【R-18】踊り子なのに世界を救えと命令されて? ~勇者として魔王を逝(イ)かせる旅に出ます~

湊零

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第三章『王子様、現る!?』

第69話 対魔王決戦武具

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 ユーマはボロボロに錆びた剣を両手で握っているにも関わらず、あまりの重さに思わず片膝を突いてしまう。

「どういうこと? 私が抜いた時は全然軽かったのに」

 ふと、聖剣に纏い始めていた輝きが再び失われていることに気付く。

「へッ、要するにテメェは器じゃねぇって話だよ。貸しなァッ!」

「あっ!?」

 クライドが飛び上がり、高所から聖剣をひったくる。

「が、あッ……? なんだこれ。重いなんてレベルじゃねぇぞ……ッ!?」

 今握っている勇者の遺物よりも何倍も大きな大剣クレイモアをブン回しているにも関わらず、振りかぶることさえできない。

「畜生……ッ! 俺も器じゃねぇ……っことかよ。……クソがァッ!! ふざけるな! 俺はガキの頃から、ずっとずっと────ぐああっ!?」
 
 隙だらけなクライドに、ユーマが盾で相手に突進する【シールドバッシュ】を打ち込んだ。
 ガ、ィイン──。
 防御態勢を取れない状態、かつ真正面からの渾身の一撃。

「どうだ!」

「どうだ、じゃねェよ」
 
 盾に顔を潰されながらも、怨嗟の声を震わせる。

「端っからテメェみたいなモブ騎士、。相手にしてねぇって言ってんだろうが!」

「僕の全力だったのに、効いてないのか?」

「ダメージはある。ああ、今のは悪くねェ一撃だよ。やっべ鼻血出てるじゃん」

 流れる血の量に対して、大した驚きがない。

「だが、無駄だ。教えてやる。ヴィーヴィルを取り込んで魔王の眷属となった俺は、勇者が持つ力じゃないと致命傷を与えられないんだよ」

「そんな」

「つーわけで。勇者の力を持つ聖剣が厄介だと思って奪いにきたわけだが。こんな重いだけで役立たずのゴミ、いらねェなァ!」

 全身に血管を浮かび上がらせて、力づくで聖剣を無理やり持ち上げると、ユーマではなくヒミカへ向けてぶん投げた。

「危ないっ!」

 迫りくる、壁の如き大質量。
 唸りを上げて飛んでくる聖剣の切っ先が、為す術もなくヒミカの胸に直撃した。

「ヒミカさんッ!!」

「ヒャハハハハ! あーあー、死んじまったなァ、勇者ヒミカ様がよォ。まあ、性奴隷にすらならねェ雌豚なんざ、切り刻まれて肉塊になった方がお似合いだよなァ」

 堪えきれないとばかりに哄笑するクライドを前に、ヒミカはピクリとも動かない。

「嘘だ……。ヒミカさんが死ぬなんて、嘘だ」

「もともと殺すつもりだったんだ。勇者が居なけりゃこんなこんなボロッちい剣なんて、どうでみいいんだよ。リルムみてえな先代勇者に縁を持つヤツ以外にとってはただのガラクタだからな。ま、アイツもその内殺すか。いつも俺を睨みつけるような視線がウザかったんだよなァ」

 ニヤニヤしながらクライドがヒミカの死体に近づく。

「後悔があるとすりゃあ、殺しても俺が勇者の紋章は現れないことと、ヒミカを生きている内に犯してやりたかったことかねェ。まぁ、生温かい内に死体だけでも弄んでやるか。じゃねぇと、俺のち×ぽが収まりつかねぇよなァ!」

 歩きながら、触手と化したペニスが未だに勃起したまま揺れる。

「どけよ」

 もうヒミカは動かない。
 それでも立ちはだかったユーマを蹴り飛ばす。

「どれどれ。あ……? 血が全く出ていない?」
 
 クライドが訝しむ。
 ヴィーヴィルで強化された肉体を最大限に利用して、ヒミカを串刺しにする勢いで投擲したはずなのに。

「……私が、やらなくちゃ」

 声が、空気を震わせる。

「なにッ!?」

「【踊り子】だからとか、剣を振れないからとかじゃない……。私が、勇者なんだ!」

「ぐあッ!?」

 クライドが仰け反る。

 仰向けに倒れていたはずのヒミカが、聖剣を握りしめ、起き上がる動作から踊るようにムーンサルトを放ったのだ。
 避けられたものの、鼻っ面を掠め、再び鼻血が飛び散った。
 ヒミカは空中でさらに三度回転してから優雅に地面に着地する。

「あら、クライド? 私の踊りに興奮しちゃった?」

「ヒミカさん、どうして……?」

 ユーマの顔がぱああっ! と明るくなる。
 ヒミカは無事どころか、全く血が流れていない。

「剣が突き刺さった瞬間、聖剣が軽くなってくれたの。おかげで、真紅のベラにちょっと裂けちゃったけど、私のおっぱいが血まみれにならなくてよかったわ」

「こ、の……雌豚がァッ!」

 激昂したクライドが大剣でヒミカを空間ごと薙ぎ払う。
 けれど、ヒミカは床を這うように身体を沈めて躱した。

「なんだ、なんだよその動きは……ッ!?」

「忘れたの? 私は【踊り子】なのよ!」

 額に汗を飛び散らせながらもステップを踏んで、力任せに次々と繰り出される斬撃を逃れていく。

「はっ! 動きが多少機敏でも、攻撃できないんじゃあやっぱり役立たずだなァ! 無駄な抵抗は止めて大人しく犯されとけ!」

 壁際まで追い詰められた。
 とっくにドレスから零れた胸に向かって、クライドの魔の手が迫る。

「くうっ!」

 破れかぶれで聖剣を振るう。
 けれども、柔からな果実がもぎ取られることはなかった。
 ヒミカのお腹に描かれた淫紋、いや全身が眩い光に包まれた。

「……あ?」

 目にも止まらぬ速さで、クライドの右手の肘から先が。

「切り落とされた、だと!? が、ァアああああああっ!? な、なんだよそのうざったい光はよォ!?」

 噴水のように血潮が飛び散る手首よりも信じられないといった目でヒミカを見やる。
 剣。
 ヒミカの手に持っていた先代勇者の聖剣が、扇の形に変形していた。

「銅の、扇が勝手に……?」

 ヒミカ自身も驚いている。
 輝いていたのは淫紋と聖剣だけではなかった。
 真紅のベラの内側に仕舞っていた銅の扇が、勝手に飛び出し聖剣が放つ光に吸い込まれたのだ。

「聖剣が形を変えた、だと!?」

 手に馴染む扇から、どう扱えばいいのかをヒミカは瞬時に理解する。
 対魔王決戦武具。

「聖扇【剣扇舞踏ブレイドダンス】!」
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