嫌われ女騎士は塩対応だった堅物騎士様と蜜愛中! 愚者の花道

Canaan

文字の大きさ
68 / 85
番外編

回顧録06~お父さんは娘の将来が心配です 1

しおりを挟む

※※※
女子力のない娘の将来が心配になったヴァルデス。キャシディ家の父娘話。
※※※



 カナルヴィルの闘技場では多くの人間が働いている。剣士はもちろんそうだし、観客たちに軽食や土産物を売る売店の者、敷地内の清掃や修理を行う者たちもいる。剣士たちにマッサージを施したり、彼らの装備を洗ったり磨いたりする者もいた。
 そして有り難いことに、従業員たちのために浴場が設えてあった。主に試合を終えた剣士たちが身体を洗うために存在する施設ではあるが、従業員たちはこれを自由に──ただし、剣士が優先である──使って良いことになっていた。

 ヴァルデス・キャシディは長らくこの闘技場で剣士として働いていたが、娘のヘザーが舞台に上がったのを機に自分は引退をした。引退とはいっても剣士を辞めただけで、従業員は続けている。現在の仕事はチケットを捌いたり行列を整理したり、客同士の揉め事を諫めたり、観客席のゴミを片づけたり……といった雑用が主である。
 外で落ち葉を集めたりしていると、剣士時代の自分を知っている客に「本当に引退してしまったのか」「もう舞台へは上がらないのか」「娘との試合が観てみたかった」などと残念そうに言われるし、正直なところ、まだまだ現役でやっていきたい気持ちは自分にもあった。
 しかし、ヘザーとの試合を組まれてしまったら──観客は「父娘対決だ!」と大喜びだろうし、オーナー側からもそれでやってみないかという打診はあったのだ──ヴァルデスは割り切った試合ができないような気がしていた。
 闘技場での試合は、一般の飛び入り参加がない限りは、戦う前から勝敗が決められていることが殆どだ。剣士の仕事は、派手で華やかな剣技で観客たちを盛り上げることなのだ。だから、明らかに自分より技量が劣っている相手に負けなくてはいけないこともある。それも観客を沸かせるためだからだ。
 ヴァルデスは何度もヘザーとの対決を頭の中に思い浮かべてみた。お互いに承知の上とはいえ、ヘザーに黒星をつけるのはすごく心苦しい。かと言って、娘に負けるのもなんだか嫌だった。仕事が終わった後も引き摺ってしまう気がして、結局ヴァルデスは引退を決めた。
 裏方の仕事の給料は剣士よりも安いのだが、ヘザーの給料──と言ってもこちらもまだ新人剣士の域を出ていないので、それほど貰ってはいない──と合わせれば父娘二人が充分に食べていける金額であった。



 この日仕事を終えたヴァルデスは、闘技場内の浴場で汗を流してから剣士たちの控室にヘザーを迎えに行った。ヘザーも同じころに仕事を終え、湯を使った後は帰る準備をしている筈である。二人はなるべく同じシフトで働くことにしているのだ。そうすれば入浴を済ませ、帰宅がてら何か食べていくことが出来る。家では何もする必要がなくなるのだ。

 廊下の角を曲がった時、背の高い赤毛の持ち主が目に入り、すぐにヘザーだと分かった。
「おう、ヘザー! 帰るぞ! 忘れ物ねえか!?」
「あっ。父さん」
 父親の声に気づくとヘザーは振り向いて、手に持っていた何かを掲げてみせる。それは小さなブーケ、に見えた。
「あ? なんだぁ?」
「見て見て、お花! 貰っちゃったー」
 ヴァルデスにはヘザーの姿しか目に入っていなかったのだが、彼女の近くにはひょろりとした若者が立っているではないか。この男はヘザーのファンで、剣士の控室まで花を持ってきたのだ。自分にも経験があるので瞬時にそこまで理解した。
 しかし若者はヴァルデスの姿を見て、一歩下がる。
「え? ……え? この人、君の……お、お父さんなの?」
「うん。父なの。前はここで剣士やってたのよ」
「あ、ああ……そ、そうなんだ。あの、じゃ、俺はこれで……!」
「えっ? あれ? サインとか、しなくていいのー?」
 若者はヘザーの呼びかけに振り返ることなく、急ぎ足でいなくなってしまった。

「ええー? サイン欲しいって言ってたのに」
「あー、あー、サインなんかいいって。あいつ、純粋なファンじゃねえな」
「え……?」
 追いかけようとしたヘザーを遮ると、彼女は不思議そうに首を傾げた。
「まあ、お前のファンなのは確かだろうけどよ。でも、『あわよくばもっとお近づきになりたい』って下心もムンムンだったな」
「……そうなの?」
「おい、まさか、あの男を好きだとか言うんじゃねえだろうな」
「別に言わないけど。でも、結構イケメンだったよね」
「やめとけやめとけ。父親の登場に尻尾巻いて逃げる男なんか」
「ふーん……」
「『ふーん』じゃねえだろ。お前、ああいう輩には気を許すなよ」
 何も分かっていないようなヘザーの返事に、ヴァルデスは心配になる。

 親のひいき目かもしれないが、ヘザーはなかなかの美人だと思う。ちょっとばかり背が高すぎるが、明るくてさっぱりしていて、性格もいい。だが、もうすぐ十七になるというのにまったく色気がない。異性に対する警戒心もそれはそれは薄いものだった。恋人がいる気配もなければ、好きな男がいる様子もない。
 道行く男のイケメンチェックなどはしている模様だが、それは男が女を見て「美人だ」「胸がでかい」などと、好意や愛情とは全く別の次元で騒いでいるのと同じものであろう。
 父親としては安心すべきなのかもしれないが、ここまで色気も浮いた話もないと、彼女の将来が心配になってくるのだ。
 かといって変な男に惚れられても困る。交際を反対する羽目に陥った場合「父さんに言われたくない」とか「父さんだって女のシュミ悪いじゃない」とか反論されると、ヴァルデスは何も言えなくなってしまうのだから。

 はっきり言って、ヘザーは一人でも生きていけるタイプの女だ。剣士を辞めたとしても何か別の仕事を探して、自分の口を自分で養うくらいのことはやってのけるだろう。
 しかし、やはり親としては、好きな男を見つけて一緒になってほしいと思う。ヘザーが一方的に好きなだけではだめだ。ヘザーに敬意と愛情を注いで尽くしてくれる男でなくては。
 ただ、そんな男はどこにいるというのだろう。
 このまま剣士を続けるならば、気の合う仲間の誰かと深い仲になるのかもしれない。そこでヴァルデスは現在闘技場で働いている若い男の顔を思い浮かべてみる。あまりピンと来ないが、まあ、闘技場仲間が無難なところだよな、と考えた。
 そして闘技場の男──剣士でも、他の従業員でも──と一緒になるとしたら、たぶん、ヘザーは家庭に入って相手の仕事をサポートしたり、母親になったりする。となると……。
 ヴァルデスは顔を顰めた。
 家庭に入ったら、家事というものをしなくてはいけない。これまで気ままに総菜を買ってきたり外に食べに行ったりしていたが、結婚後もそれではさすがにまずいだろう。それに、裁縫や洗濯もある。非常にまずい。今の状態で嫁に出したら、姑に苛められるか追い出されるかするのではないか。家庭に入った女の仕事を全うできなければ、好き合って一緒になった筈の男の愛情だって、目減りする可能性があるのではないか。

「おう、ヘザー」
「うん?」
「次の休みによ、一緒にメシ作ってみねえか」
「なに? どうしたの、急に」
「……いや、たまには、そういうのもよくねえか?」
「別にやってみてもいいけど……」
「よし、じゃ、決まりだな!」
 戸惑うヘザーを押し切る形で約束をしつつ、闘技場の出入り口に向かって歩いていると、売店の前でヘザーが足を止めた。
「ねえ、父さん。ビール飲みたい。買ってー」
 こうして自分の袖を引っ張り、目をきらきらさせながら甘えてくるヘザーは本当に可愛い。が、それは十六歳の女の子がねだるものではない。
「わかった、わかった。買ってやるから」
「やったあ。仕事終わりのビールはほんと最高なんだよね」
 娘がオッサン化しつつあることにも不安を覚えたが、まずは二人で料理を勉強しよう。娘が嫁に行った先でやって行けるようにするのも親の役目だ。後で本屋にも寄って、料理の本を買わなくては。そう計画を立てつつ、娘にビールを買ってやるために財布を取り出した。



「あつ! あっつうぅうう!!」
「いやあああ、こわいー!」

 初めての料理は熾烈を極めた。

 ヘザーに何が作ってみたいかを訊ねると、彼女は「挽き肉とチーズの入った揚げパイ」と答えた。ヘザーの好物の一つである。しかし本を読んでみると、パイ生地を作るところから始めなくてはならないらしい。パイ生地は難しいと、昔どこかで聞いたような気がした。ヴァルデスは「別のにしてくれ」と頼んだ。
 するとヘザーは「じゃあ、でっかい肉団子!」と言った。挽き肉と刻んだ玉ねぎやら何やらを捏ねて熱した油に入れればよいようだ。ヴァルデスは「じゃあ決まりだ」と頷いた。揚げパイに比べたら容易に思えてしまったのだ。
 それにヴァルデスは家庭料理を作ったことはないが、職場の仲間と遊びに行った先で串に刺した肉を焼いた事ならばある。今回の料理もそれの延長上にあるものだと決めつけていたが、大間違いであった。

「ちょ、なんだこりゃ……アチッ!」
 刻んだ玉ねぎと調味料と挽き肉を混ぜ、団子にするところまでは良かった。玉ねぎは「みじん切り」とはとても呼べない大きさだったし、団子の形もかなりいびつではあったが、そこまではよかったのだ。
 熱した油の鍋に団子を投入した後に問題は起こった。
 バチッ、ボン、ボンッとものすごい音がして、油や肉片が飛び散り始めたのである。中身を取り出すか火を消すかした方が良いのではないかと思うのだが、鍋は狂ったように破裂音を奏でながら灼熱の破片をまき散らしている。かまどには最早近づくことが出来なくなっていた。

「ね、ねえ、父さん。こわいよー」
「お、おう。ちょっと待て、今……うお、アッツウ!」
「ぎゃあああ、大丈夫、父さん? ねえ、もう、やだ。料理やめたい……」
「わかった、わかったから待ってろ。今、火を……あち! あっちい!」
「うわあああ、父さーん!!!」
 かまどに近づいては撃退されるということを繰り返していると、
「ちょっと、キャシディさん? 何かあったのかい!?」
 激しいノックの音と隣に住むおばさんの声がした。二人が大騒ぎしているのが聞こえ、非常事態でも起こったのかと心配して来てくれたらしい。確かに非常事態であった。彼女はキャシディ家のキッチンを見て目を剥いた。
「ちょっと! 早く火を止めないと、火事になるよ!」
「ぁあ? まじか!!」
 さすがにヴァルデスもこれ以上なくらいに焦った。濡らした布巾で鍋の取っ手を掴むと、ヘザーに「かまどの火を消しとけ!」と叫んで、自分は裏口から外に抜け、地面に鍋を置いた。

 飛び散った油や肉片で、ヴァルデスは顔と腕にやけどを負った。いくつかは水ぶくれになっているが、目に入らなかったのは不幸中の幸いである。
 肝心の肉団子は大部分が破裂によって失われていた挙句、僅かに残った方は焦げて黒くなっていて、食べられる代物ではなかった。
 油まみれになったかまど周辺の掃除も、他の洗い物も大変だった。
 仮に肉団子が成功していたとしても、準備と後片付けに時間がかかりすぎる。それでいて食べるのは一瞬である。
「料理って割に合わねえなあー」
「うん。怖かった。もうやりたくない……」
「そうだよなあ」
 もう一度キッチンに立とうとはもちろん思えず、外食に出かける気力もなく、この日は家にあったビスケットを二人で齧り、ぐったりとしたまま寝床に入ったのだった。



 自分たちに料理は無理だと悟ったが、ヴァルデスは裏庭で燻製を作るようになった。
 職場に燻製作りを趣味にしている男がおり、彼に料理の失敗談を話したところ、「外で燻製を作れば火事の心配はないし、油が飛んでくることも無い。何より酒のつまみになる。燻製はいいぞ」と、燻製作りを薦められたのである。時間はそれなりにかかるものの、揚げ物のようなスリルと恐怖が伴わないところが気に入った。
 それに、ヘザーと一緒に作った燻製を食べ、酒を飲みながらその日の出来事を語り合う時間をヴァルデスはもっと気に入った。

「ねえねえ、今度はさ、魚の燻製作ってみようよ」
「ああ、魚もいいなあ」
 ヘザーはテーブルの上にあったナッツとチーズの燻製を口の中にぽいと放り込むと、今度はウイスキーの入ったグラスを傾けた。
「かーっ。最高!」
「……。」
 娘と過ごす時間はとても楽しい。が、燻製作りを覚えたことで、彼女のオッサン化は激しく進行してしまったようだった。

 これでは本格的に貰い手が無くなってしまうのではないか……。そう心配し始めた矢先、またヘザーが花を貰っているところに出くわした。



「見て見て父さん! ほら、こんなおっきい花束!」
 控室前の廊下で、両手で抱えなくてはいけないほどの花束を持って、ヘザーは花の贈り主と楽しそうに喋っている。相手の男はきちんとした身なりの、金持ちっぽい若者であった。しかも、彼はヴァルデスの登場にも怯むことはなかった。
「ヴァルデス殿ですね! うちの両親があなたのファンだったんです」
「お? おお、そうか。そりゃありがてえ。よろしく伝えといてくれよ」
「はい、もちろんです!」
 ヴァルデスは彼と握手をしながら考える。父親相手にも礼儀正しく振る舞うということは、彼は、下心のない純粋なヘザーのファンなのかもしれない。こういう男なら、ヘザーの相手としてどうだろう……? 金持ちならヘザーが家事をする必要もない。ファンならば、ヘザーを崇めるように大切に扱ってくれるのではないか……?
 だが考え直す。ヘザーはどういう男が好みなのかは知らないが、一方的に崇めて尽くしてくれる男は、なんだかヘザーには似合わないように思えるのだ。ヘザーには……もっと、対等に振る舞える相手が似合っている気がしてならない。

 ヘザーのファンだという青年が去った後、ヴァルデスはヘザーの抱えていた花束を持ってやった。かさばって、歩く時に前が見えなくなりそうだからだ。そして娘を小突いた。
「お前、結構モテるんじゃねえのか」
「エヘン」
 ヘザーは腰に手を当てて胸を張った。
「あのな、照れるとか恥じらうとか……もうちょっと、そういうのはねえのか」
「なんで?」
「……いや、いい……」
 ヘザーの反応はまるで十歳の男の子である。日常においてはオッサン化していながら、異性関係が十歳男児。娘の生まれ持った性質を嘆くべきなのだろうか。それとも、荒っぽく育てすぎてしまったのだろうか。ヘザーの手本になるような女性を見つけて再婚しておくべきだったのだろうか?
 この時ヘザーは十七になったばかりだったが、ヴァルデスの頭の中には早くも「手遅れ」という文字が浮かんでいた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勘違い妻は騎士隊長に愛される。

更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。 ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ―― あれ?何か怒ってる? 私が一体何をした…っ!?なお話。 有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。 ※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

初恋をこじらせた騎士軍師は、愛妻を偏愛する ~有能な頭脳が愛妻には働きません!~

如月あこ
恋愛
 宮廷使用人のメリアは男好きのする体型のせいで、日頃から貴族男性に絡まれることが多く、自分の身体を嫌っていた。  ある夜、悪辣で有名な貴族の男に王城の庭園へ追い込まれて、絶体絶命のピンチに陥る。  懸命に守ってきた純潔がついに散らされてしまう! と、恐怖に駆られるメリアを助けたのは『騎士軍師』という特別な階級を与えられている、策士として有名な男ゲオルグだった。  メリアはゲオルグの提案で、大切な人たちを守るために、彼と契約結婚をすることになるが――。    騎士軍師(40歳)×宮廷使用人(22歳)  ひたすら不器用で素直な二人の、両片想いむずむずストーリー。 ※ヒロインは、むちっとした体型(太っているわけではないが、本人は太っていると思い込んでいる)

能力持ちの若き夫人は、冷遇夫から去る

基本二度寝
恋愛
「婚姻は王命だ。私に愛されようなんて思うな」 若き宰相次官のボルスターは、薄い夜着を纏って寝台に腰掛けている今日妻になったばかりのクエッカに向かって言い放った。 実力でその立場までのし上がったボルスターには敵が多かった。 一目惚れをしたクエッカに想いを伝えたかったが、政敵から彼女がボルスターの弱点になる事を悟られるわけには行かない。 巻き込みたくない気持ちとそれでも一緒にいたいという欲望が鬩ぎ合っていた。 ボルスターは国王陛下に願い、その令嬢との婚姻を王命という形にしてもらうことで、彼女との婚姻はあくまで命令で、本意ではないという態度を取ることで、ボルスターはめでたく彼女を手中に収めた。 けれど。 「旦那様。お久しぶりです。離縁してください」 結婚から半年後に、ボルスターは離縁を突きつけられたのだった。 ※復縁、元サヤ無しです。 ※時系列と視点がコロコロゴロゴロ変わるのでタイトル入れました ※えろありです ※ボルスター主人公のつもりが、端役になってます(どうしてだ) ※タイトル変更→旧題:黒い結婚

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にノーチェの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、ノーチェのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。