君がずっと好きでした。〜君が届かなくなる前に。〜

谷山佳与

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本編 東の妖精姫

今、貴方に伝える 2。

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そろそろ室内に戻ろうと、ライラック様が立上った際に、ジャケットの裾を思わず引っ張ってしまった。

「どうされました?」
「えっと、あのですね、昨日レティと一緒にお買い物に行った際にライラック様の、そのお誕生日プレゼントを一緒に購入させていただきまして、もし、ご迷惑で無ければ、受け取っていただけないでしょうか?」

と、ハンドバックに入れていたプレゼンとの包を差し出しつつ視線は次第に、下へと向いていく。
カサリと、受け取る感触があり顔をあげれば、驚いたようなだけど嬉しそうな表情をされたライラック様がいらした。

「有難うございます。開けてもよろしいですか?」
「は、はい!」

ガサガサとラッピングを開く音を聞きながら、ライラック様がどのような反応をされるかドキドキしながら、様子を伺う。

「これはメリッサ王女の、オステン王家の髪の色ですか?」
「え?!いいえ違います。ライラック色ですので若干私の髪色とは違います。」
「ライラック色って言うのですね。」

ハンカチを取り出した、ライラック様は生地の色について聞かれた。
私は単純に”ライラック”とつく色の生地があったのでそれをそのままハンカチにしただけで、自身の髪色と似ていると思われるとは予想外だった。

「そうです。デザインはレティと一緒に相談して決めて、中心に刺した花もライラックの花なんです。どうせなら、お名前にちなんだものを贈りたいと思いまして・・・・、その、もし気に入らなければ処分していただいても構いません。六侯爵家とご家族以外からのプレゼントを受け取ってもらえただけでも嬉しいので。」

鼻の奥がツンとしてきて、涙がでそうになる。
プレゼントを受け取ってもらえて嬉しい。
だけど、送られた側の、ライラック様の気持ちを良く考えていなかった。
侯爵家と、ご家族以外は直接受け取らない。
受け取って貰えても、重く感じられるかもしれない。

「メリッサ王女、これ・・・・。」

あぁ、泣きそう。
その続きを聞きたいような、聞きたくないような。

「ライラック様、申し訳ありません。私、部屋にもど・・りますね。」

視界がぼやける中、笑を浮べ軽く一礼をすると、くるりと王城の方へ体の向きを変え全力で走り出す。
想いを伝えたわけでは無いけれど、プレゼントを送ることより、プレゼント事態刺繍のハンカチがご迷惑だったかもしれない。
違う品物や残らない物を選べばよかったかもしれないと、他の選択肢が思いつけなかった自分自身を怒りたくなる。
だけど、ライラック様を思って選んだのも刺繍をしたのも、贈ると選択したのも私。
傷つきたくなくて逃げたのも私。
こんなんじゃ想いだけでも伝えれればなんて、簡単じゃないという現実を突きつけられたような気がする。
でも、国に帰ってお父様の進める婚姻を受け入れるにしても、ライラック様を想う気持ちに区切りは付けなくちゃいけない。
たった数日で今まで以上に、想いが大きくなるなんて思わなかった。
庭園の入口に来た私は走る速度をゆるめ、涙を拭う。
泣き顔なんてアルマやノアお兄様が心配する原因なんてつくりたくない。
もう、感情はぐちゃぐちゃだ・・・。
ため息と共に嗚咽が漏れそうになったとき、身体がふわりと宙に浮いた。
それと同時に頭に被せられた布に、更に驚き暴れる。

「大人しくしてください。」

聞こえた声は、ライラック様の声で追いかけられる理由は沢山あるが抱き上げられる理由は思い浮かばない。

「下ろしてください!」

そう訴えても、反応はなくライラック様の靴音だけが嫌に響いた。
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