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第二章『えっ! 踊り子なのに魔物と戦うんですか!?』
第32話 闇夜に引き寄せられるのは
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「全然姿を現さないわね。パーティを組んだスライムとゴブリンって、本当かしら。ねぇユーマ、もう三時間も待ちぼうけだし、帰らない?」
「ご馳走も頂いたばかりですから、今度はこちらがきちんと仕事をしないと」
「確かにご馳走は美味しかったわ。あの村長、すごいのね」
ファットラビットの肉で煮込んだスープに季節の野菜とキノコを惜しみなく取り入れたお鍋。
貧乏だったヒミカは、都会に出回る野菜をあまり食べたことはない。
高いから。それに、値段の割には鮮度が落ちていたりするものだ。
けれどこの鍋は絶品だった。
分厚いハクサイは味付けなどしなくても、切れ目からまるで肉汁が出ているかのように味が染みていて、キノコはステーキを思わせるような肉厚なボリューム。
村長が見ているにも関わらずユーマと無心でシャキシャキと食べ続け、なんと三日分と余分に作っていた分まで平らげてしまったのだ。
「ちょっとはしたなかったのは認めるわ。クエスト失敗続きで満足にご飯食べれなかったし」
「今回のをクリア出来たらまたご馳走を食べれますよ。ですから頑張りましょう、勇者様。夜の森は真っ暗で少し怖いですけど……」
一応ランプは点けているが、魔物に気付かれないよう、お互いを認識できる程度の明るさだ。
「ほんとね。無音で、魔物の気配なんてないじゃない。ゴブリンとスライムは村が寝静まる夜を見計らって、畑に近い森に潜んでいるって話だったわよね?」
「はい。他の個体よりも狡猾で、気付いた時は作物が盗まれている。村長が駆けつけた時には姿は跡形もなく消えていて、未だに姿を捉えられてないようです」
「ふうん」
(目つきは鋭いのにね。私のこと、舐めるようにガン見してたのに)
「そういえば、他の村人はみな家の中なのでしょうか。僕達が村に来てから、誰も出てきませんでしたよね」
「私達みたいなよそ者が怖いんじゃない?」
「もしかして、あの村長が実は魔王で、村人は既に殺されてしまったとか」
「まさか、何でこんな小さな村に魔王がいるのよ。それより、これからどうする? このまま待ってるのも埒が明かないわ」
「……誘い出すのはどうでしょうか」
「どうやって?」
「勇者様の、魅了の力で」
ヒミカは肩の触れ合う距離に座るユーマの熱っぽい視線に気づく。
具体的には、ローブの内側からぐぐぐっ持ち上がる豊かな弾みのあたり。
「いやらし」
アグリナ村ギルドでフェラチオして以来、ユーマはヒミカのことをべったりと見つめることが増えた。
うなじ、鎖骨、胸元、おへそ、背中、お尻、ふともも。くるぶし。
ローブで豊満な身体は隠しているのに、布地を貫通してきそうな程の熱視線。
発情しているのは丸わかりである。
(ユーマには大人の階段は早かったかしら。でも、ミルキィフラワーの時みたいな不快感はないのよね)
思春期の無垢な男の子が、自分とは違う女の子の柔らかい身体が気になって仕方ないといった、いじらしいものを感じる。
「ち、違います! セントエルディアの王でさえも陥落させた勇者様の魅了スキルなら、魔物もおびき寄せることが出来るのでは、と」
「たしかに、【魅惑の舞】なら周囲の注目を集めることができるけど」
「お願いします。クエストを達成するためには、勇者様の力が必要なんです!」
【魅惑の舞】は、ヒミカの性的魅力で周囲一定範囲の注目を集めることができる。
勇者の力で魔力が増幅された今なら、人間ではなく魔物も惹きつけることができるはずだ。
「わかったわ。その代わり」
「はい! 観ませんから! 近くの木に隠れてますから!」
「別にいいわよ」
「へ?」
「ユーマなら、いいわよ。危なくないし」
「勇者様……?」
「それとも、ユーマも一緒に踊る?」
「いえ、全力で見守らせていだだきます!」
「ふふ。ユーマの純粋で正直なところ、好きよ」
「勇者様? 今、好きって」
「じゃ、始めるわ。私もさっさと終わらせてご馳走食べてお風呂に入りたいし」
すっと立ちあると、ユーマの姉、ユーリからもらった冒険者用のローブを脱ぐ。
ローブに覆っていた肢体を解き放つように現れたのは、薄明りだけでも妖艶に輝くドレス、【真紅のベラ】。
はちきれんばかりにぶるんと弾むおっぱい。
陶器とさえ思えるような白い肌。
贅肉のない腰のくびれ。
丸みを帯びたお尻が蠱惑に揺れる。
漆黒の中で輝く美貌。
「美しい、です。これが、現代の【踊り子】勇者の恵体……」
「いくわよ。──【魅惑の舞】!」
足を踏み込み、 ゆっくりと腰をくねらせ、絡ませた両腕で天に向かって仰ぐ。
滑らかな動きに合わせて仄かに黄色がかった魔力が発散し、周囲に揺蕩っていく。
「すごい……! 鬱蒼と茂る森の中で、勇者様だけに月の光がスポットライトを当てているみたいです」
「きゃあっ!? 虫!?」
「え」
「ひゃあっ! なんか躓いちゃった!」
「………………」
女神を思わせる神秘的なオーラは泡のように弾けて、ヒミカはビターン! と頭からすっ転ぶ。
「いや~ん! ユーマ虫を取って! 追い払って~~~~!」
【魅惑の舞】の効果抜群で、ヒミカの輝きに釣られて蛾やらツノムシやらがわらわらとヒミカに群がってくる。
「この虫たち、みんな勇者様のことを好きになってしまったのでしょうか」
「何で魔物にはヒィヒィ言ってるのに平然としてるのよ! 私、虫は嫌いなの!」
「わかりました。ちょっと動かないでくださいね」
ユーマが近づいた瞬間。
「え、何、きゃあっ」
ヒミカの姿が暗闇に溶けて消えた。
「勇者様!」
慌ててランプを翳すと、下半身を露出した男がヒミカを組み敷いていた。
「ご馳走も頂いたばかりですから、今度はこちらがきちんと仕事をしないと」
「確かにご馳走は美味しかったわ。あの村長、すごいのね」
ファットラビットの肉で煮込んだスープに季節の野菜とキノコを惜しみなく取り入れたお鍋。
貧乏だったヒミカは、都会に出回る野菜をあまり食べたことはない。
高いから。それに、値段の割には鮮度が落ちていたりするものだ。
けれどこの鍋は絶品だった。
分厚いハクサイは味付けなどしなくても、切れ目からまるで肉汁が出ているかのように味が染みていて、キノコはステーキを思わせるような肉厚なボリューム。
村長が見ているにも関わらずユーマと無心でシャキシャキと食べ続け、なんと三日分と余分に作っていた分まで平らげてしまったのだ。
「ちょっとはしたなかったのは認めるわ。クエスト失敗続きで満足にご飯食べれなかったし」
「今回のをクリア出来たらまたご馳走を食べれますよ。ですから頑張りましょう、勇者様。夜の森は真っ暗で少し怖いですけど……」
一応ランプは点けているが、魔物に気付かれないよう、お互いを認識できる程度の明るさだ。
「ほんとね。無音で、魔物の気配なんてないじゃない。ゴブリンとスライムは村が寝静まる夜を見計らって、畑に近い森に潜んでいるって話だったわよね?」
「はい。他の個体よりも狡猾で、気付いた時は作物が盗まれている。村長が駆けつけた時には姿は跡形もなく消えていて、未だに姿を捉えられてないようです」
「ふうん」
(目つきは鋭いのにね。私のこと、舐めるようにガン見してたのに)
「そういえば、他の村人はみな家の中なのでしょうか。僕達が村に来てから、誰も出てきませんでしたよね」
「私達みたいなよそ者が怖いんじゃない?」
「もしかして、あの村長が実は魔王で、村人は既に殺されてしまったとか」
「まさか、何でこんな小さな村に魔王がいるのよ。それより、これからどうする? このまま待ってるのも埒が明かないわ」
「……誘い出すのはどうでしょうか」
「どうやって?」
「勇者様の、魅了の力で」
ヒミカは肩の触れ合う距離に座るユーマの熱っぽい視線に気づく。
具体的には、ローブの内側からぐぐぐっ持ち上がる豊かな弾みのあたり。
「いやらし」
アグリナ村ギルドでフェラチオして以来、ユーマはヒミカのことをべったりと見つめることが増えた。
うなじ、鎖骨、胸元、おへそ、背中、お尻、ふともも。くるぶし。
ローブで豊満な身体は隠しているのに、布地を貫通してきそうな程の熱視線。
発情しているのは丸わかりである。
(ユーマには大人の階段は早かったかしら。でも、ミルキィフラワーの時みたいな不快感はないのよね)
思春期の無垢な男の子が、自分とは違う女の子の柔らかい身体が気になって仕方ないといった、いじらしいものを感じる。
「ち、違います! セントエルディアの王でさえも陥落させた勇者様の魅了スキルなら、魔物もおびき寄せることが出来るのでは、と」
「たしかに、【魅惑の舞】なら周囲の注目を集めることができるけど」
「お願いします。クエストを達成するためには、勇者様の力が必要なんです!」
【魅惑の舞】は、ヒミカの性的魅力で周囲一定範囲の注目を集めることができる。
勇者の力で魔力が増幅された今なら、人間ではなく魔物も惹きつけることができるはずだ。
「わかったわ。その代わり」
「はい! 観ませんから! 近くの木に隠れてますから!」
「別にいいわよ」
「へ?」
「ユーマなら、いいわよ。危なくないし」
「勇者様……?」
「それとも、ユーマも一緒に踊る?」
「いえ、全力で見守らせていだだきます!」
「ふふ。ユーマの純粋で正直なところ、好きよ」
「勇者様? 今、好きって」
「じゃ、始めるわ。私もさっさと終わらせてご馳走食べてお風呂に入りたいし」
すっと立ちあると、ユーマの姉、ユーリからもらった冒険者用のローブを脱ぐ。
ローブに覆っていた肢体を解き放つように現れたのは、薄明りだけでも妖艶に輝くドレス、【真紅のベラ】。
はちきれんばかりにぶるんと弾むおっぱい。
陶器とさえ思えるような白い肌。
贅肉のない腰のくびれ。
丸みを帯びたお尻が蠱惑に揺れる。
漆黒の中で輝く美貌。
「美しい、です。これが、現代の【踊り子】勇者の恵体……」
「いくわよ。──【魅惑の舞】!」
足を踏み込み、 ゆっくりと腰をくねらせ、絡ませた両腕で天に向かって仰ぐ。
滑らかな動きに合わせて仄かに黄色がかった魔力が発散し、周囲に揺蕩っていく。
「すごい……! 鬱蒼と茂る森の中で、勇者様だけに月の光がスポットライトを当てているみたいです」
「きゃあっ!? 虫!?」
「え」
「ひゃあっ! なんか躓いちゃった!」
「………………」
女神を思わせる神秘的なオーラは泡のように弾けて、ヒミカはビターン! と頭からすっ転ぶ。
「いや~ん! ユーマ虫を取って! 追い払って~~~~!」
【魅惑の舞】の効果抜群で、ヒミカの輝きに釣られて蛾やらツノムシやらがわらわらとヒミカに群がってくる。
「この虫たち、みんな勇者様のことを好きになってしまったのでしょうか」
「何で魔物にはヒィヒィ言ってるのに平然としてるのよ! 私、虫は嫌いなの!」
「わかりました。ちょっと動かないでくださいね」
ユーマが近づいた瞬間。
「え、何、きゃあっ」
ヒミカの姿が暗闇に溶けて消えた。
「勇者様!」
慌ててランプを翳すと、下半身を露出した男がヒミカを組み敷いていた。
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