悪役令嬢の兄のやり直し〜侯爵家のゴーストと呼ばれた兄ですが、せめて妹だけは幸せにしたいと思います〜

ゆう

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学園生活

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しばらくしてジュード先生がやってきて授業が始まった。

高位貴族たちは家で既に基礎は習っているようだが、ここでは平民や下級貴族もいるため基礎からの授業となる。

「それではまずは手のひらに魔力を集めるように」

先生が指示を出し、皆が各々取り組み始める。
ここまでは魔力自体はある僕にも出来るのだ。

「ではまずは水を思い浮かべてーーー」

初級クラスではまず危険性の少ない水で練習するらしい。皆は属性を持っていると言っても属性以外が全く使えないというわけではない。

周りでも既に多くの生徒が水球を作っていた。

僕はというと、やはりうまくいかない。
手に魔力は集まっているのだが、それを形として外に出すことができないのだ。

「ぷっ、あいつ本当に言われた通りやってるのか?」
なんてそんなものでしょ。何でここにいるのかしら」

成功し終えた生徒達からそんな言葉を投げられる。この容姿や魔力がないことへの侮蔑には慣れた気でいたが、やはり皆にはできて自分にはできないのだと思うと辛かった。

「あ、出来た!見てジョシュア、僕できたよ!」

隣でヒューゴが嬉しそうな声を上げる。彼は平民だが魔力も多少あり魔法が使えるらしい。

「本当だ!すごいねヒューゴ」

心は少し痛んだが、それでも友達の成功は純粋に嬉しかった。

「できてないやつはそのまま続けて!作るとこまでできたやつは、今度はその水球を的に向かって放つ練習をする」

そう言って先生が見本を見せる。的は少し離れたとこに数十本立っていて、生徒達もそちらに向かって魔法を放ち始めた。

僕はその場に残り水球を作る訓練を続けていたのだが、突然顔にバシャッという衝撃を受け顔を上げた。

「あっ、ごめんごめん。手元が狂っちゃった」

そう言ったのはマヌエルの取り巻きだった。

「おっと俺も手が滑った」
「俺も」

すると彼らは次々に僕に向かって水球を放った。僕は避けようとしたが、足に当てられ転んでしまう。

「っ!」

早く立ちあがろうとするとそれを許さないとでもいうように再び何発もの水球をぶつけられまた転んでしまった。
そうして何度も水を放たれた地面はぬかるんでいて、気づけば僕は泥だらけになっていた。

「見てあれ」
「今度はあの子がターゲットになっちゃったか~」
「でも仕方なくない?色無しなんてここでは居場所ないでしょ」

周りの生徒たちはクスクスと笑うか見て見ぬ振りをするかのどちらかだった。

ふと近くにいたヒューゴと目が合う。

「あっ…」

だが、彼は慌てたようにそっぽを向いて離れていってしまった。

「あらら、お友達は助けに来てくれないみたいだな」

そう言ってマヌエルが笑う。 
僕はショックだったが、キッと唇を結んでなんとか立ち上がった。

「ジョシュ!」

すると既に水球を放つ課題に移っていたゾーイが血相を変えて走ってきた。同時に先生もこちらの騒ぎに気づいたようだ。

そして、やってきたゾーイは睨みつけるようにマヌエル達を見据える。

「ハンフリー様、いくら初級クラスとはいえ、的とは全然違う方向に魔法を飛ばしてしまうなんて貴族として恥ずかしくないんですの?」
「なっ!こ、これは手元が狂っただけだ。普通にやれば俺だって的に当てるくらいできる!」
「では二度とこのようなことは起きませんね?次同じようなことがあれば、あなたが平民を害そうとしたと見なしますからそのつもりで」

毅然と言い放ったゾーイは僕に手を差し出した。

「大丈夫?」
「あ…ありがとう。でも触ったら汚れるから」

そう言って僕は1人で立ち上がる。

「遅くなってすまない。後はいいから念のため医務室に行ってきなさい」

ジュード先生にそう言われ、僕は大人しく頷いた。そして、逃げるように医務室に向かう後ろで「女に守られてやんの」と馬鹿にする声が心に突き刺さった。

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