悪魔の子と呼ばれ家を追い出されたけど、平民になった先で公爵に溺愛される

ゆう

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1巻

1-1



「アーネストとこんなに能力差があるなら、わざわざお前の悪評なんて広める必要もなかったわね」

 そう言ったのは継母ままははのマリア。僕、レヴナントは今年十八歳になるハートレー伯爵家の長男だ。アーネストというのは彼女の息子で僕より数ヶ月後に生まれた異母弟。
 社交界に出てもいない頃から悪魔の子と呼ばれ周りからうとまれていた僕は、なぜそんな風に嫌われるのかずっと悩んできた。両親とも違う黒髪に金色の目という不吉な色が与える印象のせいか、暗い性格のせいか、はたまた弟と比べ全てにおいて出来が悪いことが原因か……。あるいはそれら全部かもしれない。そう思ってどうにかこの状況を改善しようと頑張ってきた。それが継母ままははによって広められたものだとも知らずに……
 マリアは僕の実母であるレイシー・ハートレーが亡くなってすぐハートレー伯爵家にやってきた女性だ。それも父、ハートレー伯爵にそっくりの息子を連れて。
 もともとハートレー家は、レイシーお母様とヴィクターお父様、そして僕レヴナントの三人家族だった。お父様は僕たち二人とあまり関わりを持たなかったけれど、特段不仲だったという記憶もない。ただ、恐らくは魔力の影響で両親のどちらとも違う黒髪を持って生まれてきた僕を気味悪がっていたようだ。
 一方、お母様はとても優しくて、こんな僕のことを可愛がってくれた。僕は、留守がちなお父様からは愛情を貰えなかったけれど、お母様がいてくれればそれで幸せだった。お母様は紅茶が大好きで、れ方を教わったり色んなお店に連れて行ってもらったりしたっけ。それから、お母様の知人の家で年上の子と遊んだりもした。
 でも、そんな生活は僕が五歳の時に終わりを告げる。レイシーお母様の死によって……


 お母様が亡くなったことで、お父様はマリアを伯爵家に連れてきた。まだも明けていないというのに、この時を待っていたかのようなお父様の態度に、僕は心が冷えていくのを感じた。
 けれど、一つだけ嬉しいことがあった。それは彼女が弟を連れてきたことだ。マリアには僕と数ヶ月しか違わない息子がいて、僕も最初はお母様をうしなった寂しさから弟ができることを喜んだ。その弟がお父様にそっくりである意味や、自分の立場がどうなるかなど考えもせずに。
 初対面の日、マリアの後ろからうかがうように顔を覗かせた弟に、にっこりと微笑みかけた。栗色のくせのある髪は父に似ているけれど、エメラルドグリーンの瞳がとてもやさしげな少年だ。
 僕には兄弟はいないけれど、お母様によく連れて行ってもらった家で年上の男の子に面倒を見てもらっていた。その子はすごく恰好良くて、お兄様がいたらこんな感じなのかと憧れたものだ。これからは、僕がお兄様になるんだ。そう思って微笑みかけると、彼もおずおずと微笑み返してくれた。

(仲良くなれると良いな……)

 まだ二人のことをよく知らなかった僕は、弟が微笑み返してくれたのが嬉しくて、新しい家族と上手くやっていけると思った。マリアが僕をにらみながらアーネストを自分の背に隠したことにも気づかずに。


 継母ままははのマリアは、初めから僕のことを酷く嫌っていた。僕はなぜ彼女に嫌われているのか分からなくて、好かれようと必死に努力した。それでもマナーがなっていない、親に向かって反抗的だなど様々な理由で、食事を抜かれたりむちで叩かれたりした。そこに僕が望んでいた、かつてのお母様のような温かさは一切なく、次第に家での生活は酷く苦しいものになっていった。
 お父様はあまり家におらず、彼女の好きなようにやらせており、それが余計に僕の立場を悪化させた。マリアは僕の部屋をアーネストに与え、僕は屋根裏部屋へ追いやられた。
 お母様の頃から仕えてくれていた使用人たちは僕に同情的だったけれど、僕を助けようとした人たちは全員暇を出されてしまい、マリアに従順な使用人だけが残った。誰も味方がいなくなった屋敷で、唯一の救いはアーネストが僕を好いてくれていたことだ。

「レヴお兄さま、大丈夫ですか? こっそりクッキーを持ってきたんです!」

 もう何度目か分からないマリアのお叱りの後、罰で食事を抜かれた僕にアーネストはこっそりお菓子を持ってきてくれた。

「ありがとうアーネスト。でもばれたらお前も叱られちゃうよ」
「大丈夫です! 今までバレなかったし、バレても僕がつまみ食いしちゃったことにしますから」
「アーネスト……ありがとう」

 アーネストも、なぜ僕がここまで嫌われているのか分からないようで、いつも僕が叱られている様子を不思議そうに見ては、その後こっそりなぐさめに来てくれる。この屋根裏部屋のベッドの中、彼が持ってきてくれたお菓子を二人で食べる時間が唯一の安らぎだった。


    ◇ ◇ ◇


 そんな日々を耐え、僕とアーネストは六歳になった。この頃から、僕たちには家庭教師がついた。マリアに息子として扱われていなかった僕は、自分も教育を受けさせてもらえるのか不安だった。でも、お父様が受けさせるよう言ってくれたらしい。ずっと放ったらかしにされていたので、てっきり存在さえ忘れられているのかと思っていたけれど、お父様は自分のことを覚えていてくれたのだと嬉しい気持ちになったのを覚えている。
 だけど、この頃の僕はアーネストの隣に並ぶのがすごく嫌だった。アーネストは、あいきょうがあり物覚えも良く、使用人たちからも可愛がられた。それに引き換え僕は、皆から嫌われて叱られてばかり。そして食事を満足に食べていないせいで体は痩せこけ、伸び放題の黒髪はボサボサ。しかも、アーネストのお下がりの服をボロボロになるまで着古していた。僕たちは兄弟というより坊ちゃんと使用人といった感じで、僕は彼の隣にいるのが恥ずかしかった。

「アーネスト様はもうそこまで解けたんですね! 素晴らしいです……レヴナント様、アーネスト様を待たせているので次に進みたいのですが。そちらは次回までに解いてきてください」

 早速始まった勉強の時間も、僕に対する家庭教師の態度はしんらつだった。理解力が高く、どんどん知識を吸収していくアーネストは褒めそやされていたけれど、反対に僕は出来損ないとして酷く馬鹿にされた。アーネストの学習スピードや増えていく宿題に追いつかなくてはと、雑用の合間や睡眠時間を削って勉強をする。それでもついていくことがやっとの自分に落ち込む日々が続いた。


 そんなある日、マリアが学習の時間に見学にやってきた。いつものことながら優秀なアーネストを褒める家庭教師に、彼女は嬉しそうにアーネストの頭を撫でる。

「流石アーネストね。とても優秀で母として鼻が高いわ。それ比べてお前は……兄としての自覚があるのかしら? アーネストの足を引っ張らないでくださる?」

 僕は、恥ずかしさと悔しさでうつむいた。いっそここから消えることができたらどれほど良いだろう。

「……申し訳ございません」

 何も答えなければ怒られるのが目に見えているので、僕は素直に謝った。マリアは汚いものでも見るような目をこちらに向けてから、アーネストを褒める作業に戻った。

(僕も頑張っているのに……)

 そう思ったけれど、実際アーネストより成績が悪い僕は何も言い返せない。兄としてアーネストの見本になりたいのに、どんなに睡眠時間を削っても差は開くばかり。努力はみのらず、誰に認められることもない。ずっとこんな生活なのだろうかと悲しくなり、自然と視界がぼやけてきた。
 そして、どうにかその場をしのいだ僕は、部屋に戻って静かに泣いた。


「お兄様、いらっしゃいますか……?」

 涙が少し落ち着いて、このまま寝てしまおうかと思っていた頃、ドアの外からアーネストの声がした。僕は慌てて顔をぬぐってドアを開ける。

「アーネスト、どうしたの?」
「さっきお兄様の顔色が悪かったから気になって……」
「そっか、心配かけてごめん。僕は大丈夫だよ」
「でも、目の周りが……」
「っ! これは、何でもないんだ。本当に何でもなくて……」

 そう言っているそばからまた涙が溢れてきた。それをアーネストが心配そうに覗き込む。

「お兄様……」

 アーネストは何を言うでもなく、僕をなぐさめるように頭を撫でてくる。

「うっ、ぐすっ。ごめん、僕は兄なのに、不甲斐ふがいなくて……」
「お兄様は不甲斐ふがいなくなんかありません。僕はお兄様が大好きですよ?」

 そう言って僕を抱きしめたアーネストが小さな手で髪を優しくいてくれた。その手が心地良くて、こんな風に誰かに抱きしめられたのはいつぶりだろうかと考える。するとアーネストがゆっくり話し出した。

「この屋敷に初めて来た時、お兄様がいるって聞いて不安だったんです。僕は平民だったから、いじめられたらどうしようって。でもお兄様は優しくて、屋敷のことも色々教えてくれて、すぐに大好きになりました」

 アーネストがそんな不安を抱えていたなんて知らなかった。でも、好きになったのは自分も同じだ。

「……僕もアーネストが来てくれてすごく嬉しかったよ。お母様がいなくなって、一人ぼっちで寂しかったから……」
「良かった。僕、お兄様には笑っていてほしいです。皆がなんであんな酷いことを言うのか分からないけど、僕はお兄様の味方です」
「ありがとう……アーネストがいてくれて良かった。僕の味方はアーネストだけだ」
「僕、だけ……?」

 アーネストが僕の言葉を繰り返す。何か答えたかったけれど、ずっと泣き続けていた僕はあまりの疲労感にいつしか船をこいでいた。

「お兄様?」

 夢心地の中、アーネストが呼びかける声が聞こえる。

「お兄様の味方は僕だけ……」

 そう言いながら彼の指が僕の涙の跡をたどる。

「それなら、僕がお兄様を守ってあげないと……」

 そんな言葉を聞いた気がしたのを最後に、僕は完全に意識を手放した。


 それからというもの、アーネストは今まで以上に僕にくっついて行動するようになった。マリアも周りの使用人たちもアーネストをたしなめたけれど、彼は聞く耳を持たない。それどころか、僕に言いつけられた雑用まで手伝おうとして、マリアが必死に止めていた。
 そんなあってか、アーネストは雑用を手伝うことは禁止されたけれども、僕と一緒にいることには許可が下りたようだ。

「僕と一緒にいてもつまらないでしょう?」

 彼が僕をしたってくれるのは嬉しいけれど、使用人の真似事をしている僕にくっついていても退屈なはずだ。彼は自由に過ごせるのだから、好きに遊べば良いのに。

「そんなことありません。僕はお兄様と一緒にいたいんです」

 ふてくされたようにそう言ったアーネストは、見かけによらず頑固なのだなと思う。

「そう? それなら良いんだけど……」

 アーネストが納得しているなら、とそれ以上何も言わなかった。それに彼は、僕を助けるために一緒にいてくれたらしい。僕がお父様の書斎にあった花瓶を割ってしまった時は、一緒に証拠をいんめつしてくれたし、メイド長に仕事が遅いと叩かれそうになった時は、間に入って取りなしてくれた。
 それでも今回ばかりはどうしようもなく、僕は紅茶をこぼしてしまった罰としてマリアに手の平をむち打たれた。アーネストは仲裁しようとしてくれたけれど、マリアは彼が僕に懐いているのも気に入らないらしく、アーネストにも小言をらす。そうして僕は傷だらけになった手を押さえながら自室へと向かい、その隣にアーネストが心配そうに寄り添ってくれた。

「ごめんなさい。僕、役に立てなくて……」
「ううん、いつも庇ってくれてありがとう。今日は、僕が失敗したのが悪いんだ。むしろ、アーネストまで怒られる羽目になってごめんね」

 いつもなら眉尻を下げて謝るアーネストの頭を撫でてあげるところだが……

「僕は大丈夫です。それに……これは酷すぎます」

 そう言って彼は僕の手首を掴んだ。手の平は赤くれ、所々皮膚が切れて血がにじんでいた。じんじんと痛みを訴える手の平に、確かにこれはしばらく痛むだろうと思った。

「部屋に戻ったら手当てしましょう。僕、救急箱を持ってきます!」

 アーネストは走り去っていく。僕は彼の言葉に甘えて先に部屋へ戻らせてもらった。そしてベッドに腰かけて一息ついたところでアーネストが戻ってきた。

「お待たせしました! 手を見せてください」

 僕は指示された通りに手の平を見せる。アーネストはアルコールを綿にひたし、そっと手に触れる。

「っ!」
みるでしょうけど我慢してくださいね」

 あまりの痛みに涙が込み上げた僕に、アーネストがなだめるように声をかける。

(これじゃあ、どっちがお兄さんか分からないな……)

 すっかりアーネストに面倒を見てもらっている状況は兄として情けない。それでも今は体をびくつかせながら痛みを我慢するのが精いっぱいで、彼の励ましをかてにぎゅっと目をつぶって耐えた。

「これでよしっ。あとは包帯を巻きますね」
「うん……ありがとう」

 やっと消毒が終わり、僕は恐る恐る目を開いた。耐えている間に出てきた涙が頬を伝ったけれど、両手をアーネストに取られていてぬぐうことができない。彼は、僕の手に丁寧に包帯を巻いてテープで止めてくれたかと思うと、僕の手を握ったまま涙の跡が残る目尻にキスをしてきた。

「ア、アーネスト? 何して……」
「ん、しょっぱい」
「当たり前だよ……」

 僕はそう言いつつ、何だか気恥ずかしくて服の袖で涙の跡をぬぐった。

「えへへ、痛みを感じなくなるおまじないです」

 アーネストは照れたように笑う。確かにびっくりしている時は痛みを忘れることができた。

「もう、急に驚いたよ。でもお陰で大分痛みは感じなくなったかも。ありがとうね、アーネスト」

 心からそう思って微笑むと、彼は「お兄様の役に立てましたか?」と嬉しそうに尋ねてきた。

「なんだかアーネストの方がお兄さんみたいだね。不甲斐ふがいないや」
「そんなことないです! お兄様はいつだって恰好よくて、優しくて、あと可愛いです!」
「か、可愛い……?」

 最後に納得のいかない言葉が聞こえてげんな表情をした僕だが、アーネストに悪意なく「はいっ!」と元気よく返事をされると、それ以上嫌な顔はできなかった。

「まあ、アーネストだけでもそう言ってくれるなら嬉しいよ。弟からも嫌われたら悲しいからね」
「安心してください! 僕は何があってもお兄様のことが大好きです」
「ふふっ、ありがとうアーネスト」

 そうして、包帯が巻かれた手でそっと頭を撫でる。
 するとアーネストは嬉しそうに照れ笑いを浮かべた。

「それじゃあ、僕は戻ります! お兄様もゆっくり休んでください」

 そう言って赤くなった顔を押さえて去っていくアーネストを見送り、僕も休むため布団に入った。


    ◇ ◇ ◇


 そんな生活が続き、気づけば僕は十歳の誕生日を迎えた。もちろん、お母様が死んでからは僕の誕生パーティーなど開かれない。この屋敷に今日が僕の誕生日だと知っている人はいないのではないだろうか。
 そう思うと寂しいが、誰かに言ったところで祝いの言葉など貰えないのだから、わざわざ知らせる必要もない。アーネストに至っては、気を遣わせるだけであろうことが目に見えている。それに、彼の誕生日は数ヶ月後に盛大に開かれるのだ。そのことに罪悪感を抱いてほしくはない。
 僕は、またいつか祝ってもらえる日を夢見て、鏡に向かって「誕生日おめでとう」と呟いた。せめてその日までは自分でこの日を覚えておこう。


 そして、僕は今日も今日とてマリアに屋敷の掃除を言い渡された。僕にとっては特別な日でも、周りの人間にとっては何でもない日だ。僕は屋敷中の部屋の掃除を開始する。当然手伝ってくれる人はいない。アーネストはピアノのレッスンがあるらしく、今日は僕の後をついてきていない。
 僕は誕生日に一人寂しく掃除をして回り、やっと最後であるマリアの部屋に差しかかった。クタクタでも手を抜くと罰せられるので、細心の注意を払って掃除を進める。すると、ごみ箱に綺麗なラッピングが捨てられていることに気が付いた。

(これは何だろう……?)

 気になった僕は、それをまみ上げた。その拍子に、挟まっていたらしいカードがヒラリと落ちる。そのカードを拾ってみると、驚いたことにそれは僕てのバースデーカードだった。

『――親愛なるレヴナント・ハートレー様へ。十歳の誕生日、おめでとう。しばらく会えていないけれど元気にしていますか? 私は、今年学院に入学したばかりで忙しい日々を過ごしています。直接お祝いに行くことができなくてごめんなさい。せめてプレゼントを同封するので良かったら食べてください。確か君は甘いものが好きだったから、気に入ってくれると良いのだけれど。ウィリアム・バーネットより――』
(ウィリアム・バーネット……?)

 その名前を記憶から探す。なんだか懐かしい気がするが、なかなか思い出せない。

「ウィリアム・バーネット……ウィリアム……あっ! もしかして、ウィル君……?」

 僕が小さい頃、お母様に連れられてよく遊びに行った家の子だ。記憶はおぼろげだけれども、確かウィル君と呼んでいたことを覚えている。六歳ほど年上だった彼は、お母様と一緒に僕をとても可愛がってくれたっけ。

(僕の誕生日、覚えてくれていたんだ……!)

 その事実に胸がじんわり温かくなる。だが、カードは捨てられ、プレゼントは見当たらない。

(マリアが食べちゃったのかな……)

 このラッピングは恐らく僕へのプレゼントだったものなのだろう。そう思うと、どうしてこんなことをされるのかと悲しくなる。せっかく唯一の誕生日プレゼントだったのに。僕はせめてこのカードだけは取っておこうと服の中に隠した。


 その後、僕はウィル君にお礼の手紙を書きたくて、こっそり父の書斎からレターセットを拝借した。掃除を言いつけられた風をよそおって書斎に入れば、誰にもとがめられなかった。レターセットを手に入れた僕は、早速机に向かい筆をる。でも手紙など書いたことがないので、何を書いたら良いのか分からない。

「うーん……」

 僕はうんうんとうなりながら懸命にペンを走らせた。

『――親愛なるウィリアム・バーネット様。お久しぶりです。カードと誕生日プレゼントをありがとう。ウィル君はもう学院に入っているのですね。僕もウィル君に会えなくて寂しいです。それと、プレゼントですが、ごめんなさい。僕のお母様が誤って食べてしまったみたいで、僕は食べることができませんでした。でもプレゼントを贈ってくれたことがすごく嬉しいです。本当にありがとう。 レヴナント・ハートレーより――』
(これで、良いのかな……?)

 つたない手紙だけれど、一応ていさいは整っている、と思う。僕はその手紙をマリアたちが出す手紙にまぎれ込ませた。これで翌日、メイドの誰かが送ってくれるはずだ。

(お返事くれるかな……)

 僕の誕生日を唯一覚えていてくれた彼ともっと話がしたい。僕は、返事があることを祈った。


 でも、このままだと返事が来てもまた捨てられてしまう。だから僕は、誰よりも早くに起きてポストを確認することにした。当然出した翌日に返事が来るはずもないのだが、あまりに不安だった僕は次の日からこっそりポストを確認し始めた。ただでさえ睡眠不足だったので、その習慣をつけるのは辛かったけれど、マリアたちの手に渡る前になんとしても自分ての手紙を入手したかった。
 そして、その努力は五日後に報われた。ウィル君から、僕ての手紙が届いていたのだ。それも小包と共に。僕はそれを服の中に隠して急いで屋根裏部屋へと戻った。そして綺麗な封筒にため息を吐きながら、宝物を開けるように丁寧に開封する。

『――親愛なるレヴナント・ハートレー様。手紙の返事をありがとう。ずっと返信がなかったから、今年も来ないものだとばかり思っていたけど、連絡をくれてすごく嬉しいよ。そうか、君の新しいお母様が誤って私からのプレゼントを食べてしまったのか。それじゃあ、もう一度贈るので、今度こそレヴに食べてもらえると嬉しいです。感想を教えてくれたら次はもっと気に入りそうなものを贈るね。ウィリアム・バーネットより――』
(ずっと返信がなかった……?)

 そうか、ウィル君からの手紙はずっと届いていて、それをマリアに捨てられ続けていたのか……僕は嘆息した。彼には悪いことをしてしまった。次の手紙では、そのこともきちんと謝らないと。
 続けて、一緒に送られてきた小包を見た。手紙によるとなんと誕生日プレゼントをもう一度送ってくれたらしい。食べることができなかったのはこちらの都合なのに、なんて優しいのだろう。そんなことを考えながら、小包を破かないよう丁寧に開けていった。すると、その中にはとてもったデザインの小粒のチョコレートが五つ入っていた。それぞれに形もデコレーションも違うそれは、キラキラしていて食べるのがもったいないほどだ。砂糖は高級で、うちでも食卓にデザートが並ぶことはあまりないというのに、いかにも高価そうなものを二度も贈ってくれるなんて……
 僕は感動してしばらくそのチョコレートを眺めていた。本当ならばずっと取っておきたいくらいだったけれど、一昨日おとといの夜から何も食べていない僕は、思わずその一つに手を伸ばした。

(おいしいっ……!)

 こんな甘くておいしいものは初めて食べた。感動した僕は、じっくり時間をかけて食べようと思っていたのにもかかわらずもう一つ、また一つ……と結局全部を食べてしまった。名残惜しく感じながら、からになってしまった小包を見て、この感動を忘れないうちに手紙を書くことにした。

『――親愛なるウィリアム・バーネット様。お返事をありがとうございます。すごくすごく嬉しいです。それからプレゼントももう一度贈っていただけるなんて、なんとお礼を言えば良いか分かりません。チョコレート、食べるのがもったいないくらいでしたが、とてもおいしかったです。こんなにおいしいものは生まれて初めて食べたので、これ以上のプレゼントなんてないと思います。でも、僕からは何もお返しができなくてごめんなさい。いつか絶対にお礼をします。それと、今までも僕に手紙を送ってくれていたのでしょうか? 僕は受け取れていなくて……ずっと返事が出せずごめんなさい。これからは必ず返事を書くので、またお手紙をいただけたら嬉しいです。レヴナント・ハートレーより――』

 そうして再び他の手紙にまぎれ込ませて送る。僕は、ウィル君から貰った小包のから箱を机の引き出しに入れて、その中にこれまで貰った二通の手紙を入れた。

(次の返事はいつ来るのかな……)

 僕はここ数年ぶりの嬉しい出来事に、久々に幸せな気持ちで過ごすことができた。


   ◇ ◇ ◇


 また手紙を待つ日々に戻ったある日、ハートレー家でお茶会が開かれた。同じ派閥の女性たちの交流会らしい。
 当然僕は参加しないけれど、アーネストはマリアに参加するよう言われていた。招待客の中には、僕やアーネストと同年代の子を連れてくる夫人もいるので、そんな子息たちと交流を持たせるのが彼女の目的のようだ。中でもマリアが目を付けているのは、コートランド子爵夫人の息子だ。コートランド子爵家の当主は騎士団長を務めており、その息子のルエリ・コートランドも将来有望な少年なのだとか。僕には関係のないことだけど、「くれぐれも仲良くするように」とアーネストに圧をかけているマリアを見かけた。


「ごきげんよう、ハートレー伯爵夫人。この度はご招待いただきありがとうございます。エリーゼ・コートランドと申します。こちらは息子のルエリですわ」

 到着した子爵夫人は茶髪にエメラルドグリーンの瞳の穏やかそうな女性だった。僕は皆の目に入らないところで掃除をしながら来客を観察する。夫人の後ろにいた少年が紹介を受けて礼をするのが見えた。彼、ルエリ・コートランドは、赤い髪に母親譲りのエメラルドグリーンの瞳のりんとした印象の少年だった。僕たちと同い年だと言うけれど、鍛えているのか体つきがしっかりしている。

「ようこそコートランド子爵夫人。お茶を用意しておりますわ。アーネスト、ルエリ様をお願いね?」
「はい。はじめまして、アーネスト・ハートレーです。よろしくお願いします」
「まあ、ルエリと同い年くらいかしら? それじゃあルエリはハートレー家のご子息と遊んでいらっしゃい。くれぐれも失礼のないようにね」

 夫人はそう穏やかに笑ってマリアについていった。

「よろしければ中庭をご案内します」

 二人が去った後、アーネストの提案にルエリという少年が頷く。そしてこちらへ向かって歩き出した。

(いけない! 早く片づけないと……!)

 僕がこっそり覗いていた場所は中庭へと続く廊下だった。床に広げていた掃除道具を慌てて拾い集めようと手を伸ばす。だが、慌てすぎたのが良くなかった。僕は、モップに足を引っかけて盛大に転んでしまった。しかも水の入ったバケツをひっくり返して。

「おい、大丈夫か?」

 その音に驚いた先ほどの少年が声をかけてきた。僕がもたもたしている間にここまで来たらしい。

「お兄様! 大丈夫?」

 アーネストも慌てて駆け寄り僕を助け起こしてくれる。

「ご、ごめん。僕は大丈夫。すぐ片づけるから……」

 僕は廊下にできた水たまりを慌ててモップでぬぐう。僕自身がびしょれだったので、拭いてもなかなか綺麗にならない。

「お兄様? メイドではないのか?」

 その様子を見ていた少年がげんそうな声を上げる。先ほどは遠目でぼんやりとしか分からなかったが、ルエリは切れ長の目に真っ赤な髪が鮮烈な印象を与える少年だった。彼の綺麗なエメラルドグリーンの瞳と目が合う。

「……私はメイドではありません。ハートレー家の長男、レヴナント・ハートレーです」

 最後に「一応は」と小さく付け加える。貴族令息に見えないのは分かるが、メイドと間違えられるなんて。そのことにショックを受けていたせいか、自分が思っていたよりずっと冷たい声になってしまった。少年は大きく目を見開いて申し訳なさそうに顔を逸らす。

「それは……間違えてすまない……。俺はルエリ・コートランド。騎士団長の息子で、今日は母と君の家のお茶会に参加させてもらっている」

 ルエリは、きちんと謝罪をしてくれた。そして、今度は不思議そうな顔で尋ねてきた。

「だが、ハートレー家の長男がなぜこんなことを?」
「それは……」

 今度は僕が言葉に詰まった。自分の身なりを確認されたような気がして、恥ずかしさが込み上げる。

「お兄様、大丈夫ですか? それより早く服を着替えないと風邪をひいてしまいます」

 タイミングよくアーネストが話をさえぎってくれた。そのことにホッとしてうつむいていた顔を上げる。

「ああ、そうするよ。アーネストはコートランド様を中庭に案内するところだったんでしょう? 邪魔してごめんね。ほら、早く案内して差し上げて」
「ルエリで良い。様もいらない」

 僕がさっさと二人と別れようとアーネストに促すと、意外なことにルエリが口を挟んできた。

「……分かりました、ルエリ。僕のこともレヴナントとお呼びください」

 まだ少し気まずい空気を感じながら言われた通り彼の名を呼ぶと、良いことを思いついたとばかりにアーネストが明るい声を上げた。

「そうだ! ねえ、お兄様。お兄様も着替えたら一緒にお話ししましょう?」
「それは良いな。ぜひ頼む」

 ルエリもなぜか僕のことが気になる様子で、案内を頼んでくる。

「え? でも僕は……」
「ダメなのか?」
「いや、大丈夫……です……」

 マリアに知られたら怒られそうだな、と思いつつ、断る理由も見つからなかった僕は、流されるように頷いた。


 そして、今は着替えを済ませ、二人と並んで庭園を歩いている。今までアーネスト以外の同年代と接する機会がなかったので、何を話せばよいのか分からない。そんな僕に気を遣ってか、ルエリがやたらと質問を投げかけてくる。

「レヴナントは、髪を伸ばしているのか?」
「……いえ、そういうわけでは……。でもそうですね、しばらく切る予定はありません」

 髪を整えてくれる人がいないので伸びっぱなしになっているだけだが、そんなことを正直に言ってマリアに知られれば何をされるか分からない。僕があいまいに答えるとルエリはポリポリと頭を搔きながら再び口を開いた。

「そうか。その、さっきは悪かった。髪が長かったからメイドだと思ってしまったんだ」

 この質問は彼なりの気遣いだったらしい。身なりではなく、髪で間違えたと言ってくれているのだろう。意外と優しい彼に、先ほどのショックはだいぶやわらいでいた。

「ふふっ。あ、すみません。もう気にしていないのでそんなに謝らないでください」

 そう返すとルエリは驚いたように目を丸くして「それなら良かった……」と言って顔を逸らした。
 そんなルエリの様子が気になったが、「二人とも! 僕たちもお茶にしませんか?」と声をかけてきたアーネストに、二人して頷いて彼のもとへと向かった。


 そして僕たちは中庭にあるテラスでお茶をすることになった。その道中でもアーネストを中心に色々な話をしていたら、次第にぎこちなさが薄れてきた。席についてからは、十六歳になってから通うであろう学校のことや、いずれ測定を行う自分の魔力について盛り上がり、時間が経つのも忘れた。


 しばらくすると、なかなか戻ってこない僕たち……正確にはルエリとアーネストをマリアと子爵夫人が迎えにきた。マリアは僕がいるのを見て一瞬げんそうな顔をしたけれど、すぐに取り繕ったような笑みを浮かべる。

「コートランド様はお帰りの時間だそうよ。二人ともお見送りの準備をなさい」

 僕はマリアに戦々恐々としながら、ルエリとアーネストの陰に隠れるようにして正門までの道のりを歩く。そんな僕にルエリがこっそり話しかけてきた。

「今日は楽しかった。また遊びに来て良いか?」

 彼の申し出にびっくりしたが、友達みたいなやり取りに嬉しくなる。出会いこそ最悪だったけれど、ルエリは礼儀正しくまっすぐな性格で、一緒にいるのはとても楽しかった。

「僕も楽しかったよ……また来てくれたら嬉しい、けど……アーネストはともかく僕はあまり会えないかも……」

 今日だって偶然に偶然が重なって一緒に話せただけだ。次があってもマリアが僕と彼が会うことを許すかは分からない。申し訳ない気持ちで微笑むと、ルエリは残念そうに「そうか……」と呟いた。

「でも、手紙なら……」

 僕は思い立ってルエリに話しかける。

「手紙ならやり取りできると思うけど、どうかな……?」

 そうルエリにしか聞こえないよう顔を近づけてささやいた。するとルエリは、ガバッと僕から離れて、「わ、分かった! それじゃあ、手紙を書くから」と言って、少し赤くなった顔を押さえながら慌てて馬車に乗り込んでいった。

「まあ、あの子ったらあんなに急いでどうしたのかしら。それではハートレー夫人、本日はありがとうございました」
「こちらこそ、来ていただいて嬉しかったですわ」

 そして穏やかに笑った子爵夫人も、ルエリの後を追うように馬車へと入っていった。


   ◇ ◇ ◇


「ルエリ、きちんと挨拶もしないで一体どうしたの? あら、何だか顔が赤いような……」
「な、なんでもありません! それよりお母様、今日友達ができました」
「まあ、ハートレー伯爵のご子息と仲良くなれたのね」

 お母様が嬉しそうに顔をほころばせる。だが、お母様の言うハートレー伯爵子息は俺の思い浮かべている相手と違う気がして、ふと疑問に思っていたことを口に出した。

「ハートレー家の兄弟はどのような関係なのでしょうか? アーネストはハートレー伯爵夫人に似ていますが……」

 その言葉にお母様は困ったように笑う。

「アーネスト様はマリア様のお子様ね。彼女は二番目の奥様なの。長男のレヴナント様は亡くなった夫人のご子息だから、お二人は義兄弟なのよ」

 なるほど、扱いに差があるとは思ったがそのような関係だったのか。

「お二人とは仲良くなれた?」

 お母様に問われ一瞬迷う。アーネストも悪い奴ではなかった。ただ、自分だけが恵まれた状況を受け入れていると思うと、どうも好きになれない。

「はい、二人とも仲良くしてくれました」

 とりあえず、お母様には当たり障りのないよう答えておく。

「そうだ、レヴナントに手紙を書くと約束したのですが、その時に何かプレゼントも贈りたいと思っていて」

 お母様には、失礼なことを言ってしまったお詫びをしたいとだけ伝えた。メイドと間違えてしまったのは事実なので嘘は吐いていない。そうだ、あの伸び放題の癖毛をまとめるリボンをプレゼントするのはどうだろうか。

「それは良い考えね。ぜひ贈ってさしあげて。でも、レヴナント様だけに贈るのはよくないから、アーネスト様にも何か贈るようにね」

 母は面白そうにこちらを見てきたが、特に深く聞いてくることはしなかった。

「アーネストにも、ですか……」

 あいつはなんでも持っていそうなので、何を贈れば良いのか見当もつかない。そもそも必要もないと思う。その考えが顔に出ていたのか、お母様が笑いながらアドバイスをくれる。

「そうね……ハンカチ……は令嬢のプレゼントみたいね。ロケットなんてどうかしら? 男性が持っていてもおかしくないわよ」
「それは良いですね」

 よし、アーネストにはロケットペンダントでも贈ろう。あっさりそう決めた俺はレヴナントに似合うリボンはどんなものだろうかと考え始めた。


感想 125

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