公爵家に引き取られることになったけど、幼馴染と離れたくないので囲い込みます

ゆう

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迎えに

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翌日、僕は朝から街でノエルを探し始めた。
まず最初に向かったのはマーサおばさんのところだ。もしかしたら、彼女の元で働かせてもらっているかもしれない。

「マーサおばさん、お久しぶりです」
「あら!どこの貴族様かと思ったらカインじゃない!そういえば公爵家に引き取られたんだって?すごいじゃない!」
「ありがとうございます」

公爵子息に馴れ馴れしかったかしら、と慌て出したおばさんに気にしなくて良いと伝えながら挨拶を交わす。

「あの、今日はノエルのことを知らないかと思って尋ねに来たんです」
「ああ、ノエルなら数ヶ月前にうちに来たわよ。その…ずいぶんひどい状態でね」
「ひどい状態とは?」
「ひどくボロボロで背中や足に傷があったわ。働かせて欲しいと言われたのだけど、うちもそんなに余裕はないし1日だけ手伝ってもらったのよ」

そう言いながら、マーサおばさんは「可哀想なことをしてしまったかしら」と悩むように首を傾げた。

なぜそんな傷だらけだったのだろう。何かトラブルでもあったのだろうか。

「傷の理由は何か言っていましたか?」
「いいえ、それは話してくれなかったわ。その後も数日は街で見かけたのだけど、それっきりぱったり見かけなくなったわ」
「そうですか…」
「そうだ!もうすぐ孤児院の子たちも来るから、その子達にも聞いてみたら?」
「チビたちが来るんですか?」
「ええ、そうなのよ。そう言えば、ちょうどノエルが孤児院を出た頃に、もっと孤児たちに仕事を手伝わせられないかって打診があったのよ。結果、ノエルに頼む仕事がなくなってしまったのだけど…」

そう言って申し訳なさそうにするおばさんだが、話の内容には違和感を覚えた。そして、僕は提案通り手伝いに来る子供達を待つことにした。

「あれ?カイン兄ちゃん?」

僕を見かけて最初怖がるようなそぶりを見せた子供達が僕だと気づき駆け寄ってきた。彼らにとって貴族といえばケネスくらいしか知らないので、あまり貴族にいい印象を持っていないのだろう。

「久しぶり。元気にしてたか?」

そう聞くと、子供たちは顔を見合わせた。

「カインとノエルがいなくなって寂しい。ご飯も質素だし、小さい子たちが泣いて大変よ」

そう言われてみると、ただでさえ痩せていた子供たちはさらに痩せたような気がした。

「そうか…とろこでノエルはどうして孤児院を去ったか理由を知ってる?」

すると子供たちはまた顔を見合わせて首を振った。

「ううん、知ってるどころか、気づいたら居なくなってたの」
「挨拶もなかったし、その後も見てないんだ」

その話にいよいよが何かがおかしいと思い始める。

「僕たちはてっきりカイン兄のところに行ったのかと…」

その言葉に胸が痛む。結局、僕は自分のことしか気に掛けられていなかったのか。

「教えてくれてありがとう。しばらくはこの街にいるから、また何かわかったことがあったら教えてくれ」

子供たちは「わかった!」と元気よく返事をしてくれた。

「ああ、あとこれで帰りに食材でも買って帰りなさい。ちゃんとみんなで分けるんだよ?多めに渡しておくから食事が足りない時はこれでなんとかするだ。あと、エルマー神官には内緒だぞ?」

そう言ってお金を渡す。この子達が不幸せだとノエルも気に病むだろうし、今後は孤児院にも関心を向けようと思った。今なら十分この子達を守る力があるのだから。

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