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第三章『王子様、現る!?』
第68話 聖剣を手にするモノ
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「はぁっ……はぁっ……ヒミカ……、ヒミカの裸ァ!」
余裕のない息遣いがヒミカの鼓膜をくすぐる。
クライドにとって幼い頃の記憶しかないヒミカが、成熟した身体を持て余している。
学び舎の女生徒の中でも目立っていた大きな胸。
贅肉の無い、けれど触れた手が滑らかに沈み込む柔らかいお腹。
顔を擦りつけたくなるような、むちむちとしていて、艶やかな曲線を描く耽美な太もも。
シャワーテントでは胸から下をタオルで隠されて見ることさえできなかった、魔王族さえも魅了される豊満な肉体に興奮を隠せない。
「はぁっ……今すぐ、喰らいたい。なんだこれ、畜生……思考が、鈍りやがる」
ヒミカは身体を固くして、身体中をまさぐる魔の手をひたすら耐える。
抵抗しようとしても、力ではクライドに絶対に適わない。
為すすべもなく、ドレスやショーツの内側にまで侵入を許してしまう。
「は? なんで濡れてないんだよ!」
クライドが激昂する。
勇者の力で常に発情して、えっちする時は水を被ったかのようにびしょ濡れになってしまう下着は全く湿っていない。
ヒミカも内心驚いていた。
今まで、クライドと結ばれることを夢見ていたのに。
男らしい分厚い胸板や、勃起するペニスを想像して、一人で慰めることは何度もあった。
今、上半身の鎧は膨張した胸板で弾け、下半身の鎧はクライド自ら破り捨て、剥き出しとなった肉棒が露出している。
妄想の数倍凶悪な胸板や肉竿が現実として目の前にあるのに、ヒミカの心は他ならぬクライドによって冷え切ってしまった。
「どうしてだよ!? 魔王の権能を手に入れた俺はこんなに強くなったのに! 戦線の老害共、勇者のヒミカよりも、ずっと!」
「どうして? だってあなた、私が好きになったクライドじゃ……ないもの」
「ふざけるなっ! 勇者も、ヒミカも、全部俺のものであるべきだろうが! なァっ!?」
握り潰すような勢いで顔を掴まれて、クライドが唇を寄せる。
「いやぁっ!」
ヒミカにとって、何人たりとも侵されていない唯一の場所。好きな人に渡すために取っておいたけど、今のクライドに捧げたくはなかった。
「ヒミカ、俺のモノになれ。魔王になんて渡さねえ。俺と結婚して、子をたくさん孕めよ!」
『させるかぁああああっ!』
「おっと」
重なる寸前だった唇の隙間を裂くように、折れた剣が滑り込んで床に転がった。
「二度もお粗末な奇襲なんか喰らうかよ。つーかよ、テメェは一体なんなんだよ、このモブ騎士が!」
「ヒミカさんは渡さない。少なくとも、お前のモノじゃない」
勇者の墓の入口へと繋がる階段の前で、ユーマが呼吸荒く立ちはだかっていた。
階段はかなり急勾配で数百段はある。顔に無数の傷があることから、おそらく何度も転びながら、落ちるようにして降りてきたのだろう。
「はっ! 何をイキってやがる。剣もねぇチビ騎士が、ヒロインを所有物宣言ってかぁ!?」
ガキイイ、ン──!
クライドの大剣とユーマの大盾が激突する。
「ぐっ……重、い……っ!」
「チッ、ウザってぇ盾だ、なァっ!」
脚力自慢のクライドが床を踏みしめると、大剣の重みがさらに増す。
盾が抑えつけられた反動で、小柄なユーマの身体が僅かに浮かんでしまう。
一瞬の隙を突いて、クライドが【竜剣士】の跳躍でユーマに飛び蹴りを食らわせた。
「ぐあああっ!?」
「ユーマ!」
小さな身体が砲弾のように吹き飛ばされ、壁に激突する。
(ダメ……。クライドは強いし、ユーマの盾は硬いけど、防ぐだけじゃ……。せめて、折れてない剣があれば……)
視線が自然と一点に吸い寄せられる。
「剣……聖剣!」
先代勇者の聖遺物、魔界戦線遊撃部隊隊長のクライドさえ抜くことが叶わなかった対魔王決戦武具。
クライドとユーマが交戦している隙にヒミカは駆ける。
「くっ……抜けない……?」
一〇〇年の月日を経て刀身を欠け、柄の装飾は錆びついてボロボロにも関わらず、ビクともしない。
それでも諦めず腹に力を込めた時、子宮の紋様が途端に輝きだす。
「……抜けた?」
折れてしまったのかと錯覚するくらいあっさりと古びた剣が物言わぬ石から手を離した。
お腹に描かれた勇者の紋章と呼応するように、干からびた剣はみるみると輝きを取り戻していく。
「よこせっ!」
当然、異変に気付いたクライドが踵を返してヒミカに襲いかかる。
「ユーマ、受け取って!」
ヒミカは一か八か、剣を軽く放り投げると、軸足で身体を回転させながら思いっきり蹴り上げた。
「なにっ!?」
意表を突かれ、ほんの一瞬だけ動きを止めたクライドの脇を、聖剣が空気を切り裂きながら掠めていく。
「ありがとうございます、ヒミカさん!」
ユーマがしっかりとキャッチしてくれた。
(【踊り子】の私なんかより、ユーマが剣を振るった方がずっといい、よね)
さぁ、これで反撃! とユーマが剣を構え、クライドも思わず警戒して身構えた。
「あれ、重っ……ッ!?」
余裕のない息遣いがヒミカの鼓膜をくすぐる。
クライドにとって幼い頃の記憶しかないヒミカが、成熟した身体を持て余している。
学び舎の女生徒の中でも目立っていた大きな胸。
贅肉の無い、けれど触れた手が滑らかに沈み込む柔らかいお腹。
顔を擦りつけたくなるような、むちむちとしていて、艶やかな曲線を描く耽美な太もも。
シャワーテントでは胸から下をタオルで隠されて見ることさえできなかった、魔王族さえも魅了される豊満な肉体に興奮を隠せない。
「はぁっ……今すぐ、喰らいたい。なんだこれ、畜生……思考が、鈍りやがる」
ヒミカは身体を固くして、身体中をまさぐる魔の手をひたすら耐える。
抵抗しようとしても、力ではクライドに絶対に適わない。
為すすべもなく、ドレスやショーツの内側にまで侵入を許してしまう。
「は? なんで濡れてないんだよ!」
クライドが激昂する。
勇者の力で常に発情して、えっちする時は水を被ったかのようにびしょ濡れになってしまう下着は全く湿っていない。
ヒミカも内心驚いていた。
今まで、クライドと結ばれることを夢見ていたのに。
男らしい分厚い胸板や、勃起するペニスを想像して、一人で慰めることは何度もあった。
今、上半身の鎧は膨張した胸板で弾け、下半身の鎧はクライド自ら破り捨て、剥き出しとなった肉棒が露出している。
妄想の数倍凶悪な胸板や肉竿が現実として目の前にあるのに、ヒミカの心は他ならぬクライドによって冷え切ってしまった。
「どうしてだよ!? 魔王の権能を手に入れた俺はこんなに強くなったのに! 戦線の老害共、勇者のヒミカよりも、ずっと!」
「どうして? だってあなた、私が好きになったクライドじゃ……ないもの」
「ふざけるなっ! 勇者も、ヒミカも、全部俺のものであるべきだろうが! なァっ!?」
握り潰すような勢いで顔を掴まれて、クライドが唇を寄せる。
「いやぁっ!」
ヒミカにとって、何人たりとも侵されていない唯一の場所。好きな人に渡すために取っておいたけど、今のクライドに捧げたくはなかった。
「ヒミカ、俺のモノになれ。魔王になんて渡さねえ。俺と結婚して、子をたくさん孕めよ!」
『させるかぁああああっ!』
「おっと」
重なる寸前だった唇の隙間を裂くように、折れた剣が滑り込んで床に転がった。
「二度もお粗末な奇襲なんか喰らうかよ。つーかよ、テメェは一体なんなんだよ、このモブ騎士が!」
「ヒミカさんは渡さない。少なくとも、お前のモノじゃない」
勇者の墓の入口へと繋がる階段の前で、ユーマが呼吸荒く立ちはだかっていた。
階段はかなり急勾配で数百段はある。顔に無数の傷があることから、おそらく何度も転びながら、落ちるようにして降りてきたのだろう。
「はっ! 何をイキってやがる。剣もねぇチビ騎士が、ヒロインを所有物宣言ってかぁ!?」
ガキイイ、ン──!
クライドの大剣とユーマの大盾が激突する。
「ぐっ……重、い……っ!」
「チッ、ウザってぇ盾だ、なァっ!」
脚力自慢のクライドが床を踏みしめると、大剣の重みがさらに増す。
盾が抑えつけられた反動で、小柄なユーマの身体が僅かに浮かんでしまう。
一瞬の隙を突いて、クライドが【竜剣士】の跳躍でユーマに飛び蹴りを食らわせた。
「ぐあああっ!?」
「ユーマ!」
小さな身体が砲弾のように吹き飛ばされ、壁に激突する。
(ダメ……。クライドは強いし、ユーマの盾は硬いけど、防ぐだけじゃ……。せめて、折れてない剣があれば……)
視線が自然と一点に吸い寄せられる。
「剣……聖剣!」
先代勇者の聖遺物、魔界戦線遊撃部隊隊長のクライドさえ抜くことが叶わなかった対魔王決戦武具。
クライドとユーマが交戦している隙にヒミカは駆ける。
「くっ……抜けない……?」
一〇〇年の月日を経て刀身を欠け、柄の装飾は錆びついてボロボロにも関わらず、ビクともしない。
それでも諦めず腹に力を込めた時、子宮の紋様が途端に輝きだす。
「……抜けた?」
折れてしまったのかと錯覚するくらいあっさりと古びた剣が物言わぬ石から手を離した。
お腹に描かれた勇者の紋章と呼応するように、干からびた剣はみるみると輝きを取り戻していく。
「よこせっ!」
当然、異変に気付いたクライドが踵を返してヒミカに襲いかかる。
「ユーマ、受け取って!」
ヒミカは一か八か、剣を軽く放り投げると、軸足で身体を回転させながら思いっきり蹴り上げた。
「なにっ!?」
意表を突かれ、ほんの一瞬だけ動きを止めたクライドの脇を、聖剣が空気を切り裂きながら掠めていく。
「ありがとうございます、ヒミカさん!」
ユーマがしっかりとキャッチしてくれた。
(【踊り子】の私なんかより、ユーマが剣を振るった方がずっといい、よね)
さぁ、これで反撃! とユーマが剣を構え、クライドも思わず警戒して身構えた。
「あれ、重っ……ッ!?」
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