戦国ベースボール伝

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加賀平定(前編)

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吉崎の町に到着し、兵士たちを宿や寺院など寝泊まりできる施設に振り分けた後、武将を集めてミーティングを行った。

久々の戦での勝利に、明るい雰囲気の武将たち。

「で?何かあったのか?」

全員揃ってたのを確認して、景健が口を開いた。

「集まっていただいたのは、お話したい事があるからです。」

和やかムードが一変したのは、俺の顔がやけに深刻だったからだろう。

「今日の勝利にて、この吉崎の地を得られました。
今後の進路は、一乗谷出発前に義景様から直令のあった通り、北陸本願寺最大の要所である金沢御堂への進撃・・・のはずでした。」

「はずでしたとは?」

景固が、理解できないといった顔つきで尋ねてくる。

「金沢御堂に・・・顕如がいないことがわかりました。」

「ば、ばかな?!」

景固が声を上げる。他の武将たちも、ざわつきだす。

「ちょっと待てよ。何でいないってわかんだよ?」

あまりの驚きに、直澄が大声で問い掛けてきた。

「頼照か?」

そんな中、冷静に口を開いたのは景健だった。

「はい。戦が終わってから、話をしていました。
そこで、その事を聞きました。
顕如率いる本隊は、既に本山へと戻ったと。」

「そなた、ばかか?敵の言葉を信じたと言うのか?聞いて呆れる。」

・・・景鏡だ。

「そんなもの敵の謀に決まっておろうが!」

景鏡の語尾が強まる。
静まり返る室内。

「それが本当だとしていかがするのか?」

静寂に包まれる中、話を切り出したのは景固だった。

「ま、待てい。それは敵の謀だと。」

「景鏡殿。私は、軍師殿にお伺いしている!」

「ぐっ・・・。」

景固の強い口調に、景鏡が口を閉ざした。

「彼らを、我が軍に引き入れたいと思っています。
もちろん、残存兵たちも含めて。」

「貴様これ以上ふざけたことを。」

「そう言うと思ったぜ。」

景鏡の言葉を遮り、景健がニヤリと笑いながら返答した。
さらに、景固も続く。

「勝ったとは言え、苦戦をした相手だ。
彼らが味方に加わり、さらに兵力も上がり、加賀平定にも近づく・・・。」

「我が軍は、人手が足りていない状況です。
有能な武将は、多くいて困ることはありませんし、応援軍となる兵士・民衆らも然り。」

こう補足をすると、さすがの景鏡も異論を唱える様子はない。
頼照たちを仲間に加える、それが次のステージだ。

翌日、早朝から景健・景固・吉家、そしてカイトを呼んで、今後の方針を話した。
次なる目標は2つ。
①本願寺一派を味方に加える(加賀平定)
②畠山氏への接触

まずは、金沢御堂を目指し、頼照たちを説得しなければならない。
その交渉に誰があたるかが問題だ。

そして、能登畠山氏への接触と傘下への加入要請だ。
タグの「戦力マップ」で確認済みだが、この地を治めているのが畠山氏という武将だ。巨大戦力ではないが、長くこの地を守り続けている。

この2つの拠点を治めることができれば、加賀・能登平定となり、領土・戦力ともに一気に膨れ上がる。
それだけ大事だからこそ、交渉に向かう人間が重要になる。

それに、他にも気になる事がある。
タグの「雇用/解雇」についてだ。
確か、武将はいつでも移籍可能だったはずだが、大将は大将戦で負けた場合は、相手軍の傘下に入る以外は認められないとも聞いた。
じゃあ、通常、大将の移籍は認められないのか?
あと、大将戦で敗れた際に、配下の武将たちも相手軍傘下に入る以外は認められないのか?
そこらへんをしっかり把握しないと。

まぁ、今回頼照たちを引き入れようとする行動は問題ない気がするが。
こんな感じで、初陣勝利翌日から課題が山積みだが、1つずつ潰していくしかないな。
まずは、頼照たちとの交渉役だ。
適任だと思う人物がいない訳ではないが・・・。

「えぇい。いつまでたっても話が進みませぬ。
であれば、私が交渉役をお引き受けいたそう。」

景固が、痺れを切らして、そう切り出すと。

「おめぇなんかに任せるなら、俺の方がまだましだろ!」

景健が、煽るように返答する。

「ま、まぁまぁ。」

宥めようとする吉家。

「そなたは・・・。」
「てめぇ・・・。」

言い合いは収まらないが、お構いなしに、俺は話を始めた。

「僕の中で、適任だと思う人がいます。」

「誰だよ?」

ヒートアップしたままの景健が返答する。
景固もこちらを凝視している。

それは・・・。

「景紀さんです。」

「うっ。」

黙り込む2人。これは、各々がこの景紀という人物を認めている証拠。
俺としても両派閥から選抜しなくていいから、不公平感がなくて好都合だ。

「義景様、景紀さんをお呼びし、到着次第、金沢御堂を目指しますので。」

「・・・。」

反応がないことを、承諾したと受け止めて、打ち合わせを終えた。


翌日、吉崎より景健、吉家、景鏡含む6名の武将を一乗谷へと帰還させた。
代わりに、義景・景紀らがこちらへ向かってくることになっている。
既に、伝令は送ってあるから、遅くとも明後日にはここに到着するだろう。

また、先程神箱に質問メールを送った。

≪内容≫
雇用/解雇について
大将は、別軍に移籍は不可能なのか。
配下将たちは、大将戦で自軍が敗れた場合は、大将同様、相手軍傘下に入るもしくは、隠居生活の二択となるのか。

あとは、返信があるのを待つだけだ。

吉崎を発つ景健たちを見送る。
吉家は、手を振っているが、景健は知らんぷり状態。
帰還するよう説得するのに・・・どれだけ時間がかかったか。
結局、渋々・・・本当に渋々ながら帰還を承諾してくれた。
景鏡もいるし不安だが・・・そのために吉家も一緒に帰還させたのだから、何とかなるだろう。

その後、残った武将を集めて、今後の計画について話をした。
義景たちが合流した後、金沢御堂にて頼照たちの説得にあたり、そのまま能登畠山氏への接触を試みる。
あまりにも話が急展開過ぎて、驚きを隠せない武将たちであったが、これを成功させれば、加賀・能登平定となるとあってか、否定的な意見は出てこなかった。

2日後の昼過ぎ頃に、景健たちと入れ替わりで義景、景紀らが吉崎へと到着した。

「此度はご苦労であった。みなよくやってくれた。」

到着すると、武将・自軍兵に向けて、賛辞を惜しまなかった。
長旅で疲れているだろうに、自分の配下将や兵たちを第一に考え、労う姿は君主であるなと再認識させる。
やはり人の上に立つ人間はこうあってほしい。いや、あるべきだと思う。
この義景の姿を見て、俺は改めて顕如の選択した行動を認めることは出来なかった。

その日は、義景とは軽く話をした程度で、今後の話については明日9時からの打ち合わせでということになった。
吉崎での戦いを終え、しばらく静けさ、平穏に包まれていたが、また明日から大きく動き出しそうな予感がする。
そう考えながら、俺は明日以降に備え、早めに休息をとった。

翌日、7時過ぎくらいに起きると、タグ画面が光っていた。
確認すると、「神箱管理人」からのものであった。
題名は「雇用/解雇についての詳細事項」となっていた。

≪内容≫

雇用/解雇について

①大将の在り方
大将は、軍のトップであるため自らの移籍は不可。
ただし、下記ケースを除く。
1)大将戦で敗れた場合の、相手軍傘下への加入
2)配下武将総意での大将追放令

②配下武将の在り方
配下武将は、いかなる場合でも、何事にも拘束されることなく移籍可能

③補足
なお、大将戦で敗れた大将が、相手軍以外の軍から参戦しようとした場合、島流しの刑となる。
ただし、相手軍が破った軍の大将を不要だと申告した場合のみ、他軍への参入が可能となる。※ただし、自らが大将となって軍を再編成することは不可能

※本件、問い合わせが多い内容となってきたため、その他細かな部分含めルールブックを更新済み。詳細はそちらを確認願う。

内容は、以上であったが、俺が最も気になったのは、最後の文面。

「本件、問い合わせが多い内容となってきたため・・・」ということは、他の地域でも領土争い並びに武将の移籍が激化し始めているということかもしれない。

その後、戦力マップを開いてみたが、今のところは戦力図に変化は見当たらない。
どちらにせよ、うちも悠長に構えてはいられない。
まずは、加賀・能登平定を成功させなきゃ。

9時少し前には、着替えなどを済ませて、カイトと共に、義景のいる部屋へと向かった。

「義景様。翔とカイトです。」

「おぅ。入ってくれ。」

扉を開けて、中に入ると、義景の他に、景固と景紀がいた。

「おぅ。まぁ、こっちにきて座ってくれ。」

義景の促しに従い、義景らと円を描くように座った。

「まずは、初陣での勝利、見事だったな。
まぁ、よかったな。たった1回で職を失わなくてよ。」

いつもの嫌味ったらしい義景のニヤケ顔。
相変わらず・・・いやな奴であることはかわりないんだよな、うん。

「まぁ、本当によくやってくれた。
で、帰還してきた景健や吉家たちから話は聞いたが・・・本当の話か?」

義景の言葉に、和やかムードだった場が静寂と緊張感に包まれた。
義景が気にしているのは、顕如たちの動向についてだと、すぐに察することができた。

「確かに、敵である頼照から得た情報ですが・・・彼と話をしてみて、とても嘘を言っているようには思えませんでした。」

「・・・。」

俺の返事に、黙り込む義景たち。
確かに、この戦乱の世にて簡単に信頼することは命取りになりかねないし、ましてや敵のからの情報を鵜呑みするなんて。

「ンフフ。まぁ、嘘か真かは行ってみればわかること。
もし、真なら、一気に領土拡大へとつなげられる。
いい話ではないですか~。」

義景の左隣に座っていた景紀が口を開いた。

景紀・・・。
派閥に属さず、それでいて誰からも頼られる人物である・・・が、変わり者であることも間違いない人物。

交渉役に景紀を挙げた時、景健や景固が反論しなかったのは、誰もが認める博学さと、それでいて若干違和感を覚えさせる薄気味悪い口調と雰囲気があってだと勝手に解釈をしている。

「私は、軍師殿の考えに賛成ですね~。」

「ま、まぁ。私も、今回ばかりは軍師殿の意見に賛成です。」

景固も口を開いたが・・・いつもの饒舌っぷりはどこへやら。

「誰が反対だって言ったよ。」

大声で周囲に応えたのは義景。

「加賀と能登、それに有能な武将と大軍が手に入るチャンスだろう?
行かない訳がない!」

ニヤリと笑いながら義景は続けた。

その後は、出発日や進軍経路の話をした。
また、交渉役は、俺の進言通り、景紀が務めることになった。

「ンフフ。交渉の練習をしなくてはいけませんね~。」

とかなんとか上機嫌に呟いていたが・・・本当に彼で大丈夫だろうかと、自ら進言しておいて不安になった。

出発は、2日後の午前10時とした。
兵士たちのほとんどは、吉崎に残し、500程引き連れていくだけにした。
また、俺たちが不在の間の吉崎には、義景たちとこちらに到着していた、吉延と景近が留まることとなった。

最初の目的地は金沢御堂。
頼照たちが、すんなりと受け入れてくれることを願いながら、出発の日を迎えることとなった。

当日、義景を先頭に武将11名、兵士500名で金沢御堂へ向かった。
吉崎の地は、俺たちの時代でいう福井と石川の境目辺りではあるが、吉崎-金沢御堂間は、一乗谷-吉崎間の2倍程の距離はある。
加えて、少数とは言えど兵士500名を引き連れてとなると、時間はかかる。

若干ペースを上げながら進軍し、予定としては2日後の昼過ぎ到着。
進軍中、馬上にて色々と考える。
頼照たちは、承諾してくれるだろうか。
畠山氏の反応はどうだろうか。

それに・・・顕如たちの石山への移動経路が掴めない。
朝倉領土を通ったとするならば、情報が入らない訳はない。
可能性としては、海路を伝って、京都・滋賀辺りに移った。
もしくは、考えたくはないが・・・自軍に裏切り者が存在するという可能性。

だめだ。
考えれば考えるほど、深みにはまってしまう。

「翔。」

そんな様子を見てか、隣を進むカイトが話しかけてきた。

「難しい顔して・・・考え事?悩み過ぎるのはよくないよ。」

いつもの優しい笑顔を、俺に向けてくれる。

「うん。一難去ってまた一難じゃないけど・・・悩みは尽きないね。」

今できる限りの笑みをつくったつもりだが、寂しい笑みに思われただろうか。

「悩む事はいいこと。だけど、悩み過ぎることはいけないこと。」

「えっ?」

「僕の先生の口癖。悩むのはいいが、悩み過ぎてるなと思ったら、自分にこう言い聞かせなさい。おい、自分。なるようになるもんだぞ!ってね。」

笑いながら、語りかけてくれた。

「カイト・・・。」

俺を励まそうとしてくれているカイト。本当にありがたい。

「悩んだり考えたりするのって成長するために大切なことだよ。
でも、何事も『過ぎる』と身がもたないよ。
今日から、これが僕たちの合言葉だ。
『過ぎる』時には、『何とかなるさ』ね。」

「カイト。ありがとう。」

何だろう、カイトの言葉はいつも俺の肩の荷を軽くしてくれる。
いつも俺に救いの手を差し伸べてくれる。
カイトに出会えてよかった。ありがとう。

ん?でも・・・。

「カイトの先生って、何の先生?」

「え?あ、あぁ。いやそんな大したことなくて、まぁ習い事・・・かな。」

何だか、歯切れの悪いカイト。・・・まぁいいか。
カイトのお陰で、少しは晴れやかな気分で金沢御堂を目指せそうだ。

なるようになる。何とかなる。
悩むのは、金沢御堂に着いてからにしよう。

予定よりも若干遅れたが金沢御堂付近へと到着した。
周囲の村人たちが、誰が来たのかと不思議そうな顔で、こちらを見ている。

「着いた。」

金沢御堂の場所は、俺たちの時代での金沢城辺りらしい。
さすが、本家本願寺の別院として建てられただけあって、一乗谷に勝るとも劣らぬ大きさ。
賑わい方も凄い。一向一揆の拠点であるにも関わらず、商業も栄えており、門徒だけでなく商工民も多い。

「行くぞ。」

義景の号令とともに、金沢御堂へと近付く。

「と、止まれ!ここは真宗門徒以外の立ち入りを禁じられている!
そなたたちはどこから参られたのか?!」

門番らしき人物が、義景に向けて言い放つ。

「頼照殿にお伝え願いたい。一乗谷の義景が参ったと。」

「一乗谷・・・。あ、朝倉?!」

門番は、慌てて御堂内部へと駆け出して行った。
いきなりの来訪。驚くのは無理もないだろう。
しばらくして、門番と共に一人の人物がやって来た。

頼照だ。

「これはこれは。先の決戦から、まだ然程経っていませんが、此度は大将である義景殿までご出陣とは・・・。
この御堂まで一気に奪い取ろうという算段ですかな?」

落ち着いた口調で話ではいるが、顔を見れば動揺を隠しきれていないのがわかる。

「いや。攻め込んできたのとは、ちょっと違うな。
話をしにきただけだ。」

馬上から降りて、義景が頼照に返す。

「・・・立ち話もあれですから、場所を移しましょう。」

そう言うと、頼照は御堂の中へと促した。
義景は、俺とカイト、景固、景紀に同行を求め、他の武将たちには、ここで兵たちと共に休息を取るよう伝えた。
暫く進んだ所で、頼照が立ち止まった。

「こちらへ。」

そう言って、数ある中から、ある部屋の扉を開けた。
中に入ると、既に数名の武将が待機していた。
頼旦、頼竜、頼廉、頼慶だ。

朝倉側と本願寺側とが対峙するように、並んで座った。

「話とはどのような内容でしょうか?」

頼照が、話を切り出した。

「単刀直入に言おう。そなたたちに、我が軍に入って欲しい。」

義景の言葉にも、あまり動揺しない本願寺側の面々。
この時点で、ある程度予測できていたということだろうか。

「お誘い感謝いたします。しかし、このお話お断りさせていただきたい。」

そう返したのは、頼照ではなく・・・頼慶だった。

「私たちは、真宗門徒であり、主は顕如様ただ一人。
顕如様の下を離れるなど、考えたこともございませぬ。」

力強い目力から、断固たる意志が伝わってくる。
頼照が続く。

「頼慶の申した通りです。確かに、顕如様たちは本山へと戻られた。
しかし、決して見捨てられた訳ではなく、我らはこの地を任されたのだと思っております。
時が経ち、我ら本願寺派の力が今よりさらに大きくなれば、またこの地、この金沢御堂に顕如様が戻って来られると信じております。」

・・・覚悟はしていたが、意志は固い。
彼らを、朝倉軍に迎え入れるのは無理なのかもしれない。

「本当に戻って来ますかね~?」

はりつめた緊張感の中、それにそぐわないおっとりした景紀の声。

「本山周囲は権力争いが激化していますよね~。
西を向けば、尼子・毛利、東を向けば斎藤・今川・武田と名だたる将たちが揃い踏みですから~。この中、戦力拡大していくのは容易くはないでしょ~ね。
それに~。本山の顕如殿たちが、再度この加賀の地に足を踏み入れるということは~・・・我ら朝倉家を越えていくとおっしゃっているんですよね~?
そうなれば、うちとしても全力で向かわせていただきますよ~?
まぁ、本隊と分裂した状態で、畠山・長尾・我らに挟まれて、果たしてそれまで生き残っていられるかというのも疑問ですがね~。

「き、きさま。我々を脅しておるのかっ?!」

苛立ちを露にし、怒鳴り声を上げたのは頼竜。

「私は、事実を述べたまでですよ~。
攻め込まれれば、こちらとしても全力で立ち向かうのは至極同然。
それに、今はまだ顕如殿不在が知られていないからでしょうが、もし知られたら、周囲が黙っていないでしょうね~。
特に・・・長尾辺りが。ンフフ。」

景紀のおっとりした口調から発せられる言葉は、確実に相手を追い詰める内容だ。

「き、きさま・・・。」

頼竜は、怒りから立ち上がったものの、次の言葉が出てこない。
場が・・・静まり返った。

「それでも・・・お受けはできない。」

口を開いたのは、頼照だった。

「もし、義景殿の話をお受けしたとしても・・・この先、顕如様にお会いして、無様に敗退した我々だが、それでも共に戦って欲しいと言われたら、私は・・・私たちは・・・。」

「構わん。」

「?!」

頼照の口を遮って発せられた、義景の言葉に驚きを隠せない様子の本願寺側面々。
本願寺側だけじゃない・・・俺も、景固まで驚いている。

「よ、義景様、何を?!」

慌てた様子の景固。

「出来ない約束はせぬ!
それでも、私は、そなたたちの力を借りたい。」

そう言うと、あぐらをかいていた義景は、急に正座に変わり・・・。

「よ、義景様?!」

景固の驚きの声もわかる。
義景は、頼照たちに向かって深々と頭を下げたのだ。

「頼む。先のことはとやかく言わん。
今の私に、力を貸していただきたい。」

「・・・。」

義景のまさかの行動に、黙り込む頼照たち。

「か、考えさせていただけますか。」

そう切り出したのは頼照。

「ら、頼照殿?!」

大声の主は頼竜だ。

「頼照殿・・・本気ですか?」

静かに問いただすのは頼慶だ。

「ここまで熱い想いをお伝えいただいて、我々だけで門前払いは、失礼であろう。
他の者たち含めて検討すべきであろう。
ただし、それでも良い返事ができるとはお約束できません。」

その頼照の言葉に、義景は小さく頷いた。

「ンフフ。この話があなた方にとって、最高の条件であることは、ご理解いただけていますよね~?」

景紀が、おっとりした口調で念押しする。
確かに、本願寺側からすれば願ってもない条件のように思える。

だって、今味方につけば、長尾軍らに安易に攻め込まれることは無くなる。
それでいて、顕如の所にはいつ戻っても構わないという御墨付きを貰える訳だから。これ以上無いほどの、好条件だろう。

それにしても、義景の行動と、それにも動じずフォローする景紀。
さては、この2人・・・示し合わせたな?
それは、隣にいる景固も察しているだろう。

この場は一旦お開きとなり、俺達は控え室へと案内された。
さて、頼照たちはどうでてくるだろうか。
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