撃とか……」
「私のはそういうのじゃないの、知ってるでしょ。 それに、勇者を守る騎士になるって言ったのはユーマじゃない」
「うぅ、はい。その通りなんですが」
「しっかりしてよ。ほら……」
恥ずかしそうに言い淀む。
「癒しならしてあげられる、から」
廊下の端に位置した小さなロビーは、しんと静まり返っている。
「ぅあっ!? ゆ、勇者様……何を」
「何をって、さっきからずっとこんな硬くしてて、よくとぼけられるわね」
細い指先で、鎧を脱いだ短パンに触れる。
もっこりとテントを張った股間は押してもビクともしないくらい張りつめている。
「ご、ごめんなさい! 勇者様と出会ってから、こんな風になっちゃって」
「私に出会ってから? どうして?」
我ながらイジワルな質問だ。
(ユーマって、私と違って純真無垢っていうか……からかうと可愛いのよね)
当の本人は腕で顔を隠して赤面しながら、観念したように呟いた。
「…………えと、勇者様と目が合ったり、肩が触れて石鹸の匂いが漂ってきたり、踊ってる時に露出したお腹を見たりすると、なぜか胸が熱くて苦しくなるんです」
「変態」
具体的に言われるとこちらまで恥ずかしくなる。
「うぅ」
めそめそと泣き始めてしまったユーマだが、すりすりと撫で続けられる股間は一層硬さを増していく。
(でも苦しそう。ずっと我慢してるんだよね……)
ヒミカと王様とのセックスをユーマも見ていた。王の命令とはいえ、他の騎士がブツを扱き続ける中、ユーマはひたすら耐え続けていた。
城を脱出して姉のユーリが住む寮に向かい、ずっとヒミカと一緒だった。
一人で心を落ち着けて、自慰する暇など無かったのだろう。
「お、男の子なんだし、仕方ない、よね。ユーマだけが頼り、なんだし」
「え……」
ユーマは、下ろされたズボンと、まろびでた愚息を見て驚愕する。
「嘘。え、なにこれ。こんなに大きいの……?」
少年の体格に似つかわしくない、凶暴な剛直。お腹に張り付きそうなくらい反り返った姿は一角獣の角を思わせた。
亀頭からは先走りが泡を吹き、雄のフェロモンをむんむんと撒き散らしている。
(身体は子供体型なのに、もう赤ちゃん作る準備が出来てるんだ)
視線が吸い寄せられる。太ももの間に差し込んだ手の先がじゅんっ! と疼いた。
コツ、コツ、コツ。
「だ、誰か来るっ!?」
咄嗟に、すぐ近くのトイレの個室へ駆け込んだ。
ユーマを引っ張ったまま。
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