出戻り勇者にいじめ返されるモブになってしまった

ゆう

文字の大きさ
55 / 59
本編

アミュレットの意味・・・ 

しおりを挟む
アルフレッドは、そのまま俺をベッドへと下ろした。
 
「ギルバート?」

ずっと俯いたまま喋らない俺を不思議に思ってか、アルフレッドが顔を覗き込んでくる。俺は、堪えきれずに嗚咽を洩らした。

「ひっ、ぐすっ」

「なっ、なんだよ。どうしたって言うんだ。」

「ベネディクトに、軽蔑されたかも・・・」

泣きながらそう洩らせば、アルフレッドは舌打ちをしながらプイッと横を向いた。

「チッ、そんなことか。その程度ならそれでいいだろ。」

「その程度って、お前なあ!そもそもお前のせいで俺は・・・」

「ほお、俺のせいで?昨日俺に失禁させられたのが気持ちよすぎて魔力流された拍子に思い出しちゃったせい、ってことか?」

「なっ、違っ」

「そう言うことだろ?」

そう言って顔を近づけて来るアルフレッドに思わず後ずさる。

「俺だってまさか失禁するとは思わなかったんだぜ?せいぜい勃つとかその程度だろうってな。」

「う、ぐすっ、それは・・・」

確かに昨日は意識が飛ぶほど気持ちよくて、それを今日魔力を流された拍子に思い出してしまったというのもアルフレッドの言う通りだ。

「ああ、そうだよ!お前のせいで、俺の体おかしくなって・・・もう、どうしてくれるんだよ・・・!」

俺はいっぱいいっぱいになってアルフレッドを責め立てた。そんな俺にアルフレッドは頭を掻きながら投げやりに言い放つ。

「ああ?そんなの、ちゃんと責任を取ってやるよ。」

「せ、責任って・・・そもそも何でこんなことするんだよ。」

「そんなの、お前のことが好きだからに決まってるだろ。」

「・・・えっ?」

「だから、俺はお前のことが好きなんだよ!じゃなきゃここまでする訳ないだろ。」

そういって照れ隠しの様にされた口付けに戸惑いを隠せない。



「は、はあ??!?嫌いなんじゃなくて・・・好き?お前が俺を・・・」

自分で言っていて混乱する。だってアルフレッドは俺に仕返ししているはずじゃ・・・それが好きだったなんて一体どういうことなのか。

「いつからだ?」

「たぶん、小さい頃から。自覚したのは数年前だけど。」

「そ、そんな馬鹿な・・・」

だって小説では純粋に仕返しされていたのに、昔から好きだったなんておかしい。あるいは小説の内容の後に何かあったのだろうか。

「だから、俺はお前を手放したりなんか絶対にしない。」

考え込んでいる俺に、アルフレッドは真剣な眼差しで告白の様にそんなことを言ってくる。返事に困って黙った俺にアルフレッドが続けた。

「だから、あのアミュレットは俺にくれ。」

「へ?何で今アミュレットの話が・・・」

「なんでって自分の魔力を込めたアミュレットなんて、普通夫とか恋人にあげるものだろ。」

「・・・・・・」   

「さては知らなかったな?」

「う、そんなの知らなかったよ!でも、欲しいって言うならお前にやる!」

聞けば自分の魔力を込めたアミュレットというのは、夫へ無事を祈るという意味で渡す他、自分はあなたのものだという意味もあるらしい。

そんな意味は知らず、俺はハワードさんのアドバイスのもと、手作りの品に挑戦しただけだ。小さい頃教会で見ていたアミュレットなら作れると思ったのだ。

そんな意味があったと知って恥ずかしいが、知らずに作ったのだからそこに込められた意味というのは無効だろう。それに元々アルフレッドにやるつもりで作ったものだしやつが欲しいと言うのならやってもいい。

俺は混乱する頭でそう考えてアミュレットをアルフレッドにやった。

「それで、これは元々誰にやるつもりだったんだ?」

「そ、それは・・・」

やっぱり誤魔化されてはくれないか。そう思って言葉に詰まっていると、アルフレッドは更に詰め寄ってくる。

「言わないとまた失禁させるぞ。」

「うぅ、お前は本当に俺が好きなのかよ・・・」

アルフレッドの態度に疑念が生まれる。正直言うのはものすごく癪だ。癪なのだが・・・

「だから・・・・・・だよ」

「えっ?」

「だから、元々お前に作ったんだよ!」

「・・・・・・・・・」

せめて無言はやめてほしい。あの話を聞いた後じゃ、恥ずかしくて顔から火が出そうだ。俺は何を誤魔化したいのかもわからないまま変な言い訳をした。

「こ、これはただのお礼というか、誕生日プレゼントというか・・・さっき言ってた意味があるようなものじゃなくて・・・ハワードさんに手作りの品を勧められたから、これなら作れるかなって挑戦しただけで・・・」

しどろもどろになってまとまらない言い訳を続ける俺だったが、アルフレッドにキスで黙らせられた。
しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

幼馴染が結婚すると聞いて祝いに行ったら、なぜか俺が抱かれていた。

夏八木アオ
BL
金髪碧眼の優男魔法使いx気が強くてお人好しな元騎士の幼馴染の二人です。

処理中です...