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第二十三話
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アレクの求婚を了承して、数日が経ちました。
私は店でアレクと一緒に、持ってきてもらった本を整理していました。
「なあ、エミー。言いづらかったら言わなくていいんだが」
「何でしょう?」
「少し、気になることがある。お前の家のことを教えてくれないか」
私は嫌な思い出が頭をよぎりましたが、すぐに気持ちを切り替えます。
アレクは将来の妻について知っておきたいだけだろうし——何より、アレクはアスタニア帝国の皇子となる人間です。いかに平民の娘と結婚していいとはいえ、素性の知らない女を傍に置くわけにはいかないでしょう。調べなくては周囲も納得しないと思われます。
「分かりました。でも、私はもうあの家とは縁を切っていますから、調べるのなら絶対に関わりを知られないようにしてください」
「ああ、気を付ける。それは大丈夫だ、バルクォーツ女侯爵にも協力してもらう」
それならば、と私はアンカーソン伯爵家のことをアレクへ教えました。すぐに何かが分かるとも思えませんし、特に私は後ろめたいこともないので、あとはいいようになるでしょう。
ついでに、私は元婚約者のことも言っておきました。テイト公爵家のヒューバート、私を捨てたあの男のことです。その話をしたところ、アレクは怒っていました。
「なんて無礼な、無神経な男だ。そんな人間がワグノリス王国の貴族なのか。テイト公爵家の名前は聞いたことがある、家柄や血統はワグノリス王国随一だと。だが、それだけだったようだ」
ワグノリス王国の文学を愛し、ある種の憧れもあったであろうアレクの落胆は、目に見えるようです。何だか、私は申し訳ない気持ちになりました。
しかし、アレクはこんなことも口にします。
「だが、財産目当てに結婚、ということは……財政の内情は相当悪いようだ。アンカーソン伯爵家が貿易で財をなしているとはいえ、そこまであからさまにできるほど隠す必要がない、とも思える」
なるほど、と私は感心しました。アレクはほんの少し話を聞いただけなのに、そこまで推測できたようです。
「おっしゃるとおりです。テイト公爵家の財政は火の車で、年々悪化しているという噂でした。だから、アンカーソン伯爵家がそれを援助して、両家の間に生まれた子にテイト公爵家とアンカーソン伯爵家の爵位を同時に受け継がせれば、という話だったようです」
「それならアンカーソン伯爵家も後継問題を解消できる、か。現状、お前の妹が女伯爵になるしかないが、女が爵位を継ぐのは色々と制限がある。大抵は未亡人か、最初から女系と決められている貴族しかできない」
「ええ、ですからアンカーソン伯爵家も渡りに船だったようです。家を残すため、またテイト公爵家の家柄の恩恵に与るため、という話でした」
私の話を聞いて、アレクはうーむと唸っていました。
「その話が本当だとすれば、ワグノリス王国の情勢は意外と、付け入る隙があるのかもしれないな」
私は店でアレクと一緒に、持ってきてもらった本を整理していました。
「なあ、エミー。言いづらかったら言わなくていいんだが」
「何でしょう?」
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ついでに、私は元婚約者のことも言っておきました。テイト公爵家のヒューバート、私を捨てたあの男のことです。その話をしたところ、アレクは怒っていました。
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しかし、アレクはこんなことも口にします。
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なるほど、と私は感心しました。アレクはほんの少し話を聞いただけなのに、そこまで推測できたようです。
「おっしゃるとおりです。テイト公爵家の財政は火の車で、年々悪化しているという噂でした。だから、アンカーソン伯爵家がそれを援助して、両家の間に生まれた子にテイト公爵家とアンカーソン伯爵家の爵位を同時に受け継がせれば、という話だったようです」
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私の話を聞いて、アレクはうーむと唸っていました。
「その話が本当だとすれば、ワグノリス王国の情勢は意外と、付け入る隙があるのかもしれないな」
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